先月30日に投開票された大任町長選挙で、現職の永原譲二氏が投票総数の7割を超える得票で勝利し6選を決めた。同氏が告示日に「横綱相撲を取ってみせる」と豪語したことが報じられていたが、“横綱相撲”の実態は、大相撲で一番下の序列となる“序の口”以下の醜いものだった。
■繰り返された法律違反
大任町長選挙の告示は3月25日。3月6日に福岡県知事選挙が告示されており、公職選挙法の規定で同月23日の投開票日まで選挙運動以外の政治活動が厳しい制限を受けることになっていた。対抗馬となった次谷隆澄町議が出馬表明したのは知事選真っただ中の3月12日。そのため知事選期間中、「冊子」の配布など一部の例外を除いて地盤培養を目的とする「後援会活動」ができない状況だった。
次谷陣営はそのルールを厳守したが、永原陣営は知事選告示後も後援会印刷物=リーフレット(*下の画像)の配布を続けていたことが分かっている。配布していたのは、同町の町議や「区長」ら。陣営として、公選法のルールを徹底していなかったか、あるいは無視したかのどちらかだ。
選挙期間中にも驚くべき印刷物が全戸配布された。文書の発行元は、正体不明の「永原譲二氏を勝手に応援する会」。表面は永原町政に批判的な報道を否定する身勝手な主張で、裏には、永原擁護の声とともに、日頃から永原氏が自慢してきた子育て支援策やランドセルや誕生日ケーキの支給事業を讃える歯の浮くような言葉が並ぶ。
いわゆる「勝手連」による活動を装っているが、ビラをポスティングしていた人たちを運んだ車や実際の活動を撮影した画像が残っていたことで、ビラ撒き部隊の特定はできている。いずれ詳細を報じるが、結論から述べれば、これは勝手連の仕事ではない。
選挙戦の最終版である3月29日になって、再び永原陣営による違法な活動が明らかとなる。町内各戸にポスティングされたのは、永原氏の選挙用ビラ(*下の画像)だった。
選挙用ビラを頒布するにあたって公選法で認められているのは、次の4つの方法のみだ。
- 新聞折込み
- 候補者の選挙事務所内での配布
- 個人演説会の会場内での配布
- 街頭演説の場所での配布
つまり永原陣営による町内での選挙用ビラのポスティングは違法ということだ。
この件については、ビラをポスティングしていた複数の人物とポスティングを指示したと名乗り出た人間が画像付きで特定されており、指示者はなんと永原町長の実弟だったという。
この件について関係者が福岡県警田川警察署に情報提供したところ、同署は「選管に通告した」程度で事を済ましたらしく、積極的に動いて厳しく対応した形跡はない。以前から噂される田川署の「闇」を象徴するような話だ。ちなみに、町長選期間中、田川署と権力側の癒着を疑わせる事例は他にもあった。その件については稿を改めて詳細を報じる。
■浮上した別の法律違反
選挙期間中、大任町内で別の選挙違反についての噂が広がった。これは単なる噂ではなく、実際に行われた可能性が高い。ハンターは証拠と証言、いずれも入手済み。その手口について、いまも多数の情報が寄せられている。永原氏が豪語した「横綱相撲」の実態は、違法行為の繰り返しによる選挙活動。序の口以下の取り口が自慢できるとは思えない。