維新「都構想」に高まる批判

日本維新の会代表の吉村洋文大阪府知事が3度目のチャレンジを表明した大阪都構想に、《勝つまでやろうなんて、ほんと子供みたい》《住民投票って、勝つまで繰り返していいんですか?》と批判が殺到。維新内部からも「吉村独裁」などと厳しい声が上がる状況となっている。

*参照記事 ⇒ “前途多難! 撤退した「都構想」にすがる日本維新の会

◆   ◆   ◆

2020年11月、大阪都構想の是非を問う2度目の住民投票で敗北した際、吉村知事は「僕が大阪都構想に政治家として挑戦することはもうありません」と明言した。しかし、連立を組む自民党と「副首都構想」の関連法案で大筋合意が見えてきたとたん、「新たな法案から副首都になるには『大阪都』に変更することは可能だ」と姿勢を一変させた。

前言を撤回し、副首都構想に乗じて2度もダメ出しを食らった大阪都構想に乗り出そうという身勝手さ。党の内外から批判が出るのは当然だろう。

過去2度の住民投票は大阪市だけが対象だった。しかし吉村氏は、3度目の住民投票について「大阪府全域が住民投票の対象となる」と発言しており、大阪市から大阪府全域に拡大して住民投票の実施を目指す考えだ。

大阪都構想が2度、反対となった背景には「大阪市」という名称がなくなることへの反発があった。ある維新の大阪市議はこう話す。

「前回までの住民投票には、大阪市が廃止されるというのがマイナスイメージにつながり否決された側面がありました。そこで吉村知事は大阪府全域と言い出したんでしょう。大阪市以外の府民は、大阪市があろうがなかろうが、どちらでもいい。大阪府全体で人口876万人、大阪市は280万人と30%ほどです。衆議院選挙で維新がすべての小選挙区で勝った勢いがあるので、今度は勝てるという算段なのでしょう。そう簡単な話ではありませんがね……」

吉村知事は、今年2月の衆議院選挙の際に、府知事選と大阪市長選を合わせたトリプル選を仕掛けた。結果は、既成政党から無視されたこともあり圧勝したが、評判は最悪だ。

「選挙費用に多額の税金をかけたが、対抗馬がいない状態でまともな選挙にはならなかった。吉村知事の任期は来年春の統一地方選までで変更はなく、選挙をしなければならない懸案事項や争点もなかった。3度目の大阪都構想住民投票がもし実現しても、税金の無駄遣いですわ。府民をバカにしている」(自民党大阪市議)

さらに問題なのは、吉村知事が任期中の来年春の統一地方選までに「大阪都構想の住民投票をしたい。統一地方選と同時期にやりたい」と記者会見で語ったことだ。

大阪知事選をはじめ、統一地方選は公職選挙法で定めるルールの中で実施されるが、大阪都構想の住民投票には公職選挙法が適用されない。過去2回の住民投票では、期日前投票の会場となっている区役所の前に、連日賛成派や反対派が車を仕立てて大阪市民を送迎しているシーンが何度もみられた。投票所前は「賛成」「反対」のプラカードを掲げ大声で訴えるなど“無法状態”となっていた。

大阪市内の商店主に対し、「大阪都構想に賛成して大阪都になれば、商売が繁盛します。いいことがありますから」などと露骨に「利益誘導」を持ち掛けていた維新の関係者もいた。

住民投票の当日は日曜日。市民からは「早朝から、うるさくてかなわない」という苦情の声を何度も聞いた。常軌を逸した賛否への勧誘だったが、こうした事態が統一地方選で再現された場合、実は維新に有利に働くことが予想されている。前出の自民党市議は、次のように警鐘を鳴らす。

「統一地方選と同日に大阪府全域で住民投票となれば、大阪都構想に賛成なのは維新だけです。前回までのように投票所前で『賛成に1票』とやれば、維新は投票日も“選挙運動”ができる形になるんです。維新以外の政党はもちろん『反対』。仮に『反対』と投票所前でやったところで、都構想に限っては自民党、公明党、共産党が同じ主張。複数の党となるので議員の選挙にはさほど影響しない。要するに、有利になる維新の議席が増えてしまう可能性が高いということ。もし住民投票となっても、日程は絶対に変更すべきです」

維新は4月から、大阪市の24区すべてで大阪都構想へのヒアリング、タウンミーティングを実施してきた。大阪都構想の住民投票にこぎつけるには、法定協議会の設置について、大阪市議会と大阪府議会で議決を得ることが必須となる。どちらも維新が過半数をとっているが、大阪市議会は、国保逃れで2人の市議が維新から離脱してり、ぎりぎりの数。そもそも、肝心の維新大阪市議団が住民投票に消極的。別の維新関係者は、「住民投票に賛成するかどうかは、タウンミーティングでの様子、アンケートなどで判断をする予定です」と話しており、吉村知事の思惑通りに進むかどうか先行き不透明だ。

大阪都構想を示唆した際、記者から吉村知事に対して「勝つまでじゃんけんをするのか」という質問が出た。これに対する吉村知事の答えは、「『都構想で勝つまでじゃんけんですか』ということですが、これはじゃんけんのような偶然の事象で決まるものではないと思っている。有権者の皆さんがこれは本当に良いとなれば可決となる」――。どうやら吉村氏は、2度の否決が「偶然」ではなかったということが、全く理解できていない。

 

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