「6月には復党すると、上機嫌で地元をまわっていました」と話すのは、衆議院和歌山2区の地方議員。“上機嫌”なのは、先の衆議院選挙で圧勝した世耕弘成衆議院議員である。
2024年の衆議院選挙において無所属で出馬した同氏は、二階俊博元幹事長の三男、伸康氏と激闘の末に勝利。今年3月の選挙では、二階氏が「県連一丸となっていくべきだ」として事実上の“白旗”をあげたことで、“紀州戦争”に終止符が打たれた。自民党和歌山県連はこぞって世耕氏を支援、同氏が圧勝した。世耕氏は、その勢いで自民党復党を目指しているという。
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背景にあるのは、高市早苗首相が解散を断行した衆議院選挙の圧勝劇だ。
「世耕さんは、以前から『高市政権になれば、自民党に戻る』と話していました。高市体制は選挙に勝って盤石。世耕さんが復党する条件は整ったと多くの支援者が思っている。仕事をしてもらうなら、やっぱり自民党の一員として。早く戻ってもらいたいという意見ばかり」(前出・地方議員)
だが、世耕氏の前には、いくつもの“壁”が立ちはだかっているのだという。旧安倍派のある議員はこう話す。
「選挙前は過半数割れで大変な状況でした。しかし、今は総選挙後の316議席に加えて、維新との連立もある程度安定。復党はご勘弁を願いたい」
昨年の自民党総裁選では、唯一残った麻生派が影響力を見せつけた。麻生太郎副総裁が後見役となり、高市氏が総裁選で勝利。麻生氏は、その後の党役員、閣僚人事でも“豪腕”ぶりを見せつけた。これに刺激されたのか、旧安倍派でもかつてのメンバーが何度か会合を開き、再結集の動きをみせている。
萩生田光一幹事長代行、西村康稔選対委員長、松野博一組織運動本部長らと並んで「5人衆」と呼ばれていた世耕氏だが、かつての仲間からは、あまり歓迎されていないのだという。前出の旧安倍派議員がこう続ける。
「5人衆と呼ばれた時は、世耕氏だけが唯一の参議院議員でバランスがとれていた。いわば、参院のドンとして世耕氏が名を連ねていたという感じですね。それが、衆議院議員となれば、立場が随分変わってきます。もし世耕氏が復党し、旧安倍派として動き出すと、船頭が3人いることになる。衆議院の3人がバチバチやって『俺につけよ』などと言われて必死でごまかしてきたのに、4人となればもっと大変。それがわかっている議員は『戻ってこなくていい、無所属のままいてほしい』というのが本音」
かつて、参議院自民党の幹事長として権勢をふるっていた世耕氏は、今でも一定の影響力がある。そこにのし上がってきたのが、参院議員の石井準一現幹事長だ。同氏は今月15日、参院の党内グループ「自民党参院クラブ」を設立し、記者会見を開いた。メンバーは40人を超える自民党の参議院議員。石井氏に近い議員が次のように語る。
「世耕氏の自民党復帰に反対しているうちの一人が石井さん。世耕氏は復党すれば、旧安倍派に加えて参議院でも影響力を行使するはず。一方、世耕氏が裏金事件で自民党を追い出されたお陰で、権力の座に就いたのが石井さん。せっかく掴んだ参院のドンの座も揺るぎかねないので、世耕氏の復党には絶対反対ですよ」
衆議院の予算案審議では“数の力”を見せつけた高市首相。しかし、過半数を持たない参議院では、何度も紛糾。首相の念願だった年度内成立は断念せざるを得なくなった。数日遅れで参議院の可決にこぎつけたが、保守党や無所属議員の賛同も得るなど「多数派工作」で汗を流したのは石井氏だった。
世耕氏が高市相のお気に入りだとしても、参議院のドンとなった石井氏の意向を無視して「復党」とはいかない。石井氏が新たなグループを結成したことで、さらに世耕氏復党のハードルがあがったという声も少なくない。
マイナス要因はまだある。世耕氏が昨年夏の参議院選挙で仕掛けた代理戦争のしこりだ(既報参照)。世耕氏は、前有田市長の望月良男氏を無所属で擁立し公認候補の伸康氏を返り討ちにしたが、当選した望月氏は自民党和歌山県連を除名処分になったままだ。ある自民党関係者は、「望月さんには除名処分が出ているので絶対自民党には戻れない。自民党和歌山県連は、衆議院選挙で保守分裂回避のため、とりあえず世耕氏と握手はしたが、まだまだ溝は深いと聞く」と話す。
世耕氏は、2度の衆院選勝利で、「裏金事件の“みそぎ”は終わった」という考えだ。しかし、同氏が旧安倍派に紹介した会計責任者は、禁錮3年執行猶予5年の有罪判決を言い渡されている。自民党復党を吹聴する前に、「説明責任」のケジメが必要ではないか。















