田川市・業者登録不正手続きの裏に元課長と元副市長

二場公人前田川市長時代の2020年3月に提出された指名業者登録申請書に捺されていたのは、前年11月の受付印だった(既報1)。明らかに虚偽公文書作成にあたる行為だが、糾弾すべきは不正を指示した当時の幹部職員とその背景だ。ハンターの取材や市側の調査などから、疑惑の業者登録の裏に、公職選挙法違反で処罰された元課長と当時の副市長の存在があったことが分かってきた。

■真実を話した職員の矜持

2023年の市長選でガラス張りの市政を掲げた村上卓哉氏が初当選してから、同市の情報公開への対応は一変。「出せるものはすべて出す」――市幹部がそう断言するように、二場市政時代は当然のように隠ぺいされていた文書が、時日をかけずに開示されるようになった(既報2)。職員の姿勢も変わりつつある。

問題の受付印を捺したという担当職員は、文書開示の場におけるハンターの確認に対し、正直に当時の経緯を語っている。「この受付印を捺した時には、私一人の判断ではなく、(上級者に判断を)仰いだ」――。勇気ある証言であり、短い時間ながら、実直さが十分に伝わってくる状況だった。

当該職員は、その後の市の聞き取り調査に対し、問題の発端となった不適切な業者登録の経緯について証言。受付印に「年」を記入しなかったことは(*下の画像参照)、自分なりの抵抗だったことまで話したという。真実から逃げないその姿勢には敬意を表したい。

もとより公務員は全体の奉仕者であり、一部権力者に利用される存在ではない。公務員としての矜持を貫こうとする職員は守られるべきだ。そうした意味で、受付印を捺した職員には何の罪もない。問われるべきは、不正を部下に押し付けた当時の上級職員であり、その背景だ。

■業者の追加登録を求めた元課長と認めた元副市長

2020年3月に提出された業者登録の申請書に「2019年11月20日」の受付印が必要だった理由はハッキリしている。申請書の提出期限が、同日の締め切りだったからだ。そもそも、締め切りから3か月以上も経って市に申請書が提出されることがイレギュラー。原則として受付けてはならないルールだったが、無理を通した幹部職員の存在があった。

11月20までに提出された申請書に基づき、「令和2年度田川市競争入札参加有資格者名簿(物品・役務)」への登録(いわゆる業者登録)の可否を審査したのは、元年度の終わりが近くなった翌年3月。田川市では、同月10日までに登録審査が終了していた。

しかし、当時環境対策課(現:環境政策課)の課長だった池口芳幸氏(現・田川地区広域環境衛生施設組合課長)が同月16日、財政課長に「クリーン北部九州」という業者を登録するよう要請。財政課長はやむなくこれを容認する。追加登録の必要性について、池口氏から具体的な理由は示されなかったとされる。

業者登録の審査で最終決裁の権限を有していたのは当時の副市長だった松村安洋氏(現・田川地区消防組合副管理者)。ルールを逸脱したクリーン北部九州の業者登録には、当然、同氏による同意・決裁があったということになる。

田川市内に本社を置かなければクリーン北部九州を「市内業者」として登録することはできない。同社はこの年「3月9日」に、香春町から田川市内に“登記簿上の本社”を移転させていた。登録審査終了の前日というタイミングだった。

翌21年、クリーン北部九州は5月に実施された田川市のごみ収集業者選定プロポーザルで2位となり、1位になった他業者の“不可解な辞退”を受けて業務を受託。その際の選定審査では、田川市に「営業所」を有することからプロポーザル参加資格を満たしていたはずの業者が採点では「0点」とされ結果、落選。一方、1年2か月前に本社所在地を香春町から営業実態のない田川市の住所に移したことを登記することで移転を偽装した疑いがあるクリーン北部九州に「8点」が付けられていた。プロポーザルの審査員5人のうちの一人が、同社に便宜を図ったとみられる池口元環境対策課長である。

ごみ収集運搬プロポーザルを巡っては、プロポーザル選定1位となったS社のゴルフコンぺ開催にあたって、池口氏が自身の会員権でゴルフ場を予約(既報3)。利害関係者と交遊関係があったことが明らかとなったことで業者選定に疑惑が浮上し、クリーン北部九州に関する池口氏らの不自然な動きもあって、市議会に百条委員会が設置されている。

現職の村上市長は、二場市政下で行われたごみ収集運搬選定プロポーザルに不正が強く疑われるとして業務委託契約の見直しを宣言。A、B、Cに分かれた3工区のうち、既にB及びC工区の入札を実施している。A工区を譲ってもらった形のクリーン北部九州だけが、契約打ち切りに同意していない模様だ。

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