鹿児島県警による捜査拒否が被害を拡大させた結婚詐欺事件。第二の被害者であるBさんは、犯人の詐欺師・日高洋被告に騙され総額2,700万円あまりの損害を被っていた。必死の思いで駆け込んだ先は鹿児島南警察署。しかし同署の警察官は、証拠を示して捜査するよう訴えたBさんを3回に渡って“門前払い”していた。
■不作為の証明
被害者Aさんのケースで捜査拒否を続けていたのは鹿児島中央署(既報1、既報2)。Bさんの場合は鹿児島南署が3回、頑なに捜査を拒んでいた。Bさんが残した記録によれば、2022年6月17日と同18日の担当警察官の発言は以下の通りだ。

「ただの債務不履行」「事件性がない」――日高の立件に至ったその経緯をみれば、この時の警察官の言動が、単なる認識不足ではなく意図的な捜査拒否だったことが分かる。Bさんが個人情報開示請求によって入手した17日と18日の「苦情・相談等事案処理票」には、【措置結果】として次のように記されていた。
6月17日→《借用契約をしている以上、債務不履行となり、民事上の問題となる可能性があること》《返済を要求する際は、無用なトラブルを避けるため(略)弁護士にも相談すること》――「詐欺だ」と訴えている事案を、あくまでも民事事件として処理したのは明らかだ。

辻褄を合わせるためだろう、「詐欺罪ではなく債務不履行となる可能性があることが説明されて分かります。弁護士には相談していないので、近場の弁護士を頼ろうかと思います」などと言ってもいないBさんの発言を捏造していた。
6月18日→800万円を日高に騙し取られていた別の被害者(以下、「Cさん」)を同行して詐欺で捜査するよう訴えたが、「犯罪に該当するか判断しかねる」とした上で、現金授受の現場を管轄する薩摩川内署に行くよう指示していた。

同一犯に関する被害申告を受けながら、二人のうちの一人を「たらい回し」にし、諦めることを狙った姑息な手口。詐欺を疑って“調べなければ”という意思がまったくなかったことが分かる。
県民の生命・財産を守るという使命を忘れ、自分たちの都合や「めんどくさい」「やりたくない」という気持ちを優先させたということだ。それが組織の特徴になっている点、鹿児島県警の病状は深刻である。
南署の捜査拒否にショックを受けたBさんだったが、6月22日にはさらなる証拠を揃え、実兄を伴って3度目の被害申告に訪れる。しかし、捜査拒否の姿勢は変わらず、前掲の表の通り「事件性はない」と一蹴されていた。
問題なのは、同日の相談記録が残されていなかったことである。Bさんの個人情報開示請求の結果、同日の処理票は「不存在」。南署の警察官が、相談内容や提示された証拠品の記録を作成していないか、廃棄したかのどちらかだ。
■またしても鹿児島中央署
事件はこの後、別の警察署の判断によって動き出す。捜査拒否の姿勢を崩そうとしない鹿児島南署に見切りをつけたBさんは、鹿児島市外にある警察署に被害相談。担当した警察官は、詐欺での捜査に前向きになってくれたという。
そして同年8月、鹿児島市内で直接会って詐取した現金を返すよう迫ったBさんに対し、犯人の日高が暴行事件を起こす。不幸なことに、現場に臨場したのはAさんの詐欺被害を4年近く放置した「鹿児島中央署」だった。捜査拒否が常態化していた不良警察署だ。案の定、日高が起こした暴行事件は放置される。
(中願寺純則)















