自民党新グループ「国力研究会」はまるで高市派

5月21日、高市早苗首相を支えることを目的にした新たなグループ「国力研究会」が発足する。発起人には、麻生太郎副総裁、茂木敏充外相、萩生田光一幹事長代行や昨年の総裁選で戦った小泉進次郎防衛相、小林鷹之政調会長も名を連ねる。実質的なトップは麻生氏が務め、茂木氏や小泉氏、萩生田氏らがその脇をかためる重厚な布陣だ。グループは「JiB」という略称を使う。

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JiB」とは、高市首相が総裁選以来キャッチコピーにしてきた「JAPAN is BACK」の略。まさに「高市派」の旗揚げといった雰囲気だ。

かつて旧安倍派(旧清和会)に所属したこともある高市首相だが、同派を抜けて以降は無派閥で通してきた。「夜の会合が苦手」と公言する高市首相。JiBに参加予定の中堅議員はこう話す。

「派閥に所属すると夜の会合が増え、若手の面倒も見なければいけない。高市総理は、そういう煩わしいことは避けたいと思っていたのでしょう。しかし、周辺の情勢や麻生先生ら総裁選で支援してくれた人をつなぎとめるには、支持率が高いうちにまとまったほうがいいという判断ではないですかね」

報道各社の世論調査では依然として高支持率を誇る高市首相だが、旧二階派は、政界を引退した二階俊博元幹事長に代わって武田良太衆議院議員が「総合安全保障研究会」というグループを結成。参議院自民党では、石井準一参院幹事長が「自由民主党参議院クラブ」を40人超の規模で立ち上げた。

党内基盤が弱く、支持率頼りの高市首相だけに、アメリカとイランの戦争、物価高など流動的な懸案がある中で支持率はいつ急落するかわからない。

「高市さんを支えるグループのキーマンは、キングメーカーの麻生副総裁。ちょうど、麻生さんにとってもこのタイミングがベストなんじゃないか」と指摘するのは自民党のある閣僚経験者だ。昨年の自民党総裁選で高市首相を誕生させた際は、自身が副総裁に就任し、義弟の鈴木俊一幹事長、麻生派の有村治子氏を総務会長に据えるなど要職を麻生派で奪取。今年秋に内閣改造人事が予定されるが、麻生氏にとっては、そこでも主要閣僚、党役員をキープできるかが、キングメーカーとしての腕の見せ所だ。

昨年秋の総裁選に出馬した、茂木氏、小泉氏、小林氏も取り込み、高市首相の「次」も抑えにかかっているところは、いかにも麻生氏らしい。

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注目すべきは武田氏や石井氏との対立軸だ。麻生氏と武田氏の「不仲」は永田町で知らぬものがいないほど有名。前出の閣僚経験者は次のように解説する。

「麻生さんが地元の福岡で会合に参加する際、必ず武田氏の出席状況を確認すると聞いている。もし2人とも出席の場合は、座席を離す、挨拶を時間差にするなど、調整がとられるという。現在、派閥は麻生派しかない中で、武田氏が旧二階派を再興することは確実。高市首相を中心としたグループを結成することで、武田氏を押さえ込もうという狙いがあるはず」

麻生氏にとっては参議院の動向も気になるところ。今年2月の衆議院選挙は高市首相のもとで圧勝した。しかし、参議院は今も過半数に達していない。そこへ麻生氏の意向が届きにくい石井氏が力を持ち始めており、これはキングメーカーにとってはマイナスだ。

「石井氏のグループには麻生派からの参加もあるようだが、あくまでけん制と情報収集が目的ではないか。麻生さんは、高市政権が長期となるか否かを決めるのは、来年春の統一地方選ではなく参議院選挙とみており、石井氏の動きもけん制したいんだろう(前出の閣僚経験者)

もう一点、次期総理の有力候補・林芳正総務相や旧岸田派、旧二階派の幹部は発起人に名前を連ねていないことにも意味がありそうだ。

「林さんと麻生さんは、もともと距離がある関係。林さんとしては、新グループ発起人の声がかからなかったということで『外された感』がかなりあるでしょうね。このまま高市首相の高支持率が続けば、2028年に予定される自民党総裁選は無投票になりかねない。林さんには、かなり焦りがあるでしょうね」(別の自民党関係者)

新グループJiBは、2月の衆議院選挙で当選した「サナエチルドレン」にとって絶好のアピールの場だ。派閥裏金事件から復活した「裏金議員」にとっても、新しいグループの結成は好都合。党内からは「サナエチルドレン、裏金議員、どちらも新グループ大歓迎で参加したいと言っている。無派閥の新人も多く、どうせなら派閥にしてほしいと意見もある」といった声が上がる状況だ。

ハンターが入手した《「国力研究会」発足とご参加のお願い》という文書には、《いかに崇高な理念があろうとも、それだけで国を守り抜くことはできません。いま求められているのは、現実的な政府と与党の連携》とある。そこには、高市首相の力が強過ぎるため「官高党低」と揶揄される情勢を、脱却したいとの思惑も見え隠れする。

岸田文雄元首相は「派閥解消」を宣言して自らの岸田派を解散したが、結局、自民党は「派閥政治」に逆戻りしそうだ。吉と出るか凶と出るか……。

 

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