辺野古転覆事故で岐路に立つオール沖縄

先月25日、沖縄県の玉城デニー知事が記者会見し、8月27日告示、9月13日投開票予定の沖縄知事選に3選を目指して立候補することを表明した。
すでに古謝玄太前那覇市副市長も出馬する意向を示しており、自民党は同氏を全面的に支援する見通しだ。オール沖縄の現職VS自民党という構図となる見通しである。

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翁長雄志元知事の「後継」とあって、過去2回の知事選を圧倒的な強さで勝ち抜いてきた玉城氏。しかし、今回は出馬表明直前に嵐が吹き荒れた。

3月16日、基地建設が進む辺野古の海で、研修旅行で訪れた同志社国際高校の生徒が乗った2隻の船が転覆。船長と女子高生一人が亡くなった。

船の運航は、辺野古基地建設に反対している「ヘリ基地反対協議会」が主体。同協議会は、玉城氏の支援組織「オール沖縄」の中心的な組織でもある。オール沖縄のある地方議員Aさんは、内幕について「女子生徒の49日法要も済んでいないときに会見をするのはどうか」「オール沖縄の有力なグループが事故の原因であることは、誰の目にも明らか。玉城氏の知事選出馬は辞退したほうがいい」などという厳しい意見もあったと話す。

そんな空気感を知ってか、玉城氏は会見の冒頭「黙とうをささげさせていただきたい」と述べ目を閉じた。だが辺野古の事故には触れず《誰一人取り残さない、沖縄らしい優しい社会。平和で誇りある、豊かな沖縄。新時代沖縄、さらに希望の先へ!Beyond hope, together 私、玉城デニーの思いはこれからも県民~ウマンチュとともにあることを改めて誓い、県知事3期目へ向かう出馬への決意といたします》などと発言。自らの県政運営と3期目への展望について約20分間訴えた。

記者から黙とうの理由を聞かれた知事は、「3月16日、辺野古で痛ましいあの事故があった。お二人の方が亡くなられたということ、今まだ沖縄でいうと49日を過ぎていない忌中であるということを踏まえ、おごそかに追悼するという気持ちで黙とうをした」と説明した。

さらに、地元の記者から黙とうの意味合いや辺野古反対勢力に対する批判が高まっていることを聞かれると、「(2月の)衆議院選挙では、私が応援する候補の当選が叶いませんでした。しかし、一方で全国の首長選を見てみると、必ずしも衆議院選挙で勝利を得た自民党が推薦する候補者が勝っているのかというと、そうではない現状。つまり、国政選挙として捉えることと、それぞれの地域課題が浮き彫りになる首長選挙――沖縄における県知事選挙――は、これまでの沖縄の歴史と、そして事実と将来に向けたその方向性をどのように県民に訴えていくかが大切」と答えた。

当事者意識を欠く発言だと言うしかないが、知事は「辺野古反対側に対する批判が、特に SNSでは猛烈に吹き荒れている」「私は沖縄の平和教育は決してそういう偏向的なものではない。事実に基づいて証言をされた方々、沖縄戦を研究された研究者の方々の実績」と同協議会を“擁護”したとも思われる発言も行っていた。

以前、オール沖縄で活動していた別の人は次のように振り返る。

「玉城知事は翁長さんの後継だということで、自民党と公明党の一部からも支援があった。だが、時間が経過して、オール沖縄という党派を超えた運動体が、いつしか特定政党の牙城になってしまった感がある。仲間だった自民党系、公明党系の人たちが去っていったのも目にしてきた。そこに、辺野古の事故……。玉城知事は記者会見で協議会の肩を持つような発言をしていたが、まずいと感じた。協議会が実質的に運営している船で女子高生は亡くなっている。なぜその謝罪が最初にないのか、かつての仲間として残念でした。平和教育がどうとか反論するのではなく、まずは亡くなった2人、特に女子高生のために知事が何をすべきかを語るべきだった。玉城さんにそれを進言する側近がいなかったとすれば、悲しいことだ」

亡くなった女子高生の家族はnoteで事実関係や心情を発信しているが、その中に次のような一文がある。

《日記で記した数日間に登場しない方達がいます。書きたくても書ける内容が無い人たちです。平和丸の船長、乗組員、ヘリ基地反対協議会その他の関係責任者達。沖縄にいる間、知華や私たちへ対面しての直接の謝罪、面会可否の問い合わせ、託された手紙、弔電、何ひとつありませんでした。学校、ツアー会社、中城海上保安部のいずれのルートでも問い合わせがなかったことを確認しています。私はこれを、どう理解すれば良いのでしょうか》

こうした遺族の悲痛な声に、ヘリ基地反対協議会がホームページで「事故後対応および安全管理の不備に関するお詫び」というお詫びを掲載したのはなんと5月に入ってからだった(⇒こちら)。事故と向き合い、反省する姿勢は伺えない。

オール沖縄を応援してきたという県民の一人が、残念そうに語る。

「協議会がオール沖縄の有力メンバーであることは多くの人がわかっている。辺野古の事故についてはオール沖縄としてきちんと謝罪すべきという意見が多数なのに、『国が辺野古基地を進めるから反対するのであって、自分たちは悪くない』という主張が出てくる。私個人としては、まず亡くなった女子高生のご遺族への謝罪だろうと思うのですが、オール沖縄内部では協議会に口出ししづらい空気がある。結局、選挙を控えた玉城知事も協議会に離反されたくないので、触れようとしないのでしょうかね」

玉城知事もオール沖縄も、重要な岐路に立たされている。

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