先月29日、総務省は2025年国勢調査の速報値を発表。それに基づき「一票の格差」の試算も公表され、衆議院の小選挙区では石川3区が議員1人当たりの人口が最も少なく、格差を比較すると、2倍以上になるのは2.274倍の福岡2区をはじめとする39選挙区にのぼった。「1票の格差」は「1人1票」の法の下の平等に鑑みて「違憲」と何度も裁判所でも判断されてきた課題。裁判所が「選挙のやり直し」にまで踏み込んでこなかったため、軽んじられてきた感がある。
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自民党と連立を組む日本維新の会は、衆議院の定数削減を声高に叫んできた。現在、与党の中で「小選挙区25と比例区20」もしくは「比例区45」の削減案が検討されている。
「定数削減まで持ち上がって、ますます高市政権の力が強くなる。内輪もめしている場合じゃないんですが……。高市1強体制で我々野党がまったく抵抗できていない。存在感がないという状況」と語るのは、立憲民主党の参議院議員。国勢調査の資料を見ながら「問題はここですよ」と指さした。香川県の数字だ。
小選挙区で25削減となれば香川県は1減となる。香川1区は中道改革連合の小川淳也代表、香川2区は国民民主党の玉木雄一郎代表の地盤だ。現在、香川県全体で小選挙区の定数は3。それが2になると小川氏と玉木氏の一騎打ちという事態になりかねない。それどころか、ハンター独自の算定では小選挙区289を現状維持した場合でも、1票の格差からみると香川県の3は2になる可能性が高い。
だが、小川氏と玉木氏の関係は、「芳しくない」と両党の幹部が認めるところ。4月末、香川県で開かれたメーデーの集会に現れたのは小川氏だけで、玉木氏の姿はなかった。中道、国民とも労働組合がメインの支持母体。中道系を支援するのは公務員など官公労中心の旧総評系労組。国民系は民間労組がバックアップしてきたはずだが……。国民民主党のある議員がこう解説する。
「(香川県の)メーデーの集会は官公労中心の労組が主体だったので、こちら(国民側)は出席しなかった。香川県全体では、民間労組の組合員の方が数では上。官公労ばかりのところに玉木が行く必要はないだろう」
高市早苗首相は、維新と組んで国旗損壊罪、議員定数削減、副首都構想など好き放題にやる構え。しかし、国民が切望する物価高対策はまったく進まないのが現状だ。
小川氏は、かねてから「政権の受け皿たりうる野党の再構築。野党の一本化」と主張してきた。しかし、国勢調査の結果を見越していたであろう玉木氏は、高市政権への「連立入り」を水面下で模索しているという。維新の中司宏幹事長も「政権基盤を安定していくことから望ましい」と国民民主党の連立入りを「歓迎」する意向を示している。
今年の衆議院選挙では自民党が316議席を得て圧勝。維新も36議席で与党の合計は352議席となった。一方、立憲民主党と公明党の衆議院議員が合流し「中道改革連合」を結成して戦ったが、改選前に172あった議席は49に激減。うち公明党出身者は28人が当選、立憲民主党は前職144人が21人にまで減った。
参議院では公明党と立憲民主党が今も分かれたまま。ひとつにまとまる気配さえない。小川氏は責任を感じていないのか「公明党は前向きだが、立憲民主党はかなり慎重。腰が引けている」と講演で発言し参院側から猛反発を受けた。
小川氏は「控えるべき表現であり、痛切に猛烈に反省している」と詫びたが、立憲側からは「すぐに詫びるくらいなら、最初からしゃべらなければいいんですよ。立憲民主党も威張れることはないが、中道はもっとダメ。それは衆議院選挙の結果が証明しています。国民民主党が連立入りすれば、完全にうち(立憲)も中道も孤立する。小川さんはその点がまったくわかってない」(前出の立憲議員)と厳しい声があがる。
中道は政党運営の資金にも窮したことで、5月15日からクラウドファンディングで寄付を募りはじめた。寄付額は原稿執筆の時点で9,000万円を超え、目標の1億円に届きそうな勢い。ある意味、国民の期待が大きい証左なのだが、ある立憲の関係者は「クラファンが好調なので、調子に乗って立憲民主党にあんな発言をしたんじゃないの。代表の器じゃないんだよ」と突き放す。
連立入りに「政策本位、協力できることはやっていく」と色気を見せる玉木氏。参議院では自民党が少数与党だからだ。
「党内では、若手が『ぜひ連立に』という姿勢。ベテランは支援者のご機嫌うかがいが先という空気感だ。労組が最大の支援者であることは、うちも中道も立憲民主党も同じ。もし連立入りとなれば、労組票は一気に国民民主から離れてしまう。そこへ国勢調査の結果が出た。香川県が地盤の玉木さんは、労組の支援がないと選挙に勝てなくなるのを自覚したはず。だから、政権入りし大臣になって選挙対策を、という考えなのかもしれない。『国民が政権入りか』と報じられるたび、玉木さんは嬉しそうだから」(民間労組系の議員)
小沢一郎氏は自身のYouTubeチャンネルで、「中道でも立憲でも政権交代の受け皿にはなれない、それだけは明白。だからみんな深刻なんだよ。野党がまとまって政権とることで改革がはじまる。できないから自民党の好きにされちゃっている」と語っている。まさに正論だが、小川氏や玉木氏には届きそうもない。















