衆院選挙区「区割り」で注目される福岡11区

先月29日、総務省が2025年度の国勢調査の速報値を発表した。昨年10月1日時点の日本の総人口は1億2,304万9,524人(男性5,977万8,826人、女性6,327万698人)。前回の2020年と比較して約309万人減のマイナス2.5%となった。中国地方選出のある自民党衆議院議員は、「一票の格差で問題となる選挙区の議員は戦々恐々だよ」と話す。次の総選挙に向けて「区割り」の問題が動き出している。

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衆議院議員選挙区画定審議会(区割り審)は6月3日に会合を開き、「1票の格差」が2倍未満となるよう求めた上で、区割り改定案作成に着手。最も人口が多かったのは福岡2区、二番目は福岡1区、4番目が福岡3区と福岡市を中心とする選挙区が並んだ。

反対に最も少ないのは石川3区、次いで京都5区。福岡2区と石川3区の人口数の差は約31万人、格差は2.274倍となる。

総務省の幹部は次のように説明する。

「小選挙区なので、一票の格差を是正していくとなれば都道府県単位となる。参議院では、鳥取・島根と高知・徳島のように都道府県をまたいで合区になったが、衆議院ではそうならない。例えば、東京都と神奈川県に隣接する選挙区のケース。A市は東京、B市は神奈川という場合、その2つがひとつになるというのは絶対にない。都道府県単位で1票の格差を是正できるよう、今後、改定案を作成します」

そうなると、福岡県は全体的に是正が図られることになる。

福岡2区の人口は56万1,373人と全国最多。県域で最も少ないのは福岡11区の28万145人で約2倍の開きがある。

九州の小選挙区で最も人口が少ないのは大分2区の27万3,603人で、その次が福岡11区。なんらかの区割り変更が必要となるはずだ。

「十分予想できたことではありますが、実際に速報値が出てみると区割りが変わって大変だろうなと実感します」――そうつぶやくのは福岡11区の地方議員だ。

福岡11区は、今年2月の衆議院選挙では武田良太元総務相が返り咲き8度目の当選。24年の総選挙で武田氏を下した日本維新の会の村上智信氏も比例復活している。同一選挙区に二人の代議士がいる形だ。

同区は、北九州市南部付近から筑豊、豊前に広がっており3市11町1村からなる。隣り合わせの小選挙区は、北九州市の東側に位置する福岡10区、飯塚市を中心とした福岡8区、そして福岡5区だ。その人口数は10区が46万3,052人、5区が54万2,439人、8区が38万6,106人となっている。

数字から見ると5区の一部が11区に編入されるという見方も成り立つが、ことはそう簡単ではない。福岡県の場合、1つの小選挙区の人口が40万人強というのが格差是正の目安。11区は12万人ほど足りない。5区で直接11区と隣接しているのは東峰村。その西側に朝倉市と筑前町という位置関係となる。この三つの自治体の人口を合計すると約8万人。まだかなり足りないのだ。福岡県の選挙区事情に詳しい永田町関係者が次のように指摘する。

「小選挙区で選ばれるのは、国で仕事をしてもらう地域の代表。福岡11区には特有の風土、気質、歴史、土地柄というものがあり、5区の朝倉市などと比較するとまったく違う。10区は北九州市のベッドタウン。11区とはあらゆる点で違い過ぎる。数合わせで物事を進めるのは無理。そんな観点で見れば、同じ筑豊ということで8区の一部しかないという意見が浮上してくる」

だが8区も40万人に届いておらず、ここから10万人近くを11区に持っていくのは難しい。そこで浮上するのが8区の西に隣接する4区。人口は48万2,197人で、格差2倍に限りなく近い1.9倍。4区の一部を8区に、8区の一部を11区にして調整するというのは現実的な解決方法かもしれない。

8区は麻生太郎副総裁の地元だ。麻生城下町といわれる飯塚市を中心に強固な地盤を誇る。麻生派議員の話。

「高市総理のキングメーカーになって復活した麻生先生はとても元気です。ただ、年齢のこともあって、派閥の中からは『次の選挙はどうされるのか』と心配する声もあがっています。もし跡継ぎに譲られるのであれば、今の区割りでなければ麻生先生も心配。総務省に、麻生先生の地元に切り込むほどの胆力があるのかどうか……」

飯塚市の人口は約12万人。丸ごと11区に移れば同区は40万人超となる。8区の減った分を4区から8区にという区割り案は、やはりベターな形だ。

いずれにせよ、困難が予想される区割りの見直し。霞が関には、福岡4区の東側に位置する篠栗町などの一部を、8区を飛び越え11区に編入するというウルトラCの案もあるという。ただ「飛び地」が問題になるのは必定で、あまりに麻生氏への忖度が過ぎるという批判が出るのも確実。その案の実現性は不透明だ。

「飯塚市は麻生先生の地元中の地元。それを11区になんて無理でしょう。なんせ麻生先生と武田氏は犬猿の仲。どうしても8区から11区に一部の地域を持っていくとすれば、むしろ11区と接する直方市や嘉麻市ではないか。朝倉市などと比較すると、まだ土地柄も近い。直方、嘉麻の2つの市で人口が約8万人。恰好はつく」(地元の経済人)

今後の「区割り」が次の選挙に大きく影響しそうだ。

 

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