G7サミットから帰国した高市早苗首相について、「サミット期間中、アメリカとイランの紛争終結の覚書が交わされたことが分かり、トランプ大統領の独壇場となりました。高市首相のにこやかな笑顔がテレビに映ってましたが、さしたる成果もなく、トランプとの役者の違いを見せつけられました」とアイスコーヒーを手に苦笑するのは外務官僚のA氏。その上で、「うちの仕事はサミットで一息。次は消費減税。総理は財務省とどうやりあうのかですね」と余裕の構えだ。高市氏を待ち受けているのは、これまで何の対策もできなかった物価高への対応である。
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高市首相は今年2月の衆議院選挙で「食料品の消費税率2年間0%」を公約に掲げた。しかし、首相の強い意向で発足した消費税減税や「給付付き税額控除」の導入に向けた制度設計を論議する、「社会保障国民会議」では“食料品の消費税率を1%”にする案が軸となっている。最終的には「1%」案が通る見込みだ。なぜ0%でなく1%なのか?
スーパーや商店のレジは、消費税0%を想定したシステム設計になっていないという。消費税は必ずあるもので0%は入力ができない。それを改修するには1年以上かかるが、1%なら3か月から半年程度で対応可能。消費税1%説は、別の形で国民に還元して“事実上の0%”にするというものだ。
当然、野党からは「議論が尽くされていない」との批判の声が上がる。旧安倍派衆院議員の解説はこうだ。
「高市総理は0%を公約した、連立入りした日本維新の会とも合意している。一方で、財務省は0%だと恒久的な消費税ゼロにつながりかねないと警戒している。レジ改修をネタに1%で決着させ、消費税がゼロにならないようにと考えている。社会保障国民会議をうまく篭絡して食料品の消費税率を1%にし、別建てで1%を還元するという手法でごまかそうという魂胆ですよ」
この裏には、高市首相の生みの親ともいえる麻生太郎副総裁の思いが見え隠れする。
麻生氏は以前から高市首相の公約「食料品の消費税率2年間0%」については否定的な姿勢だったが、衆議院選挙で高市自民党が大勝したため注文がつけられなくなった。前出の旧安倍派議員が内幕を明かす。
「麻生さんは『消費税には手を付けられんだろう』『消費税は現行のままでいい』と周囲に語っていた。しかし、高市総理が公約に固執した。二人がぶつかるわけにはいかないので、消費税1%を残して麻生氏のメンツを立て、高市総理も公約を果たしたという格好をつくるためにこのような案が出てきたのです。社会保障国民会議が1%案を推すこともほぼ確定。本当なら食料品消費税0%でやった方が高市内閣も自民党も支持率がアップするんですがね。やはり党内事情があるんですよね」
現在は、高市首相の支持率の高さから、官邸が主導権を握る「官高党低」という状況だ。党本部には、副総裁の麻生氏、麻生氏の義弟の鈴木俊一幹事長、麻生派の有村治子総務会長らが陣取るも、政策的には“蚊帳の外”に置かれた感がある。
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2月の総選挙の際、高市氏は麻生氏や鈴木氏に「解散」を事前相談しなかったとされる。その後、麻生氏を衆議院議長に推すことで“麻生外し”まで目論んだ。麻生氏主導で5月に発足した自民党の「国力研究会」も、議員連盟にしたことで反高市派まで含む347人もの議員が参加、高市派と反高市派を選別するための踏み絵作りに失敗している。
このままでは麻生氏のメンツが立たない。官高党低の状況も何とか変えたい。秋には党役員人事が控えており、その思いは強くなるばかり。特に鈴木氏が幹事長から外されるようなことになれば、麻生氏のキングメーカーとして威光はガタ落ちとなる。巻き返しに必死になるには、それなりの事情があるということだ。ある自民党の代議士がこう話す。
「麻生さんは、0%を主張する高市首相に財務省を使って1%で対抗しようという算段なのかもしれない。1%で決着となれば『さすがは麻生先生だ』となる。もともと高市総理は周囲に仲間が少ないので、麻生さんを頼りにするしかないんだから」
高市首相が連立を組む日本維新の会とのつながりを大事にしているのに対して、麻生氏は国民民主党の取り込みに熱心だ。国民民主党を連立に組み入れることよって、キングメーカーとしての立ち位置はより強固なものになる。「官低党高」にも持ち込める。まさに一石二鳥なのだ。
次期衆議院選挙のタイミング次第では麻生氏自身ではなく“後継者”の出馬も予想される。国勢調査をもとにした区割り変更が実施されるのは必至で、麻生氏の牙城、福岡8区も先行き不透明だという。方や高市氏は「中傷動画」「サナエトークン」疑惑で連日攻め立てられ、まさに土壇場。物価高、円安、ナフサ不足など問題山積で国民生活が厳しさを増す中、減税策を巡る駆け引きなどやっている場合ではあるまい。















