福岡県を中心に熊本、佐賀、長崎などで販売展開するブロック紙「西日本新聞」。福岡県議会による海外出張の際の高額な旅費、規定の上限を超えた講師料、任意組織である部課長会によるパーティー券購入、議長・副議長就任に伴う現金授受等々、これでもかと言わんばかりの批判報道が続く。ワッペン(*新聞が連載記事につけるデザインされた模様やマーク。下の画像)まで付けて長期戦の構えだが、途中からすべての責任を一人の実力者に負わせる形の個人攻撃に変容した。政治的な思惑が透けて見える展開だ。

西日本新聞のターゲットは県議会議長で全国都道府県議長会の会長でもある蔵内勇夫氏である。同氏は、世界獣医師会の会長という重責も担っている。過剰なまでに展開される蔵内氏への攻撃。県が推進してきた「ワンヘルス」まで悪者扱いだ。西日本新聞が新聞協会賞に応募していることから賞狙いの特集であることは明らかで、連日のようにセンセーショナルな見出しが躍る。

信頼を失いつつあるオールドメディアらしいやり方だが、ろくに取材もしていない有象無象が追随して県議会や蔵内氏を攻撃するという状況には辟易する。こうなるとまるで“いじめ”の構図だ。そもそも、西日本新聞の報道姿勢や記事の内容に問題はないのだろうか?筆者はいくつかの点で疑問を抱いており、その点について今後の配信記事で明らかにしていく予定だ。
ただ、偏向報道を想起させる例があるので、これだけは先に述べておきたい。先月、高額な海外視察が問題視されていることについて会見に応じた蔵内氏が、「海外旅行」と発言した。西日本新聞も他のメディアもこの「旅行」という言葉に飛びついた。(*下は西日本新聞6月12日朝刊の紙面)

同紙はわざわざ引用符“ ”を付けて“海外旅行”と表記。あるキー局のワイドショーは、海外旅行発言の場面を繰り返し使って会見の様子を伝えた。オールドメディアが得意とする「印象操作」だが、ハンターは絶対にやらない。厳密に述べると、蔵内氏が発した「旅行」は間違いではないからだ。県の条例を確認すればすぐに解かる話である。
「福岡県議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例」
議長、副議長及び議員が公務のため旅行したときは、その費用弁償として、特別職給与等条例別表第三の一に規定する鉄道賃、船賃、航空賃及び車賃並びに同表の二に規定する宿泊費、包括宿泊費、宿泊手当及び旅行雑費のうち、議長及び副議長にあつては知事 副知事の項に掲げる額、議員にあつてはその他の特別職の項に掲げる額を支給する。(第5条3)
【福岡県職員等の旅費に関する条例】
この条例は、公務のために旅行する職員及び職員以外の者に対して支給する旅費に関し、別に定めがあるものを除くほか、必要な事項を定めることを目的とする。(第1条)
(旅行命令等)次の各号に掲げる旅行は、当該各号に掲げる区分により、旅行命令権者の発する旅行命令等によつて行わなければならない。(第4条)
一 前条第一項の規定に該当する旅行 旅行命令
二 前条第四項の規定に該当する旅行 旅行依頼
県議会議員や県職員が出張する際の公式用語は「旅行」。これは、ほとんどの自治体に共通だ。例えば、福岡市の「福岡市職員等の旅費支給条例」はこう規定する。
この条例は、公務のため旅行する福岡市職員等に対し支給する旅費に関し諸般の基準を定め、公務の円滑な運営に資するとともに市費の適正な支出を図ることを目的とする。(第1条)
北九州市も同様。「北九州市旅費条例」も「北九州市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例」も「旅行」である。西日本新聞もテレビ局も、こうした事実を知った上でニュースを流しているのか疑問だ。知っていて「旅行」に過剰反応してみせたのであれば、間違いなく「印象操作」である。蔵内氏は、職員に言われたくらいで訂正する必要などなかった。
報道した同紙やワイドショーからは「それでも一般的に旅行と言えば、娯楽の一環としかみられない」という反論が聞こえてきそうだが、役所の条例がそうなっている以上、“ ”でくくるのは自分たちの無知、確認不足を周知するようなものだ。“ ”による強調は、たちの悪い「誘導」に過ぎない。
「印象操作」といえば、西日本新聞の記事の中には、読者を「誘導」しようとする意志を持った表現が散在している。例えば、9日朝刊の記事から2か所、赤い二重線で示した。


普通なら「~と述べた」と書くのが新聞の流儀だろうが、『とぼけた』と主観的な表現。さらに別の記事でも、淡々と「~などといったやりとり」とすればいいのに、「生々しいやりとり」とここでも主観が入っている。新聞や雑誌がやる「誘導」に他なるまい。取材相手の印象を悪くしようとする意図が透けて見える。
西日本新聞はその後、歴代県議会議長と副議長就任の裏舞台を暴露した元議長のインタビューを掲載。系列のローカル局TNCも録音データを流して同紙に追随した。県政界にヒーロー誕生だ。しかし、しょせんはカネで議長の椅子を買った議員。辞職して自らの責任を果たすべきだと思うが、「カツアゲ」とまで言って古巣を罵倒した。「大丈夫ですか?」と言っておきたい。
先行きが心配になるのは西日本新聞も同じ。賞狙いで突っ走ると、思わぬところで躓くものだ。
(中願寺純則)
















