国民不在!皇室典範改正で暴走する麻生と高市

先月30日、政府が皇室典範改正案を閣議決定、高市早苗首相は今国会で成立を目指す方針だ。「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する」「旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える」が可能となる改正案だが、国民の理解は得られそうにない。

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改正案は、国会が衆参両院の正副議長の下、全会派参加でまとめられた、「立法府の総意」を軸にしたものだ。しかし、政府が示した改正案には“養子が皇族となった後に生まれた子が男子なら継承資格を持てる”という規定が入った。「立法府の総意」をまとめる会議に参加していたある衆議院議員は憤懣やるかたない表情でこう話す。

「立法府の総意」で検討がなされた時は、「養子の子どもの身分、皇位継承ができるかについては論議がたくさんありまとめきれなった。それよりも喫緊の課題は、皇族数の減少。天皇陛下を支える皇族方が減少すると、公務が立ち行かなくなる。そこで、立法府の総意では、皇族数の安定的な確保に絞って論議された。それがなぜか、旧宮家の男系男子による皇位継承が可能と、避けてきた『男系男子』を継承する内容となっている。立法府の総意とは何だったのか。高市首相のだまし討ちのようなやり方は納得できない」

朝日新聞は《皇室典範改正 男系男子への歪な傾斜》とタイトルした社説で《今回の議論は「皇族数確保のためにどうするか」にとどまるたてつけだったはずだ》《男系男子への歪な傾斜が鮮明になり、将来の皇位継承のあり方を先取りする真意があらわ》と厳しく批判。

高市政権に近いとされる読売新聞でさえも、《事前の与野党協議では、養子の子の身分については意見がまとまらず、「立法府の総意」では触れられなかった》《旧宮家の男系男子による皇位継承に道を開いた。唐突な決定であり、 由々(ゆゆ)しき事態を招く》と社説で説いた。右左関係なく、大半のメディアが高市政権の皇室典範改正案を問題視しているということだ。

皇室典範改正は2005年、小泉純一郎首相時代から「報告書」が出されるなど論議が続けられてきた重要課題だ。だが、悠仁さまがお生まれになったことで一時論議は棚上げに。ここに来て皇族数減少が待ったなしの問題となり「立法府の総意」へとつながった。ある自民党議員が、現在の状況を次のように説明する。

「高市総理には、右寄りな支持層をバックにして総理の座をつかんだという背景がある。いわゆる岩盤支持層をつなぎとめようと必死で、なんとか今国会での皇室典範改正を目指している。また高市総理の後ろ盾である麻生(太郎)副総裁が、皇室典範改正に前のめりになっており、その動きには逆らえない。要するに総理は、“皇室より総理の座”を守りたいということ。そうでなければ、立法府の総意を超える“男系男子による皇位継承”に固執したりしませんよ」

《旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える》ということになれば、対象とみられる宮家は常陸宮、寛仁親王妃、三笠宮、高円宮の4つとされている。三笠宮寬仁親王殿下と結婚した寛仁親王妃信子さまは麻生氏の妹。2人の間にできた彬子(あきこ)女王殿下、瑶子(ようこ)女王殿下から見れば麻生氏は伯父にあたる。

麻生氏が皇室典範改正を強行に推進していることについて、前出の衆議院議員は「本来中立で政治には関与しないはずの皇室。それが麻生さんの手によって、非常に政治的なものになりかねない。麻生さん、そのうち『うちは皇族なんだよ』と言い出しかねません」と警鐘を鳴らす。

6月30日、麻生氏は小林鷹之政調会長を伴って維新の藤田文武共同代表と会談。今国会での皇室典範改正に協力を求めた。この点について、別の自民党関係者が解説する。

「普段は表舞台にあまり姿を見せない麻生さんが、わざわざ維新にまで頭を下げた。どうしても皇室典範改正を実現させたいという思いでしょう。ただ、党内でも麻生さんと皇室の距離がさらに縮まることを疑問視する声がかなりある」

高市首相も確固たる皇室への思いや「論」があるとは思えない。解りやすい例が、316日の参議院予算委員会で起きた。高市氏は現在の天皇陛下の尊称である「今上陛下」(きんじょうへいか)を「こんじょうへいか」と読み間違ったのだ。その後、間違いに気づくと「ああ、きんじょう陛下」と言い直したが、皇室に対する認識が低いことを露呈した格好となっていた。

報道各社の世論調査を確認してみると、6月の朝日新聞の調査では、女性天皇について「女性もなれるようにした方がよい」が72%。「男性に限った方がよい」はわずか18%だった。5月の共同通信の調査では、女性天皇を認めることに「賛成」が79.6%、「反対」13.3%。ほとんどの国民は女性天皇の誕生に賛同している。

しかし、高市政権の皇室典範改正案が通れば、待望論が強い愛子さまが皇位を継承する可能性はほぼゼロになる。民意を無視する高市政権の皇室典範改正案は、政治色が濃すぎて「不敬」とも言える内容だ。今上陛下は、「皇族数の確保のあり方についての議論においても、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と述べられている。

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