性被害や詐欺に遭って警察に助けを求めてきた多くの女性たちに、「証拠がない」「事件にならない」などと決めつけ諦めさせるという悪質な手口で次々に事件を潰す鹿児島県警。県警さつま署は、強制わいせつ致傷を訴え出た女性(以下、「Yさん」)に被害申告取下げ書へのサインを強要し、被害者本人が事件化を断念したかのように偽装していた。最終的に県警本部長に宛てた報告書には、捜査見送りを被害者本人が納得したことを示す“作文”が随所に出てくる。

■「捜査拒否」正当化の過程
下は、被害女性が県警への個人情報開示請求で入手した、4ページからなるさつま署発出の本部長宛て報告書。発出日は、被害申告の取下げ強要から間もない2016年3月4日となっている。

報告書では、事件の端緒から事情聴取の経過、関係者への聞き取り結果などが記されており、下の4ページ目がまとめの形になっている。(*画像の赤いアンダーラインはハンター編集部。黄色のマーカー表示はYさん)

《刑事事件として立件することは証拠等もないことから難しいと思っていたので、立件できない理由等については分かった》―― 前項で述べたように「証拠がない」と一方的に決めつけたのはさつま署の警察官(既報)。2015年12月8日に行ったYさんへの聴取結果を記した「本部長指揮事件・報告事件報告書」に添付された文書には《当時着用していた服装は既に廃棄している》という記述があったが、これはまったくの虚偽。デニムのスカートとニットのベストという立派な証拠品が現在も残っていることは報じた通りだ。
《刑事では、無理であるので民事はどうかと思い》―― Yさんは、「告訴したいと言っているのに、こんな話をするはずがない。作り話が酷すぎる。報告書を見た瞬間にめまいがしました」と憤る。この記述も、捜査拒否を正当化するための伏線に過ぎない。
《本件立件が困難なことについては納得した》―― 説明する必要はなかろう。最初に紹介したYさんが残した当日の記録が、「強制された納得」であることを物語っているからだ(既報2)。Yさんはこの記述を見た瞬間、被害申告の取下げを強要された時の場面が蘇り、号泣したという。

慣れているのだろう。捜査拒否を正当化するため、少しずつ虚偽を積み上げる手法は実に巧妙だ。立件見送りを決めた決定的な理由が「被害者本人の同意」でなければならないため、恐怖心を与える格好までして被害申告の取下げ書にサインさせたということだ。これが警察のやることか?
さつま署がたった2回の事情聴取で、大した調べもせぬまま「立件見送り」を決めた背景には、性被害や詐欺といった“面倒な捜査”を拒む鹿児島県警特有の組織的体質がある。
2024年、腐りきった県警の体質に危機感を抱いていた二人の警察官の守秘義務違反事件と、それに絡むハンターへの家宅捜索が大きく報じられたことに触発された被害女性が、県警に「個人情報開示請求」を提出。そこから、止まっていた時計が動き出す。
(中願寺純則)















