強制わいせつ致傷を訴え出た女性(以下、「Yさん」)に被害申告取下げ書へのサインを強要し、被害者本人が事件化を断念したかのように偽装していた鹿児島県警。Yさんは個人情報開示請求によって自分の事件が事実上もみ消されていたことを知った。

刑事告訴の取下げ強要、虚偽・偽装された捜査記録、事件の矮小化――あまりの酷さに憤ったYさんは昨年1月、添付文書を含めて15ページにも及ぶ県公安委員会あての「苦情申出書」を作成、《私の事件に対する県警の行為は、著しく社会正義に反する》として、事実関係を明らかにするよう求めていた。
同年8月、これに対する県公安委員会の回答が、下の「苦情処理結果通知書」である。

あなたから申出があったことについて、県警察に事実関係の調査を求めたところ
1 強制わいせつ致傷被害の刑事告訴を取り下げるよう強要されたという申出については、刑事告訴の取り下げを強要する事実は確認されなかったが、平成26年3月6日、申出人から平成13年当時の強制わいせつ被害の申出があった時点で、さつま警察署において、告訴状や被害届の受理について検討すべきであったと判断していること
2 虚偽・偽装された記録が報告・決裁されていた、不正確な記録が報告・決裁されていたという申出については、故意に事実をねじ曲げたり、虚偽の内容を記載しようとしたものではなかったものの、全体として不正確な表現が認められること
3 申出人が作成した公務災害請求書の写しのうちの1枚が、申出人の了解なく報告書に添付されていたという申出については、捜査書類として組織的に共有するため、捜査上の必要からなされたものであること
4 暴行・脅迫事件に関する誘導的な事情聴取があり、報告書に「脅迫・暴行に関する文言等はありません。」といったメモが記載されていたという申出については、誘導的な事情聴取は確認されなかったが、メモの記載内容について不適切な表現であったこと
5 被害を矮小化して意図的に印象操作するかのような記録が複数あったという申出については、そのような意図はなかったものの、複数の書類に申出人が「事実を矮小化された」と感じたとしても仕方のない記載が見られること
6 令和元年11月15日、さつま警察署に苦情を述べたが納得いく説明は得られなかったという申出については、関係者への聴取を実施したものの、事実が確認できなかったこと
7 公務災害請求書の写しが返却されておらず、当時の担当者から連絡もないという申出については、当該書類は現在まで発見に至っておらず、さつま警察署において誤廃棄した可能性が高いこと
の報告を受けました。
この件について、当委員会は、本件被害申告の際の対応、正確かつ具体的な記録の作成、関係書類の適正な管理等について問題があり、さつま警察署の一連の対応は大変不適切なものであったと考えます。
よって、県警察に対し、被害申告に対して適切な対応を取ること、記録作成と関係書類の管理の適正化を図ること及びあなたの心情に配慮した対応を取ることについて強く指導しました。
県警さつま署が行った強要や虚偽報告といった不適切行為については「確認できなかった」と庇いつつ、結論は異例とも言うべき厳しいものだった。驚くべきことに、公安委の調査結果では、Yさんが返却を求めていた被害申告時の提出証拠がなくなっていることも明かされていた。警察組織が証拠の紛失時によく使う「誤廃棄」なのだという。
・告訴状や被害届の受理について検討すべきであった
・申出人が「事実を矮小化された」と感じたとしても仕方のない記載が見られる
・当該費類は現在まで発見に至っておらず、さつま警察署において誤廃棄した可能性が高い
・本件被害申告の際の対応、正確かつ具体的な記録の作成、関係書類の適正な管理等について問題があり、さつま警察署の一連の対応は大変不適切
鹿児島県公安委員会が発出した何件もの「苦情処理結果通知書」をみてきたが、ここまで厳しく警察組織を非難した内容は記憶にない。あわてた県警は、通知書発出からわずか5日後の8月13日、3人の幹部がYさんのもとを訪れ謝罪し、一連の経緯について説明していた。(*下がYさんに謝罪、説明した警察官の名刺)

県警は、幹部職員の謝罪から5日後に正式な「捜査」を開始、時間の経過もあって送検後に不起訴となっている。Yさんは、県警の背信行為によって、長い年月を一人で苦しむという新たな被害に遭っていた。謝って済む話ではあるまい。
性被害や詐欺に遭って県警を頼った女性たちが、次から次に門前払いされたり、捜査を拒否される現状――。県議会は、百条委員会を設置して組織の闇を暴くべきだ。
(中願寺純則)
















