「少なくとも社会問題」「まさに権力でもてあそんでいるのではないか」――7月9日、鈴木宗男参議院議員が、法務委員会で平口洋法相を追及した。鈴木議員が取り上げたのは、東京地検特捜部の検事に浮上した前代未聞の大スキャンダル。公職選挙法違反事件の捜査を担当した男性検事が、被疑者の女性とホテルの部屋で一夜を過ごし、金品まで受領していたというものだ。事実なら検察官としての「正義」を大きく逸脱する。女性は、かつて男性検事が担当したある事件の際、別の関係者が正式起訴される中、略式起訴で罰金刑となっており、捜査過程にも疑問符が付く状況だ。
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問題の「事件」の詳細はこうだ。2023年春に行われた江東区長選挙で、当時衆議院議員だった柿沢未途氏が支援した木村やよい氏が当選した。
しかし、同年秋頃に柿沢氏と木村氏が共謀してYouTube広告を選挙期間中に掲載していたことが判明。また、地元の区議や支援者に現金を渡して買収していた疑いまで浮上し、同年12月、柿沢氏や木村氏が公職選挙法違反容疑で逮捕された。その事件を担当したのが、前代未聞のスキャンダルを起こした西田将仁検事である。
当時、西田検事は東京地検特捜部の直告係の主任。柿沢氏のネタを持ち込んできたのが、西田検事と不適切な関係を持ったとされる問題の女性Y氏だった。
柿沢氏とともに木村氏の区長選を切り盛りしたある男性が、こう打ち明ける。
「私も東京地検特捜部から何度も呼ばれてえらいことでした。報道があって、すぐに西田検事とYのことだとわかりました。問題の区長選の前に、『Yさんは自民党の神奈川県連で仕事をしていた』という話があって、柿沢氏が『仲間は一人でも多い方がいい』と採用したんです。主に木村やよいの運転手をしていたと思います。ですが、Yは選挙が終わったらまったく姿を見せなくなりました。そして秋頃、事件の取り調べが始まったら、なんとYが柿沢氏から誰にいくら現金がばらまかれたかを示す手書きメモを作成して西田検事に持ち込んでいたことが分かったんです。その内容もウソばかり。ですが西田検事はYを信用し、事件化したのです」
2024年1月17日、柿沢氏やY氏が早々に容疑を認めたため、柿沢・木村両氏を含む陣営の9人が起訴された。その中にY氏も入っており、柿沢氏サイドから20万円をずつ2回、計40万円の現金を受け取ったとして起訴されている。
Y氏に関してはその後、略式起訴され罰金20万円、追徴金40万円、公民権停止3年という有罪判決が確定しているが、「それ自体がおかしい」と前述の男性が振り返る。
「Yは運転手で、選挙事務所の詳細は知らなかった。ただ聞きかじった程度の情報を西田検事に持ち込んだだけです。だから手書きメモが証拠で出てきて見た時、めちゃくちゃな内容でした。特捜部ともあろうものが、よくもまあこんないい加減な手書きメモをもとに捜査したもんだと思っていました。起訴された9人のうち、罰金だったのは3人だけ。その中にYも入っている。Yより買収金額が少ない20万円だった人でも公判請求されて有罪判決を受けたので、その頃からおかしいなと思っていた。この疑惑が報道されて、西田検事とYがそういう関係だったのかと合点がいった」
西田検事は平成12年に司法試験合格、同14年に東京地検に配属され、横浜地検、大阪地検堺支部、水戸地検、さいたま地検、松山地検3席検事、公正取引委員会などを経て、令和3年4月から東京地検特捜部に配属された。以下、検察関係者の話。
「直告係の主任というのは、将来、特捜部のエースと言われるほど重要なポジション。西田検事はそこでY氏からの情報をもとに柿沢氏の事件を立件した。国会議員の取り調べでは、よくホテルが使われる。事務用の机が二つか三つ用意され、プリンターや録音録画の機器が設置されるのでスイートルームのような大きな部屋になる。西田検事は、昼間は柿沢氏関連の捜査で部屋を使い、夜はY氏を呼び寄せていたというから呆れるしかない。税金で借りた部屋で、男女の関係をもっていたということだ。西田検事はそれ以前から別の女性問題を抱えており、特捜部入りに懸念を示す声もあった。案の定の大スキャンダル。やっちまったな」
西田検事は既婚者で子供もいる。前出の検察関係者は、「西田検事は元検事の女性とも親しく、愛人ではないかとウワサされていた」とした上で、ため息交じりにこう話す。
「やばい話になるとわかったのは今年の春ころ。Y氏が『妊娠した』と西田検事に話して、こじれはじめた。東京地検も知るところとなり、西田検事に事情を聞いていた最中に報道されてしまった。Y氏から金品をもらったことについて、西田検事は『お互い、プレゼントを交換しただけ』と抗弁している模様だ。Y氏から西田検事には、ブランド物の時計などが渡されており、罰金刑でとどめてもらったお礼と見られても仕方ない」
この見方が事実なら、刑を軽くしてもらった見返りに金品を渡したことになり、立派な贈収賄。厳しく追及されるべきだろう。
Y氏は、自民党議員の秘書だった経験が買われて柿沢氏側に採用された。その後に特捜部が捜査に着手したのが、主に旧安倍派による裏金事件だ。
柿沢氏らの裁判では、Y氏が自民党旧安倍派の某議員から紹介を受けたという趣旨の証拠が出されている。柿沢氏の事件は2024年1月中に終わっており、西田検事は裏金事件の捜査で多忙だったはず。とてもY氏をホテルに呼ぶような余裕はないはずだが、実際には不適切な関係が続いていた。
「Y氏は旧安倍派の議員と親しいと吹聴していた。西田検事から裏金事件の情報を得ていたという話もある。Y氏は、特に旧安倍派の“大物”とされる幹部とは仲がいいと聞いている。Y氏は情報が欲しくて西田検事に再接近したのではないのか。ある意味自民党側のスパイだったのかもしれない」(前出の検察関係者)
永田町まで巻き込みそうな検察スキャンダルの行方に注目だ。
















