兵庫県芦屋市が令和6年に実施した「芦屋市道路公園施設包括管理業務」の業者選定プロポーザルに、新たな疑義が生じた。
プロポーザルの審査は1次評価と2次評価に分けて行われたが、市は「1次評価」の際、公募に応じた二つの事業体(選考に漏れたA事業体と選ばれたB事業体)が提出した「企画提案書」のデータをまるごと選考委員(芦屋市は「専門委員」と呼称)のパソコンに提供。審査は各委員が別々の場所で個々に行っており、外部の人間に提案内容が漏れてもおかしくない形となっていた。そのせいで、1次評価の際の「手書きの個票」は不存在。各委員がパソコン上で点数を付け、その後に選考委員が集まって数字の確認を行うという、“不正”を呼び込みかねない審査方法だった。
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下は、市が開示した「1次評価シート」。1次審査で、選考委員が評価項目ごとにつけた点数をまとめたものである。すでに5人の選考委員の採点結果が記入されており、それぞれが手書きした、いわゆる「個票」は存在していないのだという。


“1次評価の採点段階で手書きされた個票はないのか”――記者がそう確認した際、市側は「(企画提案書の)データが膨大だったので、それぞれの委員に提案書のデータを渡し、各自でパソコンに点数を入力してもらった」と説明。手書きの個票はなく、選考委員個々のパソコン上で、時間を問わずデータを開ける状態だったことを認めている。事業者のプレゼン後に行われる最終審査(2次評価)の前に、企画提案書が持ち出し可能な状態になっていたということだ。情報漏れが許されないプロポーザル審査で、あってはならないことだろう。
下は市が公表した問題のプロポーザルのスケジュールだが、企画提案書と見積書の提出期限は令和6年10月28日(月曜日)17時となっている。

次に、1次評価の結果を報告した際の決裁文書。起案・決裁は令和6年10月31日となっている。

このことから、少なくとも翌29日から1次審査結果が報告・決裁された10月31日までの3日間は、企画提案書のデータが選考委員のパソコンの中にあったことになる。選考委員たちのデータ管理状況が問われかねない話だ。プロポーザルに応募したのは二つの事業体だが、提案書のデータが、選定で競い合う業者サイドに渡る可能性があったことは否定できない。
プロポーザルや総合評価の場合、データが外部に流出しないよう選考委員を一か所に集めて審査・採点するのが一般的。そうでなければ公正公平が保てないからだ。ところが芦屋市の場合は、1次審査(1次評価)の3日前、プレゼンが行われる最終審査(2次評価)なら10日以上も前に、企画提案書のデータが選考委員に共有され、「流出」が可能な状態になっていた。
当該プロポーザルの選考委員(専門委員)は5人。いずれも市の幹部職員であり不正はなかったと思いたいが、芦屋市の審査過程は極めて不透明だ。これまでの取材結果を振り返ると、「疑い」を持たれても仕方あるまい。報じてきた通り、市は証明不能の形で従来の評価総合点算出方法を変更しており、それによって二つの事業体の得点差が大きく変わっていたことも分かっている。
次の画像は何度も示してきた2次評価シートの実例だが、この時点で記入されている評価総合点は、1次評価の際と同じ従来型の算出方法によるもの。最終的に大きく変わった評価総合点の正当性を示す文書は、審査過程の最初から最後まで登場しない。

1次評価の段階で、流出が危惧される状況だった「企画提案書」……。変更の正当性が証明できない評価総合点の算出方法……。隠されていた事実をつまびらかにしたハンターへの取材制限……。芦屋市を蔽う疑惑の闇は深い。
(中願寺純則)
















