福岡県議会に浮上した疑惑を巡り、古巣の自民党を「カツアゲ」と非難した福岡県議会の吉松源昭元議長に政治資金規正法違反(虚偽報告)の疑いが浮上した。吉松氏側は、集めたカネをいったん政党支部に集約。支部を迂回させる形で同一住所地に主たる事務所を置く複数の政治団体に寄附し、それぞれの団体に入ったカネの大半を、支出先の記載義務がない5万円未満の支払いとして処理していた。事実上の「使途不明金」で、その額は7年間で計1億円超。政治資金収支報告書の虚偽記載が疑われる状況だ。

■同一住所地に自民支部と7つの政治団体
吉松氏側のカネの流れの起点となっているのは「自由民主党福岡県粕屋郡第一支部」。令和4年を例にとると、同支部の年間収入は15,474,560円で、前年からの繰越金3,491,178円を合わせた収入総額は18,965,738円となっている。ちなみに同支部の年ごとの総収入は、平成29年に約2,900万円、30年に約3,328万円、令和元年約4,634万円、2年約1,260万円、3年約3,327万円、4年約1,897万円、5年約1,621万円と推移していた。

令和4年は、第一支部と同じ住所地“糟屋郡須恵町須恵395ー13”に主たる事務所を置く「松友会」「昭友会」「吉友会」「粕屋の発展を考える会」「粕屋の未来を考える会」「粕屋の政治を考える会」という六つの政治団体に、それぞれ300万円、250万円、250万円、300万円、100万円、338万円を寄附する形で流し入れていた(*下が収支報告書の該当ページ)。六つの政治団体の代表者は同一人物。会計責任者も別の一人が兼任している。

「松友会」「昭友会」「吉友会」「粕屋の発展を考える会」「粕屋の未来を考える会」「粕屋の政治を考える会」には活動実態がなく、いわゆるペーパー団体の可能性が高い。このうち、「松友会」「昭友会」「吉友会」「粕屋の発展を考える会」「粕屋の未来を考える会」の5団体が県選管に提出した収支報告書の中の「支出の総括表」を下に示す。なお、同年に解散したとされる「粕屋の政治を考える会」は法定期限内に収支報告書を提出しておらず、未公開となっている。





経常経費はいずれの団体も「0」。多額の組織活動費だけが出ていくという不自然な状態だ。年ごとの収入は、すべて1件5万円未満の「組織活動費(交際費)」に化けており、支出先不明となっている。巨額のカネの行く先を隠す資金処理は平成29年頃から始まっていたことが、県の公報と政治資金収支報告書によって確認できている。下に、政党支部から各政治団体に流れた金額と、支出先不明の「組織活動費(交際費)」として処理された金額をまとめた。

支出先不明となっている資金の額は7年間で1億489万円。とんでもない額だ。収支報告書の記載が事実だとすれば、例えば300万円を5万円未満の支払いだけで費消した場合、1団体で少なくとも60回以上「交際」したことになる。
令和元年の組織活動費合計は7団体で計約2,150万円、5万円未満で済んだとされている「交際」の回数は少なくとも430回以上、令和2年は1,580万円で310回以上、令和3年は約1,700万円で340回以上、令和4年が1,365万円で273回以上、令和5年が1,089万円で214回以上の「交際」があった計算になる。いかに常識外れの話であるか分かるだろう。
以上、述べてきた通り、一連のカネの流れを記した各団体の政治資金収支報告書の記載内容に重大な疑念が生じているのは確か。政治資金規正法が禁じる「虚偽記載」が疑われる事態と言えるだろう。吉松氏は“他会派とのゴルフ代を捻出するため知人から1千万円を借りた”と述べている模様だが、これだけ多額の資金を有しながら、本当に借金をする必要があったのだろうか?
西日本新聞は吉松氏が公開した「借用証書」を紙面に掲載して彼をヒーローに祭り上げたが(*下がその紙面)、同氏を巡る政治的背景や政治資金の流れを確認した上での「共同作業」だったのか疑問である。少なくともハンターは、同僚県議から「上納」(既報)させたり、多額の「使途不明金」を生み出しているような人物の話には乗らない。

15日、ハンターの電話取材に応えた吉松氏は、政党支部と後援会以外に六つの政治団体があったことを認めた上で、多額の使途不明金については「法に従って適切に処理しているとしか言えない」と回答。詳しい説明を避けた。ハッキリ言うが、多額の使途不明金を生み出すような政治資金処理が「適切」とは到底思えない。
事情を知ったある野党の国会議員は次のように話している。
「毎年毎年、5万円未満の交際費だけで数百万、数千万のカネが消えるわけがない。虚偽報告を疑わざるを得ない。それが六つ、七つの政治団体で繰り返されているとすればなおさらだ。吉松さんこそ、政治不信の象徴ではないのか。彼は正義の味方ではないということだ。ところで、西日本新聞をはじめとする各メディアは、吉松氏の政治資金について、事前に調べなかったのだろうか?」
(中願寺純則)
















