議長・副議長就任に絡んだ福岡県議会内の金銭授受問題を告発し、古巣の自民党県議団を「カツアゲ」と非難して一躍時の人となった吉松源昭元議長。彼は、自身の政党支部が吉田健一朗県議から5年で計2,300万円に上る寄附を受けていたことを「上納」と報じたハンターの記事(⇒既報)に即日反応、Xに矛盾に満ちた「言い訳」をポストした(*下が吉松氏のポストの画面)。

■「カツアゲ」に過剰反応
【一部報道について】とのタイトルでポストした吉松氏は、《本件の政治資金の処理については、政治資金規正法をはじめとする関係法令に則り、適正に処理しています。》とした上で、《 記事では、私が後輩議員から「カツアゲ」をしていたのではないかという趣旨の指摘がなされています。》と述べている。しかし、記者は記事中はもちろん、吉松氏とのやり取りでも《カツアゲをしていたのではないか》という趣旨の指摘など一切していない。吉田健一朗県議からの寄附について記者が指摘したのは、「上納にあたるのではないか」という1点だけ。会話の中には「カツアゲ」という言葉さえ出てこない。
吉田県議からの寄附金の処理について、吉松氏は《本件の政治資金の処理については、政治資金規正法をはじめとする関係法令に則り、適正に処理しています。》と述べている。だが、吉田県議からの寄附金を、時日を置かずに実態不明の政治団体に移したことについての説明はしておらず、吉田県議にすべてを投げた格好だ。カツアゲという言葉に過剰に反応したり、資金処理の方法について後出しの説明を行ったりしているのは、吉松氏自身の内心に引っかかるものがあるからではないのか?
そもそも、テレビカメラや取材陣の前で、かつての同僚である自民党県議団側に「説明責任」を強く求めてきた吉松氏自身が、吉田県議からの寄附については「私から説明できないということはないんだけど、寄附をしてるのはむこう(吉田県議)なんで、あまり私が言うことじゃないのかなと。やっぱ、その趣旨はやっぱり寄附をしてくれた人に聞いてもらったほうが正確だと思うので、むこうの気持ちなので」と説明責任を放棄したのでは筋が通るまい。“むこうに聞いてくれ”は大きな自己矛盾だ。
■吉松氏の会社「ビジネスサポート」
ところで、説明責任を押し付けられた格好の吉田県議だが、彼にとって吉松氏は“特別な存在”といえる。政治家として後輩にあたる吉田県議は、吉松氏が代表を務める会社の役員でもあるからだ。
吉松氏の政党支部や七つの政治団体は、すべて同一住所地の同一建物の中にある。物件を所有しているのは「ビジネスサポート」という有限会社だ。下に事務所の現状画像とビジネスサポート社の法人登記及び建物の登記を示す。




同社の代表取締役は吉松氏。吉田県議も取締役に就いている。吉田氏の就任は令和元年。同氏が吉松氏の支援を受けて県議会議員に初当選した年だ。この年から吉田県議の吉松氏側への寄附が始まっていたことは、これまで報じてきた通りである。吉田県議にとって吉松氏は、選挙で世話になり、会社の役員にも迎えてくれた恩人ということになる。こうした立場の吉田県議が、兄貴分を困らせるような話をするとは思えない。
吉松氏は前述したXへのポストの中で《私は取材に対し、寄付をされた方の事情や趣旨について、私が説明するのは適切ではないため、寄付者本人に取材していただきたいとお伝えしました。 寄付の趣旨については、寄付者本人から説明があるものと考えています。 私はこれからも、事実に基づいて説明責任を果たしてまいります。》と結んでいる。しかし、『説明責任を果たしてまいります』と言いながら、カネの話を吉田県議に振るというのは言行不一致。自身の言葉で説明すべきだろう。
■政務活動費から自身の会社に事務所費支出
吉松氏の事務所については、別の問題もある。吉松氏が県議会に提出した政務活動費の資料を調べたところ、少なくとも令和5年4月から、毎月137,500円の事務所費に公金が投じられていた。その額は計536万2,500円に上り、事務所の建物ができた令和2年末か3年頃から同じような形で家賃支払いが続いていたとすれば、総額はさらに膨らむことになる。
事務所の家賃は275,000円で後援会と按分している模様だが、支出先は吉松氏の会社である「ビジネスサポート」。税金を原資とする政務活動費を、自分の財布ともいえる会社に入れている格好だ。県議会の現行規定では違法でもルール違反でもないが、褒められた話ではあるまい。
事務所に看板さえ掲げていないビジネスサポート社の活動実態について、吉松氏はこう説明した。
「うちの事務所は行政書士の事務所でもあり、(ビジネスサポートは)その一部門。法務コンサルをやっている会社。行政書士の仕事自体が許認可手続きをやる仕事なんですよね。その中に相談だけ受けるという部門がある。で、その相談部門をそっちの方にやってると。別に分けてるということですね」。
行政書士は役所に提出する許認可等の書類作成や手続き代理などの業務を行う国家資格者。ただし、弁護士や司法書士が扱う領域には立ち入れない。吉松氏は、法務コンサルと称して行政書士が踏み込めない部分を会社でやっている可能性がある。そうでなければ、会社を持つ必要などない。
複数の行政書士の知り合いに感想を求めてみたが、「あまり聞いたことのないシステムですね」(50代の行政書士)、「うちは別会社なんて必要ないですね。行政書士ではとれない報酬をもらっているということですかね?」(60代の行政書士)などというコメントが返ってきた。
法務コンサルを担当しているというビジネスサポート社の法人登記簿に、「目的」として記されているのは40項目。経営コンサルから土木建築、飲食店経営、情報通信機器の開発・販売、学習塾経営に至るまでありとあらゆる分野の仕事が網羅されている。すごい会社なのだろうが、活動実態はまるで見えない。
最後に、もう一度述べておく。本サイトの記事でも取材でのやり取りでも、吉松氏に「カツアゲ」を指摘したことはない。虚偽で相手を貶めるというのが吉松氏の世渡りなら反証も無意味だが……。
(中願寺純則)
















