福岡県議会・吉松源昭元議長、ハンターへの反論で浮上した公選法違反(買収)疑惑

福岡県議会の金銭授受問題を告発し、古巣の自民党県議団を「カツアゲ」と非難した吉松源昭元議長に政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いが生じていることを報じたところ(既報)、吉松氏自身が反応。Xに【一部報道について(その2)】とポストし、ハンターの記事に反論した。しかし、反論自体が別の公職選挙法違反を想起させる内容となっており、吉松氏自身に別の「疑惑」が浮上する展開となった。(*下がそのポストの画像)

■選挙区内での交際費支出に「買収」の疑い

吉松氏の主張を要約するとこうなる。

・自分たちの政治資金収支報告書は、政治資金規正法に基づき適正に作成・提出しており、現在まで違法又は虚偽記載であるとの指摘を受けた事実はない。「使途不明金」や「虚偽記載」などと断定的な印象を与える記事だ。

複数の政治団体を設立したのは、地域ごとの課題や住民の要望にこたえるため。

・政治資金規正法では、5万円未満の個々の支出先について記載義務はなく、「使途不明金」との表現は読者に誤った印象を与えかねない。

・自分は実際に1,000万円を借り入れており、「吉松もとあき後援会」の政治資金収支報告書には、令和2年10月7日付で、私個人に対し900万円を「借入金返済」として支出したことが記載されている。

政治資金規正法が5万円未満の個々の支出先について記載を求めていないことは記者も承知である。問題にしたのは、そのルールを使って、巨額の政治資金の行く先を分からなくしていることだ。支出先不明の『組織活動費(交際費)』は7年間で1億489万円。少なくとも2,000回以上の「交際」があったことになる。年平均だと約300回。もっとも酷かった令和元年の交際費合計は7団体で計約2,150万円、5万円未満で済んだとされている「交際」の回数は最低でも430回以上となる。こんな話を信じる人がいるだろうか?

政治資金規正法上の「交際費」とは、政治団体が活動するために支払った飲食費、香典、祝儀、贈り物、会合費等のこと。吉松氏が主張する各団体の活動目的は「地域ごとの課題や住民の要望にこたえるため」とのことだが、それが事実なら地域住民を相手に「交際費」を使ったことになる。裏返せば選挙区内における「買収」。疑いが出ている政治資金規正法上の虚偽記載とは別に、「公職選挙法違反」が問われかねない。

■借金「1,000万円」への疑問

1,000万円の借金を証明する材料として、吉松氏がXへのポストに添付したのが下の収支報告書だ。

吉松氏が知人から借りたと主張してきたのは1,000万円。説明が尽くされていないので推測になるが、自身の後援会に貸し付けていた3,000万円のうち900万円を戻してもらい、返済原資に充てたということのようだ。残り100万円をどう工面したのか判然としない。

この年の吉松もとあき後援会の総収入は、前年からの繰越金125万7,672円を含めて4,204万7,350円。そのうち3,928万9,670円は同氏の議長就任にともなう政治資金パーティー『吉松もとあき議長就任祝賀会』での収入だった。集めたカネのうち900万円が“他会派とのゴルフ代を捻出するため”(吉松氏の説明)に借りた1,000万円の穴埋めに使われたことになる。裏金と表金が混在する状況は不適切というしかない。

吉松氏が1,000万円を借りた令和元年、吉松もとあき後援会は2,211万4,499円の収入があった。自民支部を除く7つの政治団体における同年の使途不明金は2,148万7,202円。前年の平成30年の使途不明金も2,000万円を超えている。元年10月に1,000万円を借りる必要があったのか疑問だ。

百歩譲って1,000万円の借金が事実だとしても、そのカネが自民党県議団側に渡ったという証明はできていない。現状、別の目的の借金だった可能性は否定できない。

令和6年の総選挙、吉松氏は自民党の公認候補に対抗して福岡4区から出馬し、惨敗した。それ以来、自民党県議団には戻れていない。県連組織と関係修復する道も閉ざされている。

県議会会派「自由と繁栄の会」のもう一人の所属議員である中村明彦氏も自民党県議団から排除された人物だ。両人による自民党県議団への報復という見方があるのは、こうした背景が見え隠れするからだ。

西日本新聞やTNCテレビ西日本は、吉松氏の政治資金問題や背景を承知していたのだろうか?承知の上で同氏をヒーローに祭り上げたのなら明らかな偏向報道である。

オールドメディアの報道によれば、吉松氏を含む複数の議長、副議長経験者が就任の前提に現金のやり取りがあったことを証言しているという。まるで改心した正義の味方だが、しょせん彼らはポストをカネで買った連中。まともな政治家なら要求された段階で断っていたはずだ。議長や副議長になりたくてカネを払っておきながら、「断れる雰囲気ではなかった」などと責任転嫁するのは卑怯だろう。カネのやり取りが事実なら、議会の権威を貶めたも同然。いったんバッジを外して、応分の責任を果たすべきだ。「引退したから話す」も無責任な昔話に過ぎない。

吉松氏の告発で火が付いた県議会の金銭授受問題だが、証言者の背景や政治姿勢もきちんと報じるのが報道のあるべき姿。オールドメディアにそれだけの矜持があればの話だが。

(中願寺純則)

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