「副首都」欲しさに福岡を非難した吉村大阪府知事に「どの口が言う」

ただの地方議会の“内紛”に過ぎない話が、全国ネタになっている福岡県議会の金銭授受問題。ろくに調べもしていないテレビのワイドショーまでこの話題を取り上げ、右向け右の展開となっている。そこに余計な参戦をしてきたのが、日本維新の会の代表を務める吉村洋文大阪府知事である。

■会期延長1週間で21億円

7月15日の記者会見で、大阪の民放テレビ記者に「福岡県議会の話で、ポストをめぐる金銭授受の疑惑が報じられている。他の自治体の議会の話ですが、議会の信頼性を揺るがすような疑惑だと思われます」と聞かれた吉村知事は、待ってましたとばかりに「全く改革が進んでいない」などと批判した上で、注目の副首都法案を持ち出した。

「副首都を目指すということなのであれば、日本の成長拠点として目指していくわけです。議長になるのに多額の現金を要求しているとか、そんなレベルの話をしているようでは、日本の副首都を引っ張るようなエリアにはならない」と福岡を否定した。

質問されてもいないのに、福岡県議会の海外視察問題についても語り出し「それから海外視察なんかもいろいろ出てます。毎年ハワイに行って、回数も何十回も行ってるのか、そこで何をしているんだとかいう指摘もある」「ハワイに毎年行くとか、全然信じられないです。今からでも県民報告会をやればいい。県民からの質問がなくなるまで、どれだけの税金を使ったのか、福岡県政にどういう意味があったのか」と追い打ち。証拠も示されていない金銭授受について「(県議会の)議長、副議長に何千万とか何百万っていう現金の包みを持ってこい。はっきり言って異常だと思います」と非難した。この人、本当に弁護士資格をもっているのか疑問である。

ようやく副首都法案を巡る国会の審議状況について質問が及ぶと、自慢げに「一極集中で日本は進んできました。高度経済成長期は良かったかもしれませんが、他国が様々な都市戦略を打ち、成長を論じている中で、日本はこの一極集中がずっと続いて、30年間成長をほぼしていないという状態」「きちんとバックアップを取っておくというのは、二極、三極で日本を成長するような土台を作っていく」と、大阪の失政を棚に上げ、言いたい放題となった。大阪関西万博で垂れ流した巨額な公金についての反省はまるでない。

そもそも、副首都構想は旧民主党政権時代から議論が続いてきた課題。なぜ今無理やりに国会での成立を目指そうとしているかといえば、維新が自民党と連立政権を組んだからだ。ある自民党の大臣経験者がこう嘆く。

「維新が副首都法案に固執しなければ国会は延長しなくていい。維新がどうしても副首都法案を通せというのでお付き合いしているだけだ。国会を1日開催する費用は3億円と見込まれている。副首都法案が通るまで1週間としても21億円。どう見ても無駄な出費だ」

■不祥事のデパートは維新

維新は副首都法案とセットで“大阪都構想”の実現を盛り込んだため「憲法違反」との指摘が相次ぎ、その部分を削除せざるを得なかった(参照記事)。副首都法案の原案は、霞が関と永田町で作成されたもの。原案作成に関わった某省庁の官僚は浮かない顔だ。

「ずっと残業が続き、維新の思うがままの原案作成に頭を悩ませてきた。なんとか、法の隙間をぬって書き上げた原案は、『憲法違反』と自民党から指摘された。当然、原案作成には税金が投入されており、なんなんだよと言いたい気分」

吉村知事は福岡県議会の「政治とカネ」を問題視するが、維新はどうなのか。維新の所属だった大阪府岸和田市の永野耕平前市長は2025年、収賄容疑で大阪地検特捜部に逮捕された。その永野被告は、性加害問題が民事訴訟となり「和解金500万円」を支払った人物だ。

同じ25年には、維新所属だった大阪府忠岡町の杉原健士前町長が、町発注工事の入札情報を業者に漏らしたとして官製談合防止法違反などに問われて立件され、懲役1年6月、執行猶予4年という有罪判決が確定している。

ハンターでも取り上げた「国保逃れ」は、国民健康保険料を支払わなくてすむよう実態のない法人を作って安価な給料を設定し、社会保険や年金に加入するという脱法行為だった。やっていたのは維新の所属議員ばかり。その他にも、維新の不祥事は枚挙に暇がない。こんな危ない政党が支配する大阪に、「副首都」の機能を持たせるのはいかがなものか。福岡県の関係者も、呆れ顔でこう話す。

「吉村さんが福岡県議会の話に首を突っ込んできたのは、副首都は大阪だけにしたいというわがままの裏返し。福岡を牽制したつもりでしょう。ただ、維新の所属議員による政治とカネをはじめとする不祥事は数えきれないほどの数。まるで不正のデパートだ。『どの口が言う』という感想しかない」

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