規範意識欠如の吉松元議長に問われる「カツアゲ発言」の真実味

 長年愛読してきた西日本新聞だが、堕ちるところまで堕ちたというしかない。8月2日朝刊第二社会面右肩の見出しは《告発県議「信用」圧倒多数》《自民幹部側「信じる」3人》(*下の画像)。“告発県議”とはカツアゲ発言でヒーロー扱いされている福岡県議会の吉松源昭元議長のことである。アンケートの結果、同氏を「信用する」と答えた人が9割を超えたのだという。

 ところが、アンケートの対象は西日本新聞の名物企画「あなたの特命取材班(あな特)」とラインでつながっている「あな特通信員」。回答者の大半は、同紙の報道内容に共感して「通信員」に登録し、協力関係にある人たちということになる。当然、新聞報道に疑問を抱く人は少ないはず。つまりは、お手盛り調査の数字を見出しに振って世論誘導しているということだ。

 問題はまだある。西日本新聞が、吉松氏の政治団体を巡る違法行為や脱法行為についてきちんと報じた上でアンケートを実施しているならまだしも、ヒーローに仕立て上げた同氏の影の部分には一切触れていない。というより、触れられなくなっていると言った方が正しいのかもしれない。新聞が金科玉条としてきた「公平公正」はどこに行ってしまったのか?

 筆者は吉松氏の言葉に真実味を見出すことができない。古巣の自民党県議団を「カツアゲ」と罵倒した彼自身の「規範意識」が、著しく欠如しているからである。以下、その証明。

■お粗末すぎる反論投稿

 福岡県議会の金銭授受問題を巡り、自民党県議団を「カツアゲ」という言葉で罵倒した吉松氏。さまさまなメディアから引っ張りだこの状況で、自身も出演番組の宣伝に余念がない(*下の画像参照)。

 カメラの前では歯切れよく古巣を批判しているが、ハンターが報じた自身の政治資金処理に関する疑惑についてはXで反論したものの、合理的な説明になっていない。一連の記事に対して彼がSNS上で行った最後の投稿も要領を得ないものだった(*下の画像)。せっかくなので、このポストについての所感を述べておきたい。

・《政治資金などについて繰り返し事実関係を説明し、必要な資料も公表してきました》とあるが、どのような説明で何の資料を公表したのか?残念ながら、具体的な説明内容や証拠の提示はなされていない。

・7年で1億円を超える交際費=使途不明金について、どのような説明責任を果たしたというのか?

・《疑義や違法性があると考えるなら第三者委員会や捜査機関などに委ねろ》というが、まったくの筋違い。吉松氏が交際費の領収書を公表するなり、疑惑が持たれる政治団体の活動実態について詳しく説明すれば済む話だ。

■事務所の違法看板

 下は、吉松氏が政務活動費を使って維持している事務所に掲げられている看板だ。「福岡県議会議員候補」「選挙事務所」とある。2024年の総選挙落選直後に出馬して再選された「県議会糟屋郡選挙区補欠選挙」の時のものだと思われるが、普通なら引っ込めているはずの選挙事務所の看板をそのままにしている。極めて異例というしかないこの看板には三つの違法行為が疑われる。

 まず、吉松氏が来年春の統一地方選挙に立候補すると仮定する。すると自らを県議候補と称し、さらには選挙事務所の看板を掲示していることから『事前運動』の疑いが生じる。

 次に、この看板が選挙事務所であることを示すものではなく、吉松氏の政治活動用事務所であるとしても違法性は拭えない。公職選挙法が定める政治活動用看板のサイズは縦150センチメートル以内、横40センチメートル以内。しかし、現地で確認すれば、写真の看板が規定を超えているのは一目瞭然だ。しかも、同法が義務付けている選挙管理委員会発行の『証票』も添付されていない。あらゆる意味で違法看板であることは確かだ。

 違法看板は1枚ではない。吉松氏の事務所にはもう一枚の看板が掲示してあるのだが、それが下の画像。看板のサイズは規定通りとみられるが、肝心の『証票』が貼られていない。これも違法。隣に名前を大書した行政書士としての同氏の看板が並んでいるが、政治活動用の看板と一体とみなされる可能性があり、別の意味での違法性が問われてもおかしくない形だ。

 「違法看板はどこにでもある」という言い訳が聞こえてきそうだが、証票や看板の大きさについてのルールは大半の議員が厳守している政治家としてのイロハ。理解できていないのであれば政治活動を行う資格などないし、解っていて違法状態を放置しているのであればなお悪質性が増す。

■収支報告書、7割は期限後提出

 吉松氏側の政治資金処理を巡っては、政党支部の資金を複数の政治団体に振り分け、その大半を5万円未満の「交際費」支出として一括処理し、7年間で計1億円を超す「使途不明金」にしていたことが判明している(既報)。さらに、政治資金収支報告書を何年も提出せず選挙管理委員会の通知を受けて解散。その直後に同じ名称の団体を再設立して2年間の政治資金の動きを隠すという脱法行為を何度も行っていたことも分かっている(既報2)。

 改めて、ペーパー団体の可能性すらある吉松氏側の7つの政治団体について報告書の提出状況を確認してみたが、平成30年から令和6年までの間に提出義務のあった47回のうち、期限内提出は13回に過ぎなかった。ルール違反が常態化していたのは確かだ。

 吉松氏は「カツアゲ」「みかじめ料」という言葉で自民党県議団を厳しく非難し、時の人となった。しかし、彼が議長に就任した令和2年に、吉松氏の後援会が開いた政治資金パーティー「吉松もとあき議長就任祝賀会」では3,928万9,670円の収入を得ている。開催事業費などにかかった900万円余りを差し引いても、3,000万円が残った計算だ。元を取ったのはもちろん、批判が集中した部課長会からも一定の収入を得ていたことになる。

 ちなみに、この年は後援会から活動実態が見えない「粕屋の政治を考える会」「粕屋の未来を考える会」「粕屋の発展を考える会」「松友会」「吉友会」「昭友会」の六つの政治団体に合計14,500,000円が寄附され、全額が使途不明の「交際費」に化けていた。この件についても、きちんと説明責任を果たすべきだろう。

 規範意識の欠如が顕著な吉松氏に、他者を「カツアゲ」だの「みかじめ料」だのと誹謗する資格があるとは思えない。証拠はまだある。

(中願寺純則)

 

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