令和8年熊本地震が起きてから1カ月が過ぎた。激震地となった八代市の避難所で市民に聞くと、あきらめ顔でこう話す。
「今も水が出ません。水の確保と家の片付けで1日が過ぎていく。そこへこの猛暑。避難所でも体調を崩す人がけっこういますね。総理大臣が視察に来てたけど、それから大きく変わったことはありません。動画では素晴らしい視察だったとやっていましたが、現地がよくならないと意味がない」
8月3日、自衛隊機に搭乗した高市早苗首相は、被災地の上空で両手を合わせて黙とうを捧げるという“やらせ”が臭う場面を撮らせ、公表した。避難所の入口から一声かけただけで去っていく様子も流されたが、ネットで“炎上”。そんな背景もあってメディアの支持率は低下もしくは横ばい傾向だ。
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最近の世論調査における内閣支持率の数字をみると、次のような状況だ。
【共同通信】
・支持する 50.2ポイント 前月比マイナス3.5
・支持しない 33.9ポイント 前月比マイナス0.2【毎日新聞】
支持する 41ポイント 前月比±0
支持しない 44ポイント 前月比±0
毎日新聞は、高市首相が熊本地震視察の際のヘリコプター動画や、被災者数人とだけ面会した様子についても尋ねている。
・視察を評価する 34ポイント
・評価しない 36ポイント
・わからない 29ポイント
高市首相の熊本地震視察に対する評価は決して高いとは言えないようだ。ある自民党の閣僚経験者はこう話す。
「これまで、大きな災害があって総理が駆け付けると評価は高くなり、支持率も一定程度アップしていました。しかし、高市さんの場合は、上がるどころか下がっている。評価が下がったとは言えない結果を示しているメディアでも、ほぼ横ばいという程度。高市さんは派閥に属しておらず、党内基盤が弱い。政権を維持するには高い支持率をキープするしかないのだが……」
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そこで、注目されるのが、8月末とされる自民党の役員人事と内閣改造だ。
昨年9月に自民党総裁選に勝利し、総理に駆け上がった高市首相の後ろ盾は麻生太郎副総裁。麻生氏が高市首相を支持したことが、最大の要因だ。麻生氏は副総裁として復権し、その義弟である鈴木俊一氏が幹事長に就任した。麻生氏の思いがそのまま反映した党役員人事だったのである。次はどうなるか――麻生派所属の衆院議員が懸念を口にする。
「党の役員人事と内閣改造だが、先に決まるのが幹事長。その後、総務会長や政調会長などが選ばれる。内閣改造に着手する時の閣僚の人選で、最も早く決められるのが官房長官だ。つまり、幹事長人事が一番大事。高市さんが鈴木さんを外すのかどうかだが……」
今年1月に解散総選挙を断行した高市首相は、麻生氏にも鈴木氏も相談せず、秘密裡にことを進めたとされる。前出の麻生派議員はこう続ける。
「最近の麻生先生は、『高市はどうなっているんだ』と首をかしげています。総裁選で結束していた時と比較すれば、かなり距離感がありますね。今度の幹事長人事などでどうなるのか心配だ」
麻生氏にとっては鈴木幹事長の留任が大前提。次に有力候補とされるのは萩生田光一幹事長代行だが、共同通信の世論調査における《内閣改造と自民党役員人事を行う構えです。あなたは、政府や自民党の重要ポストに派閥裏金事件で処分を受けた議員を起用することに賛成ですか、反対ですか》という問いに対しては、「賛成 21.0」「反対 73.8」という数字。当たり前の反応だ。
萩生田氏は2,728万円もの裏金をため込み、公設秘書は検察審査会で「起訴相当」と議決され、政治資金規正法違反で有罪が確定している(既報)。
「政治倫理審査会で萩生田氏は、「秘書に一任」と繰り返した。つまり「秘書が、秘書が」で逃げ切った。本当の責任は萩生田氏自身にあるが、法律の立て付けで秘書が責任を問われただけ。それが幹事長とはね……。萩生田氏の幹事長起用イコール高市首相の支持率急落となるのは目に見えている」――自民党関係者はそう言って顔をしかめる。
幹事長を鈴木氏に続投させるなら、それは麻生支配が続くということ。萩生田氏を抜擢すれば裏金事件が再燃する。実は高市首相、厳しい状況に置かれている。一部では、幹事長に武田良太元総務相や林芳正総務相を推す声もあり、どちらもキャリア的には申し分ない。
武田氏と麻生氏が犬猿の仲であることを永田町で知らない人はいない。麻生さんは安倍晋三元首相と同じ山口県が地盤の林さんのことも敵対視している。そのどちらかを起用した場合、麻生氏が反高市に転じかねない状況だ。しかし、熊本地震に物価高、円安と諸問題が山積する中で、なんら有効な手が打てない高市首相――。老害キングメーカーにおうかがい立ねば党役員人事と内閣改造に着手できないようでは、先行きは真っ暗である。















