【2026沖縄知事選】下地氏不出馬の影響は?

先月27 日、注目の沖縄県知事選挙が告示された。立候補したのは、現職で期目を目指す玉城デニー氏と自民党など既成政党の推薦を受けた新人で元那覇市副市長の古謝玄太氏ら6人。選挙戦は、オール沖縄をバックにした玉城氏と自民党を中心に右寄り政党が推す古謝氏による事実上の一騎打ちとなっている。

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告示前日の午後だった。玉城氏陣営の地方議員A氏は「さすがに2日前に断念とは……」と驚きの表情。自民党のある県議も「まさかと思った」と不快そうに話す。

知事選に立候補を表明していた下地幹郎元郵政民営化担当相が、「今度は立候補しません」と出馬断念を発表したからだ。選挙関係者にとって、その影響は小さくなさそうだ。

下地氏は、「どうしたら沖縄を前に進めることができるか考えました。自民党本部と政策を合意して古謝氏を応援したらどうだと鈴木(宗男)先生から言われました。長く協議して、古謝氏を支援することとした」と出馬断念の弁。国民新党時代に閣僚も経験し、衆議院当選6回、一族は沖縄で建設会社を営んでおり、浪人中とはいえ下地氏には一定の力がある。

記者は今年4月、那覇市のオフィス街のビルから下地氏が出てくるところを確認。そのビルの近くには、「久米島オーシャンジェット株式会社」という大きなディスプレイがあった。同社の会長は下地氏が務めている。

外から同社のオフィスを見ると、5月1日以降、沖縄本島から久米島などに高速船が就航するという時刻表があった。一緒にいた地元紙の記者は「さすがというしかない。知事選に『出る』といいながら、土壇場で『出ない』と言うんじゃないか。下地氏が出馬すれば保守票が流れるので自民党へのダメージが大きい。今、公共交通機関でもある離島へのジェット船を運航することには、何か政治的な背景があるはず。下地氏はうまく立ち回っているということでしょう」と話していた。前出のA氏も「下地が知事選を利用して駆け引きするために、ジェット船をこのタイミングで運航させているように見える」と同じ見方だった。

2人の読み通り、下地氏は出馬を表明するも直前で断念。古謝氏を応援すると言い出した。自民党の閣僚経験者はこう話す。

「今年の大型選挙といえば沖縄県知事選しかない。高市さんとすれば、全国的にも注目されるので絶対に負けられない。下地を取り込むのが最善と党幹部が判断したのでしょう。元々下地は自民党。彼が動けばある程度の票が動きますからね」

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自民党が8月15、16の両日に実施した情勢調査では、玉城氏45.5ポイントに対し古謝氏41.1ポイント下地氏は6.0ポイントという数字だった。7月の世論調査では玉城氏と古謝氏との差が10ポイントほどだったことから、古謝陣営が一気に差を詰めてきた感じだ。前出のA氏が顔を曇らせこう語る。

「古謝氏の支持に下地票を加えれば、ほぼ玉城さんと並ぶ。下地氏が出れば古謝氏への支持が割れるので、玉城さんの優勢逃げ切りという展開になっていたはずだが……」

事実、下地氏が立候補した2022年の知事選では当選した玉城氏が約34万票、自民党などが推薦した佐喜真淳氏が27万票で、下地氏が千票あまりという結果だった。単純計算だが、下地氏の票が佐喜真氏に乗っていれば、ほぼ互角という争いになっていた。

そこで今回、自民党が動いた。下地氏と親しく、沖縄の事情にも詳しい鈴木宗男参議院議員が下地氏を説得。下地氏は出馬を断念する代わりに条件を突きつけたという。下の写真がその際の合意書だ。鈴木俊一幹事長と西村康稔選対委員長のサインがあり沖縄県の子ども貧困対策予算300億円、沖縄本島の鉄道敷設、2030年のG7サミット沖縄誘致、辺野古基地建設を予定通り進め普天間基地を返還させる時期を明確にするといった内容が並ぶ。久米島オーシャンジェットのホームページを見ると就航した直後に事故が発生。その後も、補修や点検で当初計画された通りの運航はできていない。不可解な話だ。

「沖縄本島でいえば、15%が米軍基地となっており、国の支援で成り立っているのが現状です。百戦錬磨の下地は利益誘導することを交換条件に立候補を取りやめたのではないでしょうか。当然、下地のジェット船の会社についても何らかの話し合いが行われている可能性がある。また下地が過去に自民党復党を求めていたことも関係しているのかもしれない。急にこんな話がまとまるわけはなく、かなり前から動いていたと見る方が自然でしょう。これだけの話になれば、当然高市総理の了解も必要となりますからね。劣勢のまま選挙戦に突入すれば、古謝氏の勝ち目は薄かった。最も効果があるタイミングを狙って下地の出馬断念を仕掛けたのでしょう」(前出・大臣経験者)

下地氏の出馬断念と古謝氏支援で、情勢調査の数字は互角の展開になってきた模様だ。「想定されたこととはいえ、下地さんの出馬取りやめで選挙戦はますます厳しくなった。しかし、カネで沖縄を支配するという自民党の手法が通じるとは思えない」(前出のA氏)

自民党が土壇場で打ってきた利益誘導ファーストの選挙戦はどんな結果を招くのだろうか……。

 

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