鹿児島実業高校サッカー部コーチが生徒に「死ね」|パソコン、教科書で殴打の事例も

 野球やサッカーの強豪校として知られる鹿児島実業高校(以下、「鹿実」)のサッカー部のコーチを務める男性教員が、生徒に「死ね」と罵倒したり、暴力を振るっていたことが関係者の証言で明らかとなった。学校側に事実関係の確認を求めたが、十分な回答は得られていない。

■ 忘れ物した生徒に「死ね」

 問題の事案が発生したのは2025年のこと。同校教員で サッカー部のコーチを務めるT氏が、部員である生徒が忘れ物をしたことに対し「死ね」という暴言を浴びせた。

 T氏は教育者として生徒の成長を支えるべき立場にある人間。日常的に接する生徒に対して放った言葉としてはあまりにも苛烈であり、不適切と言わざるを得ない。事態を重くみたサッカー部員の保護者らが学校側へ抗議し、厳正な調査と処分などを求めたが、同校が下した判断は極めて甘いもの。T氏が当該生徒に対して個別に謝罪を行うことで、事態の収束が図られたという。教育現場としての自浄作用を放棄し、問題をうやむやにしようとする姿勢に対し、保護者や関係者の間からは疑問と不信の声が上がっていた。

■ ノートパソコンで殴打、人格否定発言も

 取材を進める中、T氏によるさらなる不適切行為の情報が寄せられる。関係者の話によると、T氏は他の生徒に対する“指導中”、手元にあったノートパソコンの角で殴打。一歩間違えれば重大な怪我につながる危険極まりない不法行為だった。教科書で生徒を叩いたとの証言も出ている。

 また、別のサッカー部員がケガを負った時にはその理由を問い質し、“わかりません”と答えた部員に「人間性の問題よ」と人格否定。意味の分からない指導で突き放された形となった生徒は深く傷ついたという。

 T氏については、人間性を否定するような暴言や暴力を日常的に繰り返していたとの情報が寄せられており、事実なら教育や部活動指導に名を借りた悪質なハラスメント。生徒たちの精神面・身体面に与えた影響は計り知れない。

■ 「木で鼻を括る」学校側の回答

 長期間の取材で何人もの関係者から証言を得たハンターは先月、鹿児島実業高校に対し以下の内容で質問書を送付し、事実確認を求めていた。

1 貴校の教諭で、サッカー部のコーチを務めておられるT氏(*質問書では実名)が、授業中に、忘れ物をしたサッカー部員の生徒(本年3月に卒業)に向かって「死ね」と発言したとの情報があります。これは事実ですか?仮に本件を把握されていたとして、どのような措置をとられていますか?

2 同氏は、卒業した部員が3年生だった当時、けがをした理由を尋ね、部員が「わかりません」と答えたところ、「人間性の問題よ」と発言したとの情報があります。これは部員の人格を否定する暴言だと考えますが、当該事案を把握しておられますか?仮に本件を把握されていたとして、どのような措置をとられていますか?

3 同氏は、卒業した部員を教科書やノートパソコンで叩くなどの暴力的行為を行っていたとの情報があります。当該事案を把握しておられますか?仮に本件を把握されていたとして、どのような措置をとられていますか?

 鹿実を運営する学校法人「川島学園」にも同様の内容で質問書を送ったが、回答したのは高校側だけ。下がその回答文書である。

 「木で鼻を括る」とはこういうこと。生徒を守るべき立場の学校でありながら、反省する姿勢は皆無だ。

 まず1について。「死ね」発言については認めたものの、誰がどのような謝罪を行ったのかについての説明はない。学校側が何らかの処分なり措置を行ったかどうかについては何も答えていない。

 2及び3の質問に対してはゼロ回答。《状況によっては対応が異なる》は意味不明であり、もし「状況次第で暴言や暴力も許される」という考え方なら教育機関としては不適格だろう。

 鹿実側の回答を見た関係者は次のように憤る。

 「この回答は、問題を軽く見ている証拠。生徒や保護者の証言は私も確認しており、Tコーチによる暴言や暴力があったのは確かだ。それも日常茶飯だった可能性が高い。学校側は問題を真摯に受け止め、きちんと公表すべきで、こんないい加減な回答で終わらせようとする姿勢は許せない。教育者としての立場を利用し、生徒に厳しく自分たちに甘いと感じる」

■ 相次ぐ不祥事の背景

 鹿実のサッカー部を巡っては昨年、生徒の保護者と同部の監督(当時)との間における不倫トラブルが報じられ、学校関係者や保護者層に激震が走ったばかり。今年6月には、同校ソフトテニス部で顧問を務めている教員が、部員に平手打ちして処分されたことが報じられている。

 教員や部活動指導者による生徒への暴力やパワハラに対する社会の目は、年々厳しさを増している。体罰や精神的威圧による指導はすでに過去の遺物。法的にも倫理的にも容認されない時代だ。いかなる理由があるにしても、教育者が生徒に対して「死ね」などという言葉を吐き捨てることは、断じて許されるものではない。もちろん、そうした言葉をぶつけられた生徒が、それを「教育」や「成長のための指導」と感じることはない。

 ハンターのもとには、今回報じた事案以外にも鹿実サッカー部や他の運動部に関する数多くの情報や内部告発が寄せられており、現在も取材を継続中。「教育者」たちの理不尽な対応に苦しむ生徒や保護者たちの声を、これからも報じていく予定だ。

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