虐待疑惑の北海道・京極町で議会報告|渦中の議員は欠席、役場に苦情100件超
地元農業法人の外国人労働者虐待疑い(既報)で全国的に耳目を集めつつある北海道・京極町で9月3日、町議会の本会議が開会し、町長が議会報告に臨んだ。同問題に関する苦情などがすでに100件以上、役場に届いていることがあきらかになったほか、町として必要があれば関係各機関に誠実に協力する考えがあることが示された。問題の農場の実質的経営者とされる現職町議は「一身上の都合で」この日を含む全日程の欠席を表明、筆者の取材に対しては「体調不良で致し方なかった」と弁明している。
*問題の議員が欠席となった京極町議会
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「町の責任者として、たいへん重く受け止めております」――9月3日午前10時に開会した京極町議会の本会議で、佐古岡秀徳町長はそう切り出した。語られたのは、今や北海道のみならず全国的に話題となっている地元農業法人での外国人虐待疑惑。本サイトでも既報の通り、町内の農場に「特定技能労働者」として雇用されていたミャンマー国籍の従業員たちが8月下旬、札幌市内で記者会見を開いて経営者らによる日常的な暴力やセクシュアルハラスメントの被害を訴えた。
被害者らの救出・保護にあたった札幌地域労働組合は問題の農業法人に団体交渉への対応を求め、併せて出入国在留管理庁に実態調査を要請。また暴行の被害を訴える男性従業員の1人は8月24日付で最寄りの倶知安警察署へ告訴状を提出し、農業法人の実質的経営者である現職の京極町議会議員らへの適切な捜査を求めたところだ。農場から救出された男女6人は現在、札幌市内のキリスト教会などに保護されており、関係各機関の動きを待ちながら適宜、報道各社などへの被害証言を続けている。

*倶知安警察署へ入る関係者
そのさなかに開会した地元議会には、渦中の農場経営者たる現職町議の姿が見られなかった。同議会の小柳光義議長によると、書面による欠席届は提出されていないものの、当該議員本人から議長へ連絡があり「一身上の都合で」全日程を欠席するとの申し入れがあったという。本会議では当人不在の状態で虐待疑惑が話題に上り、かねてから同問題を深刻視していた城田幸俊議員が「困った時に『助けて』と言える環境が必要。駆け込み寺のような仕組みを作ることはできないか」と町側に呼びかけ、佐古岡町長が「必要な支援を進めたい」と答弁する一幕があった。午前中の日程の終了後、報道陣の取材に応じた城田議員は改めて疑惑の町議の欠席について「(一身上の都合ではなく)具体的な欠席理由を示し、説明責任を果たすべき」と苦言を呈した。
*損傷や汚れの目立つ浴槽。男子寮の台所にはネズミ。
この翌日の9月4日夕、筆者は当該議員とみられる人物と電話でのやり取りが叶い、議会欠席の理由を尋ねる機会を得た。問いに対し、電話の相手は「体調不良のため致し方なかった」と釈明したが、具体的な疾病名は明かさなかった。虐待加害が疑われている立場として公式なコメントや取材対応が待たれると指摘すると「まずは団体交渉に対応してから」との考えを話したが、労組の申し入れで9月9日に実現した団体交渉に当該議員の姿はなかった。

*佐古岡秀徳京極町長
――佐古岡秀徳・京極町長による議会報告 全文
まず初めに、町内農業法人において発生いたしました特定技能外国人労働者へのハラスメント等に関する報道、ならびにこれに伴う一連の状況と本町の対応につきまして、行政報告を申し上げます。
今回の報道により、町民の皆様をはじめ、京極町の農業や地域社会にかかわる多くの関係機関、ならびに全国の皆様に対し、多大なご心配とご懸念をおかけしておりますことにつきまして、町の責任者としてたいへん重く受け止めております。本町におきましては、地域農業の持続的発展、ならびに地域産業を支えてくださる外国人材を含むすべての労働者の基本的人権の尊重、及び適切な労働環境の確保が、極めて重要な行政基盤であると認識をしております。今回の事案に関しましては、特定技能制度を管轄する出入国在留管理庁や警察などの関係機関において必要な情報の確認や手続きが進められているものと承知しており、その他の関係行政機関の動向につきましても、町として注視しているところでございます。
現在すでに、役場に対しましても、本件に関して100件を超えるたいへん厳しいご意見やご批判が寄せられており、この問題に対する社会的な関心の高さと皆様のご懸念の深さを改めて真摯に受け止めております。
一方で、皆様から寄せられるお声の中には、町による直接的な指導や改善処分の実施を強く求めるご意見も多く含まれておりますが、本町の立ち位置といたしましては、個別の民間事業者の労使関係や刑事手続きそのものに対して直接的な調査権限や法的処分権限を有するものではございません。しかしながら、マスコミ各社からの取材対応におきましてもお伝えして参りました通り、町として本問題を軽視しているものでは一切ございません。今後、関係行政機関や司法機関において必要な手続きが進められていく中で、町として要請や照会がございました場合には、誠実に対応して参る所存でございます。
また報道において、本町議会議員の関与疑い等についても触れられておりますが、二元代表制の原則に基づき、議会に関する事項につきましては議会自律の判断を尊重しつつ、町行政といたしましては公正・公平な立ち位置を堅持して参ります。
町といたしましては、本町で生活し地域産業をともに支える外国人の皆様が、言語や文化の壁を越えて安心して暮らし、働ける環境を整えることが急務であると考えております。今後は、北海道や関係支援団体、出入国在留管理庁等との連携をさらに強化し、町内の相談・支援体制の再確認や事業者へのコンプライアンス遵守の啓発に努めて参ります。
町民の皆様、ならびに議員各位におかれましては、関係機関による事実関係の確認や推移を注視していただくとともに、本町農業の信頼回復と安心な地域社会の実現に向け、引き続きご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いをいたします。
(小笠原淳)
| 【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 |















