検察審査会が文書開示を巡る苦情受付を拒否

本サイトで折に触れ報告している検察審査会の情報公開をめぐる問題で8月下旬、検審の「公文書郵送不可」ルールに阻まれて情報を入手できなかった筆者の審査請求(苦情申出)について、北海道内の2つの検審が同苦情に対応しないとの決定に到っていたことがわかった。(*下が苦情申出拒否を通知する文書)

同決定は9月に入ってから、郵便で筆者に通知。国民の知る権利を担保する情報公開では決して郵送対応をしようとしない公的機関が、そうした対応への苦情の受理の拒否についてはあっさり郵送で知らせてくる不可解な了見が浮き彫りとなった。

筆者は併せて別の5カ所の検審にも開示情報の不充分さを指摘する審査請求を行なっているが、こちらは通常の手続きに従って受理され、8月末までに第三者機関へ諮問(意見伺い)されたことが伝わっている。

◆   ◆   ◆

筆者が地元・北海道内にある9カ所の検察審査会(札幌、岩見沢、室蘭、小樽、函館、旭川、釧路、帯広、及び北見)に文書開示請求(検察審査会行政文書開示申出)を行なったのは、本年1月中旬のこと。求めたのは、昨2025年内に各検審で議決に到った全事件の概要がわかる公文書。請求書の当該欄には「とりわけ議決の種類(「不起訴不当」など)や件数を確認できる文書」との一句を添えた。

これを受理した9庁のうち、岩見沢と北見の2検審は2月中旬までに不開示決定に到り「文書を作成又は取得していない」との不開示理由を筆者に示した。つまりこの2庁では昨年の議決が0件だったことになる。残る7検審はほぼ同時期に「通知期限の延長」を決め、文書の探索や精査に時間を要しているとして「3カ月程度」の延長を通知してきた。

先の7検審から文書開示決定が届いたのは、通知通りほぼ3カ月が過ぎた5月上旬のこと。対象文書の写し(コピー)の交付を求めていた筆者に対し、各検審は通知期限内(1カ月以内)に本人ないし使者(代理人)が訪庁した上で自ら文書を謄写(コピー)するよう伝えてきた。

これに「郵送対応を」と求める筆者の要請がことごとく聴き入れられず、飽くまで各検審が立地する遠隔地へ請求人が赴かなくてはならない理不尽なルールが言い渡された顛末は、本年5月中旬の配信記事(既報)で伝えた通り。その後、筆者は予定をやり繰りして期限内に4庁を訪問することが叶い(札幌、室蘭、小樽、及び釧路)、また期限後に訪問できる可能性のあった1カ所に期限延長を申し入れてこれが受け入れられ(帯広)、計5検審の開示文書を受け取ることができた。しかし、残る2検審(函館と旭川)については訪問の機会を得られず、写しの受け取りを放棄せざるを得なくなった。

正当な手続きで公文書の開示を認められながら、物理的な理由でその権利を行使できなくなるという不条理。前述のように、開示請求への対応(不開示決定や延長決定、開示決定など)は何の問題もなく郵便で通知されているにもかかわらず、最も肝心の「写しの交付」のみは郵送対応が決して認められない。このルールは一刻も早く改善されるべきだろう。

行政官庁のみならず、裁判所や検察、警察、各地方議会や地方の事務組合など、およそ公的機関といえる組織は何の問題もなく公文書の郵送開示に対応できている。検察審査会のみが決して対応できないという開示制限に合理的な理由はなく、この面妖なルールが維持され続ける限り、遠方に足を運ぶことができない障碍者や高齢者などは否応なく知る権利の放棄を強いられる差別的待遇に甘んじなくてはならなくなる。

8月上旬、筆者は函館検審と旭川検審に審査請求(苦情申出)を行ない、開示の実施方法の運用変更を求めた。しかし本稿冒頭に述べたようにこれはいずれも受理されず、両検審から8月末日付で「苦情の申出に対する措置をとらない」との通知が届くこととなる。その全文を、下に引いておく。

《令和8年8月1日付けの苦情の申出については、その記載された内容が検察審査会行政文書の全部又は一部の不開示の判断に対する苦情ではないことから、当検察審査会がした判断の当否について判断しないこととしましたので通知します》

つまるところ、開示内容への苦情ではないため対応できない、ということ。本邦の検察審査会は、郵送開示不可のルールの変更を求める申し出をどうあっても受け付けない考えなのだ。ここまでくると、もはや不可解としか言いようがない。

なお筆者は今回、求める文書の一部開示を決めた5検審に対しても審査請求を行なっている。開示請求書の請求欄に「とりわけ議決の種類(「不起訴不当」など)や件数を確認できる文書」と明記したにもかかわらず、開示された文書では議決の種類も件数も一切確認できなくなっていたためだ。これでは何のために開示請求を行なったのか、まるで意味がなくなる。検察審査会の審査した事件の議決が一切薮の中となる現状は、常識的に考えて異常事態と言うしかない。

上の請求に対しては8月下旬、各検審が第三者機関「検察審査会情報公開・個人情報保護審査委員会」( ⇒こちら)に諮問(意見伺い)したことが通知された。今後、特筆すべき動きが伝わり次第、本サイトなどで報告を続けたい。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

 

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