【2026沖縄知事選】古謝氏勝利の裏に狂乱SNS

13日、今年の下半期で、最も注目される選挙となった沖縄県知事選で、新人で政権与党をはじめとする右派勢力が大連立を組んで推した古謝げんた氏が、現職で3期目を目指した玉城デニー氏に、15万票近くの大差をつけて圧勝。午後8時に大半のメディアが「ゼロ打ち」を報じると、大きな拍手が沸き上がった。

◆   ◆   ◆

マイクを持って「沖縄を前に進めていきます」と喜びを爆発させた古謝氏。保守系にとっては12年ぶりの県政奪還となった。「ここまで、差がつくとは思わなかった。高市総理は上機嫌だそうだ」と自民党の閣僚経験者A氏が嬉しそうに語る。高市首相も、「経済成長を求める沖縄県民の意思が反映された選挙。新しい知事としっかりと連携、沖縄経済を強くする」と述べている。

当初、苦戦が予想された古謝氏だったが、告示直前に元自民党の衆議院議員・下地幹郎氏が突然の出馬辞退。その場で古謝氏への支援を表明した。玉城氏優位とみられていた選挙で、これが転換点になったとみられている。

だが、なんといっても大きな敗因は、今年3月に起きた辺野古沖の転覆事故で女子高生が亡くなったこと。玉城氏の支援者が次のように悔やむ。

「あの時の玉城さんの対応がまず過ぎた。玉城さんの支援組織が船の運航にかかわっていたことで、気を使った玉城さんは謝罪の意をすぐに示せなかった。人柄の良さでこれまで勝ってきたのが玉城さん。それを『冷たい人』と感じた県民は少なくなかった。その後『また事故が起こるようなら、早期に辺野古の建設を完了すべき』というように県民の意識が変わってきていたんじゃないか」

落選が報じられた玉城氏は「民意を受け止める」と冷静に語ったが、質問がネット上で誹謗中傷が相次いだ話に移ると、激しい口調で次のように訴えた。

「SNSの状況、現場での混乱などで日本の選挙制度、法律も含めた選挙制度を考えた場合に、本当に常識的な国民や有権者の選択がゆがめられるようなことがあってはならない」

「SNSを野放しにしている方が、日本というその国を考えた場合にどうするんだということが重要。これは選挙だけの話ではない。秘匿性の高い、いわゆる本名を名乗らないということが許されている中での罵詈雑言。そこから二次被害、三次被害が広がっていく。誰も責任取れないし、手立てが講じられてもいない」

選挙戦が進むにつれ玉城氏へのネット上での誹謗中傷は過激になった。AIで作成したとみられる動画では、玉城氏が重機で押しつぶされるようなものや、玉城氏が当選すると《沖縄が中国に乗っ取られる》《辺野古基地建設は玉城が決めた》などのニセ情報が乱れ飛んだ。

とりわけ、女性インフルエンサーE氏の発信が注目を集め「知事が必死に『米軍基地をなくせ』と叫んでいる理由が分かっていますか?米軍基地があることで、いちばん嫌な思いをしているのは誰ですか? そう、中国だ」などと発信。それに呼応するように、男性インフルエンサーが「玉城デニー、こいつはやばい」などと炎上を煽った。沖縄の地元紙、琉球新報がE氏の発信についてファクトチェックをしたところ《偽情報》との判定がなされている。

E氏のSNS発信を見ると、動画は500万再生ほど。玉城氏を炎上させるような動画がバズりはじめると、再生回数で「稼げる」とみたYouTuberなどによって偽情報、ミスリードが瞬く間に広がった。選挙結果に影響を与えたのは確かだろう。

玉城氏のSNSには県民などからの応援動画がアップされていたが、同氏は《ご出演いただいた方からも、個人が特定され、攻撃を受けることへの強い不安や恐怖の声が寄せられました》として、投稿を削除したことを自身のSNSでアナウンスした。それほど汚い攻撃だった。

一方、古謝陣営のSNSの使い方やオリジナルのテーマソングを流す選挙戦術は非常に巧み。リストバンドや「玄太Tシャツ」が無料配布されたという疑惑が指摘されても選挙戦には影響しなかった。

「はっきり言って、すさまじいカネと人が投下されたと思います」と呆れ顔で話すのは玉城氏を支援していた地方議員。玉城氏も「物量でかかってくる政府丸抱えの圧力に対して、非力である者がどう立ち向かっていくのかは、これからのテーマ「SNS の猛威は本当に、何度も言いますけれども、業界任せ、プロバイダーに削除を求めるとかで責任を負わせるのではなくて、悪用する者に対してしっかりと厳しく取り締まりますよと、これは国がちゃんとやるべきだと思う」と語っている。

圧勝に沸く古謝陣営だが、非常に後味が悪い選挙となったのは確か。沖縄の選択が正しかったのかどうかは、いずれハッキリする。

 

この記事をSNSでシェアする

関連記事

最近の記事一覧

  1. 田川地域の“ドン”と評される永原譲二大任町長が誘致を表明したカジノを含む統合型リゾート(IR)につい…
  2. ブロック紙・北海道新聞(札幌市中央区、堀井友二社長)が来春から段階的に賃金規則を改定する方針をまとめ…
  3. 自民党関係者によると、簗和生農林水産相の進退を巡り、14日の衆院予算委員会終了後の対応が焦点となって…
  4. 予算削減発言でクビになるかどうかの瀬戸際に立つ簗和生農水相だが、高市政権は、“サプライズ入閣”を果た…
  5.  田川地域で“ドン”と評される永原譲二大任町長が誘致を宣言したカジノを含む統合型リゾート(I…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。
ページ上部へ戻る