目玉がなかった第2次高市改造内閣にあって、数少ない話題が連立を組む日本維新の会が閣外から閣内協力に転じたこと。規制改革担当大臣として初入閣したのは、ダークホース的に見られていた同党の中司宏前幹事長だった。最有力視されていた馬場伸幸元代表は外され、さらに 共同代表の藤田文武衆議院議員まで飛ばして中司氏というサプライズ。ハンターでは、馬場氏が「身体検査に引っかかった」ことや、中司氏が有力候補に浮上したことを組閣の1週間ほど前に報じていた。

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ある維新の国会議員は「確かに馬場さんがヤバそうだとは聞こえていましたが、うちは『身体検査に引っかかった』という情報が駆け巡った時に会合を開き、馬場さんを入閣候補だと発表し、高市首相にもそう申し入れていた。それが直前になって藤田さんまで『引っかかったようだ』という話になって中司さんが急浮上した。ほとんどの議員が驚いていましたよ」とドタバタ続きだった党内の様子を打ち明ける。

なぜ、馬場氏、藤田氏が「身体検査に引っかかった」のか?自民党の閣僚経験者A氏はこう解説する。

「馬場さんは、社会福祉法人の理事長になった経緯が『乗っ取りではないか』と週刊文春に報じられた件がネックになったんじゃないか。藤田氏については、ご自身で会社経営をしているらしいが、官邸はそこに何らかの疑念があると判断したと聞いた。つまり政治とカネの問題だ」

2025年10月、しんぶん赤旗日曜版は、藤田氏が自身の公設第一秘書の会社に印刷やデザイン代と称して年間2,000万円も支出していたことを報じた。赤旗の報道をきっかけに、維新の地方議員が関与している会社に、政治資金などから印刷やデザイン代、レンタカー代などの多額の発注があったことも明らかになっている。

藤田氏の公設第一秘書が経営している会社は、登記簿上《化粧品の企画、輸入、製造及び販売》《福祉用具の貸与及び販売》など18項目が目的欄に並ぶが、どこにも「印刷業」という記載はない。それでも藤田氏は「現時点では適法」と言い張った。前出の維新議員は次のように語る。

「昨年10月の赤旗報道で、藤田さんの政治とカネの問題が次々と噴出した。あの時は強気で『今後は発注しない』として乗り切ったかにみえたが、入閣の話になってからアウトになった。適法なら発注を続ければいいのに“もう止める”なんて言うと“やっぱりね”とみられますよ。藤田さんは幹事長時代から自民党の裏金事件など政治とカネの問題をめちゃくちゃ批判してきた。最後に自民党からしっぺ返しされた格好ですね」

紆余曲折の結果、中司氏に順番がまわったきたが、同氏は2007年、枚方市長時代に談合罪で逮捕され有罪判決を受けた人物だ。同様のケースで入閣したのは、ロッキード事件の「全日空ルート」に関与し、刑事事件では受託収賄罪で有罪判決が確定していた佐藤孝行氏が、橋本龍太郎内閣(当時)の総務庁長官に就任して以来とされる。その頃、自民党は社会党とさきがけの連立内閣。佐藤氏の入閣に批判が高まったため、わずか12日間で辞任となった。

中司氏の事件を担当した大阪地検特捜部の元検事は、匿名を条件に「あの談合事件は、検察にとって失敗に近かった」と振り返る。

事件の構図はこうだ。清掃工場の建設工事が大手ゼネコンに55億円で発注された。大阪地検特捜部は、当時、枚方市長だった中司氏にゼネコンから巨額のカネが流れていると判断。だが、実際には元府議に3,000万円、現職の大阪府警捜査2課の刑事に1,000万円という流れしか立件できなかった。共犯者として逮捕された当時の副市長も無罪になっているが、中司氏が有罪になったのは「談合」への関与だけで、金銭授受は認定されていない。

「2007年にいわゆる『談合罪』が施行されて間もない事件。要は、談合罪の第1号で大物をあげようとやってみたが、中司氏にはカネが流れていなかった。本来なら贈収賄と談合はセットでやるべきだが、できなかった。検察にとっては非常に情けない事件だった」(前出の元検事)

前出の閣僚経験者は、一連の経緯をこう見ている。

「維新はどうしても大阪組から閣僚を出したかった。しかし、馬場さんも藤田さんもダメ。残った候補は有罪判決の中司しかいなかった。維新内部も一枚岩ではない。馬場さんは維新の創設メンバーと折り合いが悪く、かなりもめている様子だった。中司も有罪判決の件が身体検査で引っかかっていたが、カネが流れていないという点と、その後に復活して府議に2度、衆議院で3度の当選をしていてみそぎ(禊)は済んだということから入閣が認められた。個人的には、馬場さんや藤田さんよりはずっといい人。ただ、今後はメディアで激しく叩かれるでしょうから、それをどう乗り切るかだ」

中司氏の入閣が、維新の人材不足、ひいては連立にふさわくない政党であることを露呈した格好だ。

 

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