【ミャンマー人労働者虐待問題】農場側が一部虐待認める|第2回団体交渉、町議はまたも欠席

北海道・京極町の農場で疑われているミャンマー人労働者への虐待問題で(既報)、労働組合が求めていた2度目の団体交渉が札幌市内で設けられ、指摘される暴行の事実の一部を農場側が認めるに到った。交渉の席では複数のミャンマー人が不当に詐取された金銭や未払い賃金などが精算されたが、一連の被害についての謝罪はなかった。参加を求められていた農場の実質的経営者である京極町議会議員の男性は、初回の団交に続き今回も姿を現わさなかった。

◆   ◆   ◆

2度目になる団体交渉が行なわれたのは、9月18日午後。初回に続き、労組側からは虐待被害を訴えるミャンマー国籍の男女6人と札幌地域労組の職員3人が出席、同じく農場側からは経営主体である町議の長男と登記上の代表者、及び代理人3人が出席し、非公開で交渉が進められた。労組側は町議本人の出席を強く求める要望を9月15日付で農場側に寄せていたが、町議がこれに応じることはなかった。

*第2回団体交渉(札幌地域労組提供)

虐待疑惑を巡っては、労組側がかねてから重視していた問題がある。即ち、町議親子が運営していた別の農業法人が4年前に国の命令で外国人の受け入れを禁じられていた問題。労働者への人権侵害を理由とする厳しい処分だが、にもかかわらず町議らはその後も外国人労働者を雇用し続けることができていた。先の命令の直後に別の農業法人を設立し、実質上まったく同じ顔ぶれで事業を継続することができたためだ。労組はこうした法の抜け穴を問題視し、処分当時にどういう人権侵害行為があったのかを具体的に質す考えだったが、農場側の代理人弁護士らが「それは団体交渉事項ではない」として対応を拒んだという。団交後に取材に応じた地域労組の鈴木一顧問は「何があったのか、きちんと真相究明する必要がある」と、農場側の対応の不誠実さを批難した。

「彼らがダミー会社など作らず国の命令にきちんと従っていれば、ミャンマーの人たちは新たな被害に遭わずに済んだんです。労組としては、確認質問に応じない農場側の対応を『不当労働行為』として労働委員会への救済申し立てを検討せざるを得ません」

前回の交渉で指摘された未払い賃金については、2回目に到ってようやく精算され、最後の給料にあたる賃金が各自に現金で手渡されたという。これに加え「誤って車両内にガソリンをこぼした」なる理由で農場側から15万円の「罰金」を詐取されていた男性に対し、その全額が返還された。また一連の虐待疑いについても農場側が初めて具体的なケースに言及し、6月に男性従業員の1人が町議からペットボトルで叩かれたという訴えに、町議の暴行が事実であると認めるに到った。一方、関係者から同行為に対する謝罪の言葉が発せられることはなかった。

虐待の主体である町議自身の団交出席が実現していないことについて、組合側が改めてその不誠実さを指摘すると、農場側は次回ないし次々回の団交に町議本人が出席する可能性を述べたという。地域労組の鈴木顧問は改めて、引き続き追及の声を上げていく考えを話した。

「先方としては、町議らに形だけの謝罪をさせ、お金を払って早く幕引きしたいのかもしれませんが、私たちの目的はお金ではありません。4年前の件を含めて法人の責任をきっちり検証し、二度とこういうことが起こらないよう制度の改善などを訴えていく必要がある」

虐待問題の追及に関しては、団体交渉と並行して捜査機関への刑事告訴や出入国在留管理庁への情報提供といった動きがあるが、こちらの具体的な進捗は現時点で伝わっていない。地域労組の鈴木顧問は「告訴を取り下げる考えはないし、入管へも必要な協力を続ける」と、町議らの法的責任についても追及し続ける考えをあきらかにしている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

 

この記事をSNSでシェアする

関連記事

最近の記事一覧

  1. 田川地域の“ドン”と評される永原譲二大任町長が誘致を表明したカジノを含む統合型リゾート(IR)につい…
  2. ブロック紙・北海道新聞(札幌市中央区、堀井友二社長)が来春から段階的に賃金規則を改定する方針をまとめ…
  3. 自民党関係者によると、簗和生農林水産相の進退を巡り、14日の衆院予算委員会終了後の対応が焦点となって…
  4. 予算削減発言でクビになるかどうかの瀬戸際に立つ簗和生農水相だが、高市政権は、“サプライズ入閣”を果た…
  5.  田川地域で“ドン”と評される永原譲二大任町長が誘致を宣言したカジノを含む統合型リゾート(I…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。
ページ上部へ戻る