奈良県で相次ぐ「日本維新の会」の不祥事

日本維新の会のスキャンダルが絶えない。5月9日、維新の会所属の奈良県議、福田倫也氏が近鉄電車の踏切に入り死亡した。自殺とみられたことで福田氏の地元、大和高田市の支持者を驚かせたが、それ以上の衝撃が走ったのは6月11日のこと。奈良県警は、この日の午前10時7分、地元の建設業者である澤田博之容疑者(36)を恐喝容疑で逮捕したが、福田県議が携帯で最後に話したのが、その澤田容疑者だったという情報が流れたからだ。いったい、どういうことなのか――。

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奈良県警の捜査によれば、澤田容疑者は5月3日、4日の両日、奈良県在住の30歳代の男性2人を自身が経営する建設会社に呼びつけた上で解体費用について因縁をつけ、髪の毛を掴んで膝蹴りなどをし、「どないなっとんじゃ」、「お前の子どもさらって殺してしまうぞ」などと語気鋭く申し向け、5月7日に240万円を脅し取ったという。

6月7日にも被害者を呼びつけ金銭を脅し取ろうとしてが、すでに奈良県警に被害届を出していたことで、目的を遂げられなかった。

「地元で大騒ぎになったのは、福田氏が電車に飛び込む直前、携帯電話で話をしていたのが、澤田容疑者とみられるからです」と福田氏の支援者は話す。

福田氏は橿原市議を経て、昨年4月の統一地方選で奈良県議に当選した。本業は、和高田市で経営している保険の代理店T社。福田氏の支援者は、「福田さんは橿原市議を1期途中でやめて、県議にチャレンジして当選。将来を嘱望されていた。その一方で、T社の経営が芳しくなく、カネに困っていた」と話す。

2017年12月、福田氏は「小規模個人再生」を申請し、奈良地裁で再生計画が認められた。破産手続きだとすべての債務が消えるが、財産も裁判所の管轄となり処分される。小規模個人再生の場合は1,000万円の借金があった場合、5分の1から10分の1程度に減額され、原則3年で返済するというもの。一定の収入がある場合に認められる。前出・福田氏の支援者がこう説明する。

「福田さんは保険の代理店業務がうまくいかず、小規模個人再生で借金を減額して経営再建するという手法をとりました。福田さんがカネを借りていたのが澤田。澤田から携帯電話で借金返済のことで脅されたことで、奈良県警も捜査に動いたと聞いています」

福田氏は、ゴールデンウイークには知人らと旅行にも行き、この日も午前中はゴルフのプレイに興じ、元気だったという。また、福田氏が飛び込んだのは自宅や事務所からは距離があり、普段、福田氏が通るような場所ではないため、首をひねる人は少なくない。

一方で、逮捕された澤田容疑者とはどのような人物なのか?高市早苗安全保障担当相が代表を務める「自民党奈良県第2選挙区支部」が県選管に提出した2021年分の政治資金収支報告書には、澤田容疑者が社長を務めるS社から96万円の寄附を受けた記載がある。別の維新関係者が次のようにぼやく。

「澤田容疑者は政治に関心が高いようで、地元の自民党や維新の議員をよく応援しています。だが、裏社会とのコネクションが強いのではないかというウワサもあり、距離を置く人がいるのも事実。今回の逮捕容疑を見ても、ブチ切れたら何をするかわからないような人物です。命を絶ったと思われる福田さんには厳しいが、そういう人物からカネを借りたこと自体が議員として問題でしょう。なんで奈良の維新はこんなに騒がしいのか」

福田氏のニュースから20日ほどした5月29日、また維新のスキャンダルがクローズアップされる。ハンターで報じたように()、日本維新の会の所属だった奈良県斑鳩町の元町議、大森恒太朗被告が町内会の会費を750万円あまり着服した業務上横領事件で、奈良地裁が懲役2年4か月の実刑判決を言い渡したのだ。

裁判で容疑を認めていた大森被告は、「ギャンブルが好きでやめられなかった」、「ギャンブル依存症を治療するクリニックに通っているので、執行猶予の判決にしてほしい」と不合理な訴えをしていた。だが、判決では750万円あまりの着服を認定した上で、《父親の援助によって合計430万円の被害弁償が実現しているものの、被害結果は大きい》と断罪。430万円の被害弁償の内訳は父親が用立てたのが400万円で、大森被告は月6万円と勝手に決めた金額を5か月間、計30万円を払っただけだった。

判決はさらに、《ギャンブルや遊興費への浪費等によって生活に窮する中で、自治会の会計担当者の立場を悪用して着服行為を繰り返した。動機や経緯等にも酌むべき余地はない》と実刑判決の理由を説明している。

「実刑判決が言い渡され、すぐに大森は収監されたようだ。逮捕時も、保釈金に充てるカネがなく、借りてなんとか娑婆に出たという大森には、控訴するカネもなかったそうだ。大森は着服した理由を『町議の仕事は暇で、ギャンブルに走った』とあきれる説明をしている。大森もダメだが、維新にも大きな問題がある。2年44か月の実刑だが“甘い”ものという声が大半だ。奈良の維新は不祥事、スキャンダルばかり。もういらない」(自治会の役員)

「身を切る改革」から「スキャンダル維新」に看板を変えた方がよさそうだ。

 

 

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