【2024東京都知事選】終盤戦、主要3候補の動向

7月7日に投開票される「首都決戦」東京都知事選挙。現職で3期目を狙う小池百合子知事に対して、立憲民主党は切り札の蓮舫氏を擁立、共産党も支持にまわった。ジョーカーとして期待が高まるのは、広島県安芸高田市長だった石丸伸二氏。この3人の戦いも終盤を迎えている。

■余裕の小池陣営

6月29日、30日とメディアの情勢調査が実施された。主な数字は次のようになっている。

小池氏は現職の強みを発揮して安定した戦いだ。平日は公務優先としながら、告知なく突然マイクを握るなど変幻自在。4月末に行われた東京15区衆院補選で乙武洋匡氏の応援時に「つばさの党」から妨害にあったことでかなり慎重になっている模様だ。

それでも、小池氏が演説をはじめると街ゆく人が足を止める。

自民党、公明党、都民ファーストといった支援組織は表に出ていないが、団体まわりにも余念がなく、手堅い選挙戦といえそうだ。6月24日に、八丈島まで遊説に出向いた小池氏が、途中で立ち寄ったのは公明党のポスターがある施設だった。小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会の都議がこう話す。

「蓮舫さんはさかんに『(小池に)討論会に出てきてほしい。3回も断っている』と挑発するが、こちらは王座防衛戦。しっかりと固めて行けば、おのずと結果が見えてくる。蓮舫さんが仕掛けてきても相手にしません。自民党が表に出ることもない。淡々と選挙戦をやっていくのが一番。怖いのは予期せぬ炎上です」

小池陣営は、投票率55%から58%で250万票前後は確実にとれるとみている。

■追い上げ図る蓮舫陣営

一方、小池氏の背中が見えそうで見えないのが蓮舫氏の陣営だ。選挙戦初日、JR中野駅前で街頭に立った蓮舫氏。確かに聴衆は集まるが足を止める人はわずか。小池氏や自民党の裏金事件を叩くのはいいが、すでに周知の話であり、聞いてみようとは感じないらしい。ただし、調査によっては5ポイント差まで詰めているものもある。

東京都では、小池氏が推進する神宮の森の木の伐採が大きなニュースになっている。蓮舫氏は「住民投票をしたい」と言っており、一定の共感は得ているようだ。「私は身を挺してでも止める」と言えば、さらに支持は増すだろう。陣営は必死の追い上げを図っている。

「実際に戦いがはじまって、小池氏との差は詰まっている実感はある。だが、まだまだ大きな壁を乗り越えるほどではない。うちの世論調査では6から8%差かな」(立憲民主党の選対幹部)

■3番手石丸氏の戦い

石丸氏は、連日、10回近くの街頭演説日程をSNSで公表。行く先々で、大勢の有権者が出迎える。しかし、思ったほどパンチ力はなく、石丸陣営の選対幹部も「もともとはゼロに近いものが一気に伸びてきた。ただ、勝ち負けにはならない。蓮舫さんにどこまで迫れるかがポイント」と素直に認める。

都知事選の討論会は2度実施された。石丸氏が伸ばすにはここがポイントだったが、最も「とんがっている」はずの石丸氏から、思ったほどの過激発言はなかった。「成長がない東京。小池知事、恥を知れ」と食って掛かるくらいの勢いがほしかったが……。石丸氏については、100万票の大台に乗せられるかどうかが注目点となるだろう。

ただ石丸氏が強い層は20代、30代、スマホが日常生活の中心になっている若者たちだ。2021年の参院選で、そこに強く訴えかけたのが、れいわ新撰組の山本太郎氏。参院選の東京選挙区では56万票、2020年の都知事選でも65万票をとっている。ただ、れいわの国会議員は「動くなら蓮舫さん側にでしょう。しかし、国会でもいろいろと立民ともめており、応援には行かないんじゃないかな」と冷静だ。

■れいわ・山本氏の動向は?

石丸氏の遊説を見ている人に取材すると「前は山本太郎さんに入れましたが今回は石丸さん。若い人の話をよく聞いてくれる」という声をけっこう耳にする。山本氏が強い若い世代の票が、石丸氏に流れる傾向にあるのは確かだ。

動員などなくとも、街頭で足を止めさせるだけの夢を語れることに定評がある山本氏。彼が普段なら選挙に関心がない若い世代を動かせば、当然、投票率もアップする。自民、公明の基礎票に頼る小池氏にとって、怖いのは投票率が60%を大きく超えてくることだ。

「うちの調査では小池が10ポイント程度勝っています。蓮舫さんに行きそうなところを、石丸さんがかなりとりそうな調査結果も出ている。投票率が60%以下に落ち着けば、小池が楽に勝つでしょう。確かに山本太郎さんが蓮舫さんの支援に入ると、どうなるかよめなくなりますが」(自民党幹部)

立憲民主党の選対幹部は「山本氏が応援に来てくれれば、投票率も上がり5万から10万の上積みが十分に期待できます。しかしね……」――それ以上の言葉が出なかった。

小池氏リードの中、最後のゲームチェンジャー、山本氏はどう出るのか?

 

 

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