「SANAE TOKEN(サナエ トークン)」疑惑の背景

高市早苗首相にスキャンダルが相次いでいる。自民党衆議院議員315人への総額945万円にのぼるカタログギフトばら撒き、アメリカのイラン攻撃を知りながら首相官邸に戻らず石川県知事選の応援に行くという愚行――衆院選の大勝を受け、驕りが顕在化した形だ。

そうした中、新たに発覚したのが「SANAE TOKEN(サナエ トークン)」疑惑である。

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サナエトークンは今年2月25日にオープンとなった仮想通貨。それを紹介するホームページを見ると、《SANAE TOKENは、ただのミームじゃない。日本の未来を共創するコミュニティトークン》というセールストークが掲げられ、高市首相のイラストが掲示されている。

ちなみに「ミーム」とはミームコインのこと。話題性を追求する仮想通貨の一種を意味する。公式サイトには、「Japan is Back Project」とあり、それを「民主主義のアップデートを目指すプロジェクト」だとうたっている(*下の画像)。

「Japan is Back Project」についての同サイトの詳しい説明は以下の通りだ。

NoBorder DAO 発の「Japan is Back」プロジェクトは、「DAOによる大規模な共同作業」「AI/Web3などの新しいテクノロジー」を掛け合わせ、日本の民主主義をアップデートする試みです。

今後、NoBorder アプリに「ブロードリスニング機能」を追加し、アプリ内で集められたユーザーの声を「国民の声」として高市首相はじめ政策立案者の方々に届け、政策立案の参考にしてもらいます。

なお、「ブロードリスニング」とは、新しいテクノロジーを活用して、多様な国民の声を広く収集・整理・可視化し、政策立案に活かすための手法をいいます。
既に台湾ではオードリー・タン氏の下で、ブロードリスニングを活用した社会実験が国家単位で進んでおり、成果も生まれています。
NoBorderはこれを、民間プロジェクトとして実現しようとしているのです。

正直、昭和生まれの筆者にはちんぷんかんぷんの内容。調べてみると、NoBorderとは入れ墨の不良やケンカ自慢たちを集めて戦わせる「BreakingDown」のCOOを務める溝口勇児氏が立ち上げた組織及びYouTube番組のことらしい。サナエトークンはNoBorderの事業の一環として発行されたものだ。そのサナエトークンには、公式サイトの画像や名前からしても、高市首相がお墨付きを与えているようにみえる。

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奈良県に高市首相関連のグッズなどの販売を手掛ける「Veanas合同会社」(大和郡山市)という会社がある。同社関連の「【公認】チームサナエが日本を変える」は、《コミュニティ提案により実現した『SANAE TOKEN』という新たなインセンティブ設計も注目されています》《チームサナエはこの取り組みに共感し、我々のVeanas号での活動と連携をして、共に日本の明るい未来を紡いでいきたい》とSNSに投稿していた。

同社のホームページを確認すると《高市早苗に関する公式グッズ〈高市早苗事務所公認〉を販売する正規のインターネット窓口》と記されており、「サナ活」の必須アイテムとされる高市首相のマフラー、タオルから、サナエクリアファイル3点セット(¥1,100)、”サナエ愛用” 歯ブラシセット※200点限定(¥6,600)など、10種類ほどの商品が売られている。政治家の公認組織が、アイドル顔負けの商売を行っていることに驚きを禁じ得ない。

問題はサナエトークンに絡んだことが確実なVeanas合同会社の所在地だ。法人登記を取得すると、高市首相が代表の「自民党奈良県第二選挙区支部」と同じ。同社の役員には高市首相周辺の関係者が名前を連ねる。一連の事実は、サナエトークンと高市氏との結び付きを証明するものと言えるだろう。

取り巻きたちが現職総理を使ってセールスしているように思えるサナエトークンは、2月25日にマーケットに放出されると一気に値を上げて3時間ほどで時価総額が25億円にも達したという。だが3月2日、SNSに高市首相本人が《SANAE TOKENという仮想通貨が発行され、一定の取引が行われていると伺いました。名前のせいか、色々な誤解があるようですが、このトークンについては、私は全く存じ上げませんし、私の事務所側も、当該トークンがどのようなものなのかについて知らされておりません。本件について我々が何らかの承認を与えさせて頂いたこともございません》と投稿した途端に急落。現在は、ほぼゼロに近い数字になっている。

サナエトークンの発行元は「NoBorder DAO」。前述した通り、NoBorderは実業家の溝口勇児氏が代表だ。溝口氏は当初、YouTubeの番組内で「高市さんサイドとコミュニケーションをとっている」「高市さんとも親交の深い京大の藤井教授が牽引くださっているJapan is Back プロジェクトの一環として、高市早苗総理の名前を冠した「SANAETOKEN」が発行された」などと発言していたが、高市首相がこれを「否定」するやいなや「高市総理側の発信を受け、コミュニケーションの取り方や認識の共有において十分とは言えない点があったことを深く認識しております。その結果として、高市総理をはじめ関係者の皆さま、そしてトークンホルダーの皆さまに混乱やご迷惑をおかけする形となってしまいました。この点については、すべて私たちの至らなさであり、心より深くお詫び申し上げます」と前言を撤回した。

問題は収束どころか拡大する一方となり、溝口氏はついに「現在の状況および関係者への影響を総合的に勘案した結果、同プロジェクトを継続することは適切ではないと判断し、本プロジェクトを中止する決定に至りました」とギブアップしている。

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だが、サナエトークンはすでにマーケットで取引されており、短時間ながら大きく値をあげ、その後無価値となった。つまり、売り抜けて多額の利益を得た人物がいたということになる。サナエトークンの購入を煽ったVeanas合同会社が、それに加担した疑いを持たれてもおかしくあるまい。

仮想通貨を発行するには金融庁への登録が必要となる。「資金決済法」では内閣総理大臣(金融庁)の許可なくして仮想通貨の発行はできないことになっている。つまり、高市首相が認めてはじめて仮想通貨が発行できるという仕組み。「全く存じ上げません」(高市首相)で済まされるのか疑問だ。

今月4日の衆議院の財務金融委員会で、中道の伊佐進一議員がこの問題について質問。金融庁は「金融庁が登録を行っております暗号資産交換業者28社の中で当該トークンを取り扱っている事業者はない」と「無許可トークン」であることを認めている。「詐欺的」な商売だったのではないかとの疑念は深まるばかりだ。ある自民党の関係者は、「いくら自民党が316議席持っているといっても、こう次々に総理絡みのスキャンダルが続くと、先行き安泰とはいえない」と顔を曇らせた。

現職首相でありながら、自分自身のキャラクターが入った高額なグッズの販売を容認するだけでも問題。その販売会社が首相の自民党支部に住所を置き、仮想通貨にまで絡んでいたというのだから、まさに「政治とカネ」の問題だろう。高市氏は、大量に当選した「サナエチルドレン」より先に、自身のスキャンダルで身を亡ぼすのではないか?

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