永原譲二大任町長による「虚偽発言」への反論|汚れた土着権力(13)

 「情報漏洩」があったとしてハンターが大任町と田川市を訴えた裁判は、報じてきた通り両自治体が漏えいの可能性を認めたため和解で終結した(既報)。情報公開制度の根幹を揺るがす事態であり、田川市議会では百条委員会が設置され事件の検証が続く状況だ。

 そうした中、田川市の読者から、その裁判に関し永原譲二大任町長が市議会全員協議会で発言した内容について問い合わせがあった。《田川市議会で永原町長が情報漏洩について話している動画を見ました。永原さんの発言は本当ですか?》―― 何の話なのか解らない。やむなく同市議会がYouTube上にアップした全員協議会の動画を確認して驚いた。独裁者は負けを認めないものだが、永原町長の場合は“虚偽”の主張で自分を正当化している。しかも内容が陳腐。無視しておいてもいいのだが、問い合わせへの回答という意味で、以下永原氏の発言を正確に示しながら反論しておきたい。

■「永原発言」― 虚偽の証明

 永原発言の舞台となったのは、昨年11月26日に開かれた田川市議会全員協議会。同協議会は永原氏の求めに応じた陸田孝則議長が、過半数の反対を押し切って設定したものだ。定数18のうち、全員協議会の開催に反対した10人の議員は欠席していた。

 発言内容を検証するにあたって、同協議会における問題の発言部分について、「一部を切り取った」などという批判がされないよう足し引きなしに示しておきたい。

 なぜ我々、私、大任町が、和解を選んだのか。理由は明白であります。それは、原告が損害賠償請求を取り下げたからであります。

 我々は被告です。原告、インターネットハンターさんが、損害賠償請求を取り下げるから我々は和解に応じました。先ほどの百条委員会の中で、参考人の中願寺さんが言っているのは、「田川市、大任町が判決もらえばいいじゃないか」というような発言をインターネットでちょっと拝見いたしました。あなたはどうなんですかと。訴えた方が、損害賠償請求としてお金を要求して訴えてきた。それを取り下げたから、我々としてはこれ以上争っても弁護士費用が重なるだけで、公金を使わないといけないので、じゃあ我々は和解に応じましょう。和解は大任町から出したのではなくて、裁判長から和解勧告案が出ました。私ではありません。そういうことを頻繁に百条委員会で、参考人の中願寺さんが言ってましたけども、これは事実ではないと思っております。

 本人が言ってるのは、「認めたからだ」ということを言ってますけど、大任町は認めておりません、情報漏えいを。内容を見てわかる通り、誰から、第三者に漏れたかわからない、ということを裁判長が言ったので、それは認めますよ。限定してません、誰が漏らしたとか。判決の中ではありません、具体的に。だから認めます。で、もし、中願寺ハンターさんが、認めたじゃないかというような判決をもらえばいいんです。原告の方が判決をもらうべきだと思います。で、うちはそういうことで。おそらく田川市もどういう判断をしたか知りません。我々は、我々の顧問弁護士と話し合いをして、大任に今後不利益なことはないから、これでじゃあ、裁判長の和解勧告を受け入れましょうということで受け入れたので。大任町が認めたという和解案にはなっておりません。これははっきり申し上げておきたいと思います。

 そして、ここにおられる議員さんも同じように、やっぱりそれが市の利益になるということで、全会一致で和解されたことと思います。なぜなら、控訴する場合には必ず弁護士にお願いしますから、裁判費、弁護士費用がかかります。長期化しますと、弁護士費用は追加で払います。これは税金で払います。だから、田川市も大任町も不利益なことがないから、ここで和解に終えたと思います。

 最初に断っておくが、ハンターがこの裁判で「損害賠償請求を取り下げた」という事実はない。永原氏は裁判の素人なので理解できていないのかもしれないが、ハンターは訴訟の取り下げなどやっていないのだ。下が裁判所作成の和解内容だが、ハンターは、大任町と田川市が“情報公開請求の事実を第三者に漏らした可能性を否定できない”と認めたことを受けて、金銭の請求を「放棄」したに過ぎない。訴訟の目的は、損害賠償を求める訴訟を通じて「情報漏洩を両自治体に認めさせること」。当方の主張が通った以上、金銭までもらう必要がないと判断した。繰り返すが「損害賠償請求を取り下げた」という事実は存在しない。

 そもそも、裁判に訴えた「損害賠償請求」を取り下げるということは、「訴訟を取り下げる」ことと同義。訴訟を取り下げればそこで全てが終わるのだから「和解」という結論には至らない。ちょっと考えれば解るはずだ。

 永原氏は「(ハンターが)損害賠償請求を取り下げるから我々は和解に応じました」と述べているが、当方は前述したように損害賠償請求=訴訟の取下げを行っておらず、先んじてそうした申し出を行ったこともない。両自治体が情報漏洩を認める姿勢をみせたため、裁判所の勧めに従って和解に応じてやったまで。作り話で住民を欺くつもりだろうが、真実は一つしかない。

 永原氏はさらに「大任町は認めておりません、情報漏えいを 」と断言している。ならば、和解に応じなければよかった。永原町長が判決を求めていれば、ハンターは喜んで裁判を続けていた。自分たちが漏洩を認めたからこそ、和解の成立に至ったということを永原氏は再確認すべきだろう。

 町長から、裁判所は誰が情報漏らしたかについて特定していないという趣旨の発言もあるが、これも無理解の証拠。そもそも、ハンターは“情報漏洩の犯人を特定してもらいたい”などと裁判所に求めたことは一度もない。また、訴えた相手は「自治体」であって、個人ではない。永原氏の発言は、裁判の本質そのものを理解していない証左だ。だが、ここから永原氏の虚偽発言はエスカレートしていく。

 私ですね、この裁判に行きました。で、ある国会議員の秘書の方が出てですよね、質問されました。「あなたは、一義的に誰からこの情報を入手しましたか」という裁判、裁判の証人っちゅうのは宣誓します。偽証があれば捕まります。罪になります。で、宣誓した上で、この秘書は、東京の秘書は「私が一義的に聞いたのは、ハンターの中願寺さんです」とはっきり証言してます。はっきり証言してます。これはハンターさんも言ってましたよね。証言してるんですだから、田川市や大任町から出た情報じゃないんです。それは秘書の方はっきり言ってます。ただ録音が、録音はですね、いろんなことが入って一部だけを切り抜いただけなんです。だから、そういう状況の中で、おそらく裁判の中で裁判長は、和解勧告をして、誰だか犯人が分からないような形の和解案。それなら我々不利益ありませんね、ということで和解に応じました。そういう経過なんですね。だから、参考人の話は一方的に、こっちが悪い、大任町が和解案出した、そんなこと全くありません。

 細かいことになるが、永原氏は、裁判の中で「あなたは、一義的に誰からこの情報を入手しましたか」という質問があったかのように話している。裁判の中で秘書に質問したのはハンターの代理人弁護士だ。そこでやり取りを裁判所の記録から正確に抜き出すとこうだ。

代理人:あなたは中願寺さんが当時大任町、田川市に情報公開請求してることに関して誰から聞かされましたか?
秘書:中願寺さんから。

 秘書が筆者から聞いたと証言したのは確かだが、永原氏の言う「一義的に」という文言は出てこない。以後の質疑でも「一義的」は出てこない。つまり「東京の秘書は『私が一義的に聞いたのは、ハンターの中願寺さんです』とはっきり証言してます」という発言内容は著しく正確さを欠いていることになる。永原流“事実の改変”である。

■秘書の証言、裁判長が否定

 永原発言の前提となった「情報公開請求をすると(ハンターから)事前に聞いていた」という秘書の証言は、裁判長による最後の質問で完全に否定されている。以下が、訴訟記録にある質疑の該当箇所だ。なお、解りやすいように( )内に説明を入れた。

裁判長:あなたの、この先ほど聞かされた録音データなんだけども、あなたと中願寺さんのやり取りだというお話なんだけれども、あまり記憶にないのかもしれないけれども、結局ね、あなたの先ほどのお話だと、この電話より以前にまず情報公開請求するよということを中願寺さんから聞いたと。それから“したよ”ということも中願寺さんから聞いたということなんですかね?
秘書:そうですね。結果的には電話のやりとりで、はい。

裁判長:その本件(の)この電話(*法廷で流された秘書と筆者のやり取りの録音データ)ではなく、その前の電話で知ったということなんですかね?
秘書:情報公開請求をするということはですね、はい。

裁判長:(*ハンターが情報公開請求を)するというのは、したというのはこの電話(*録音データ以前の電話)で知ったの?
秘書:その後の電話だったと思います。するというのはその電話(*録音データ以前の電話)で聞いてますけども、その後の電話(*録音データの電話)でしたということですかね、を知ったということですかね。

裁判長:あなたの記憶なんですかね?
秘書:はい。

裁判長ただね、この録音聞いてるとね、何かそういうふうによめないんですよね。
秘書:ん?

裁判長:うん、それで例えばね、あなたのほうでは先ほど示されていなかっただけど、『大任町とかに情報開示請求をしてますよね』と聞いてるんですよ。(*録音データの)この電話で。この先ほど聞かされた(*録音データの)電話で。それで(*ハンターは)“してます”と。『田川市と』ともう1回あなたが聞いて、(*ハンターが)“してます、昨日しました”と言ってる。ここで確認したんじゃないの、したということを。
秘書:そのしたかどうかという確認を。

裁判長:原告からはね。
秘書:はい。

 筆者から事前に情報公開請求することを聞かされていたという秘書の証言を、裁判所が否定したことは子供でもわかるだろう。だからこそ裁判所は、和解案《被告らは 、原告に対し、原告が被告大任町及び被告田川市に情報公開請求をした事実が、原告ではなく被告大任町又は被告田川市から本件で問題となっている第三者に伝わった可能性が否定できないことを認める》の中に『原告ではなく』(*原告=ハンター)という文言を入れ、情報漏洩の主体が大任町又は田川市であることを明示したのだ。

 もう一点、和解条件には《被告らは、今後、情報管理を徹底する》ともある。大任町からの情報漏洩がなかったというなら、この和解条件は不必要。町として漏洩の可能性を認めたからこそ、この一文に合意したはずだ。もちろん、この一文は裁判所が大任、田川の両自治体に示した上で加えられたもの。ハンターが求めたものではない。永原氏の主張は、認めたはずの和解内容を、虚偽に基づいて否定する愚行に過ぎない。

 問題の情報漏洩は2021年6月に起きた。同月14日、ハンターが大任町と両自治体に対して8件の情報公開請求を行ったが、その翌日の15日に当時総務大臣だった代議士の秘書から筆者に電話。「ご無沙汰してます」との挨拶のあと「なかったことに」という表現で、請求取り下げを求める内容だった。念のため、代議士秘書(以下、「秘書」)と筆者とのやり取りも再掲しておく。

秘書:今日電話したのはですね、中願寺さん、うちの選挙区の大任町とかに情報公開請求してます?
記者:してます。

秘書:なんでですか?
記者:タレコミがあったんで。

秘書:どっからタレコミがあるんですか?田川市と大任町の、いわゆる、だけですよね。
記者:もう連絡がいったんですか?

秘書:そりゃあ、うちの選挙区ですから。
記者:いけませんね。早い。(請求は)昨日ですよ。

秘書:いや、そりゃビビりますよ。こんな情報請求きたら
記者:大したものはないでしょう。

秘書:町長選挙の収支報告書って、これ相手方(対立候補のこと)には行ってないですよね。永原町長だけですよね
記者:だけです。もちろん。

秘書:二場市長も、田川市長の方も現職だけですね
記者:そうです。ただ、うちは他の自治体でも同じようにやっていますから。別に大臣が気にしてるわけじゃないんでしょ?

秘書:気にしてますよ。なんとかこれは、なかったことにしてほしい
記者:あっ、そう(笑い)。それは無理ですわ。

秘書:無理?
記者:何があるのか確認しないといけませんから。

秘書:これ、まあ、道の駅は、その業者選定がわかる文書及び本件の施工体系図……。
記者:はい。そうですね。

秘書:ここらへんは、全部しっかりと、情報請求する情報の内容を全部ピンポイントで出さないといけないんですか?
記者:もちろんです。

秘書:例えば、情報公開請求に対して、いわゆる我々のパターンでいくと、いわゆるその適切に処理しているので――みたいな回答ってわけにはいかないんですか?
記者:それは、そうはいきませんね。請求したものが普通に出てこなければ、うちは叩きます。つまらんことしないように言っといて下さい。隠し立てしないように。

秘書:やられても困る。
記者:だから、出てきたものを見て、何もなければいいじゃないですか。大臣のところに(直接)連絡が来たんですか?

秘書:いや、代議士へは私から報告しました。
記者:(大任や田川は)大臣に頼めば(開示請求が)止まると思ってるんじゃないですか。まだうろたえる段階ではないでしょう。

秘書:けっこうな量で……。
記者:どこの自治体にもやってること。まだ記事にするとかいう状態でもないです。役所側からはうちには何も言ってきていないんですよ。

秘書:あ、それはまず(ハンターの記者に)連絡する前に、多分こっち(議員事務所)に来たんですよ。

 一連のやり取りを見聞きすれば、“事前にハンターから開示請求することを聞いていた”という秘書の証言が「偽証」であることは容易に理解できるだろう。

 秘書は、情報公開請求について“役所側からはうちには何も言ってきていないんですよ”と聞いた筆者に対し、『それはまず(ハンターの記者に)連絡する前に、多分こっち(議員事務所)に来たんですよと明言している。これは、役所からの連絡で情報公開請求の事実を知ったということの自白。この一点をとっても、両自治体からの情報漏洩は明らかだ。

 永原氏の虚偽発言を受けて、ハンターの裁判が自作自演だと述べた市議会議員もいたようだが、バカバカしくて本稿でその詳細には触れない。

 裁判所が否定した代議士秘書の証言を持ち出し、「情報漏洩はなかった」「事前にハンターが秘書に伝えていた」と強弁する永原氏のために、裁判所作成の和解調書を掲載しておく。よくお勉強されることだ。

(ニュースサイトハンター 中願寺純則)

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