「ミッキーハウス事件」と政治家のつながり

1月27日、神戸地裁である脱税事件の判決が言い渡された。被告は、兵庫県三木市の土木建築会社「株式会社神和商事」と同社元代表取締役の神行(かんぎょう)武彦という人物。判決は、法人税法違反に問われた神和商事に罰金1,200万円、神行被告に懲役1年執行猶予3年というものだった。

普段ならニュースにもならない単なる脱税事件だが、神行被告はスポーツ界や政界に人脈を持つ有名人。報道関係者も裁判の行方に注目していた。

■「ミッキーハウス」

神行被告の神和商事が知られるようになったのは2018年のこと。同社の経理担当者だった北村緑受刑者(4年6か月の実刑判決が確定)による2億円あまりの業務上横領が発覚し、逮捕されてからだ。

北村受刑者は、ブランド品を爆買いしたり愛人とディズニーランドで豪遊するなど会社のカネを使いまくっていたが、世間の耳目を集めたのは、北村受刑者が住んでいた戸建て住宅。ディズニーランド好きが高じて、建てた家の外壁にミッキーマウスをあしらっていたことで、「ミッキーハウス事件」などと報じられていた。(下の写真参照

当時、神和商事の社長として「2億円どころか、5億円は横領された」とマスコミに怒りをぶちまけていたのが神行被告。それが翌年11月、被害者だった神行被告が一転して法人税法違反容疑で神戸地検に逮捕されてしまう。ある捜査関係者が、こう振り返る。
「北村受刑者は、法廷などで神和商事には不透明なカネがあったので横領したなどと話した。それをきっかけに税務調査したところ多額の脱税が判明。立件となった」

この日の判決では、脱税のきっかけを「いくら稼いでもカネが貯まらないから脱税をはじめた。本当の理由は、経理担当者(北村受刑者)の横領が原因」とする被告の主張が事実認定されている。

■脱税の社長は「タニマチ」

神行被告は、ボクシングの元世界チャンピオンとして3階級制覇を成し遂げた長谷川穂積選手が所属していた真正ジムの後援会長を務めていた他、地元土木業者の組合でも理事を務め、三木市から表彰を受けるなどの有力者だった。そんな、神行被告との関係で肝を冷やしているのが、自民党だという。ある兵庫県議が、声を潜めて打ち明ける。
「実は神行被告は2013年から2018年にかけて、自民党や国会議員に多額の献金をしていました」

さっそく政治資金収支報告書をチェックしてみると、自民党の元参院議員で防災担当相を務めていた鴻池祥肇氏(故人)が支部長だった「自民党兵庫県参議院選挙区第二支部」に2017、18両年に36万円の献金。2019年には、「自由民主党兵庫県支部連合会」に神和商事から100万円が寄附されていた。

日本維新の会・鈴木宗男参院議員が代表の政治団体「21世紀政策研究会」は、2014年に神和商事から40万円の献金を受けている。

一方、神行被告の神和商事は2018年4月、土木工事現場で事故を起こし作業員が死亡。労働安全衛生法違反の容疑で神戸地検に書類送検され、19年に罰金刑が確定して営業停止処分を受けていた。

自民党や鴻池氏、鈴木氏は営業停止処分を受けたり脱税で摘発されたりした会社から、政治資金をもらっていたということだ。民間調査会社の調べによれば、神和商事の2018年の売上は約16億円。儲けのうちかなりの額が、スポーツ界や政界に流れていたとみられている。

神行被告の知人の話。
「神行さんは、ボクシングの長谷川選手だけでなく、気に入った政治家などにもタニマチとしてカネを出すような人です。特に自民党の議員とは親しくしていましたよ。『5億円も横領された』と北村受刑者のことで大騒ぎしていたのに、、脱税してカネを作ってまいていたんですね」

神行被告に有罪判決が出たことについて前出の兵庫県議は、次のように懸念を示している。
「脱税したり行政処分を受けたりした会社から、献金をもらうのはヤバいんじゃないか。けど、鴻池先生はお亡くなりですからね、どうしたものか。兵庫県連への献金は、ミッキーハウスで大きく報じられたあとでしょう。知らないでは済まされないでしょう。このままではまずいかもしれません」

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