大任町ごみ処理3施設付帯工事に約40億円|ダミー業者が4割超す約17億円受注

 実際の施工には手を付けないダミー業者や側近企業を集めた談合組織「田川政策研究会」のメンバーに町発注工事を独占させるなど、やりたい放題を続けてきた永原譲二大任町長。彼が発覚を恐れているのは、「田川郡東部環境衛生施設組合」(組合長:永原譲二大任町長)が整備を進める三つのごみ処理関連施設整備事業の裏とダミー業者を使った血税収奪の仕組みが暴かれることだ。隠蔽に走った町長は、情報公開条例を改悪して町外からの開示請求をシャットアウト。ごみ処理関連施設整備をはじめとする町発注工事の実態を隠蔽した。

 事態が動くきっかけとなったのは、国が同町の入札結果非公開を「違法」と断じたこと。不十分ながら建設工事関連文書の公開に踏み切った町に対し、勇気ある大任町民が、ごみ処理施設整備事業の付帯工事に関する開示請求を行った。その結果、開示された資料から、三つあるごみ処理施設の本体工事とは別に、約40億円にも上る土木工事が発注され、ダミー業者や町長側近企業が全体の約8割の工事を独占している現状が浮き彫りとなった。下が、問題の開示資料である。

■本体工事とは別に巨額の付帯工事費

 福岡県田川地区の8市町村が大任町に委託して建設中のごみ処理施設は3か所。公表されている工事名と現在までの契約金額は以下のとおりだ。

・大任町ごみ処理施設整備工事:契約金額220億円
・汚泥再生処理(*し尿処理)センター整備工事:契約金額89億8,560万円
・大任町一般廃棄物最終処分場浸出水処理施設整備工事:36憶円

 3施設の整備費は、合計約346億円。これまで報じてきたとおり、予算の裏付けとなる「積算書」がないという極めて不透明な公共事業である。大任町は、公表が義務付けられている「施工体系図」さえ『保有していない』としてきた。

 ちなみに、事業の実態についての情報公開を求める田川市と、これを拒否する大任町の間では、様々なトラブルが発生。今年6月には、“ごみ処理施設”に関連する田川市保有文書の情報公開を巡って、永原町長が村上卓哉田川市長に「開示しないよう」迫り、“言うことを聞かなければ両自治体の連携を止める”、“(田川郡東部環境衛生施設組合の)議会から出ていけばいい。いやなら自分たちで(ごみ処理施設を)建てりゃいい”、“こんなことしとったら、あんた、4年間もたんよ”などと「強要」「脅迫」。刑事事件に発展しそうな状況となっている。

■ダミー業者と側近企業で全体の8割

 実は、合計約346億円が計上されている3施設の本体工事とは別に、それぞれの整備地にかかる土地造成や給水管敷設など付帯工事が行われていた。町が情報公開請求を行った町民に開示した資料の記載に従って整理したところ、ごみ処理施設の付帯工事に23億円超、最終処分場に約11億円、し尿処理施設に約4億円計37憶5,935万1,340円もの予算が費消されていたことが分かった。本体工事の整備費と合わせ、ごみ処理施設関連事業に、400憶円近くの税金が投入されている計算だ。

 田川郡東部環境衛生施設組合の関係自治体も知らなかった「付帯工事」も、永原町長の周辺が食い物にしているのではないか――?疑問を持って開示された資料を精査し、問題のダミー業者や永原氏の側近企業がどの程度の工事を受注しているのか確認してまとめたのが下の表である。

 驚くべきことに、ダミー業者が受注した工事は全体の44%にあたる16億6,289万980円側近企業は34%となる12億8,951万2,240円を受注していた。これだけで全体の約8割。残り約2割の工事を請負ったその他の業者も、談合組織「田川政策研究会」のメンバーである可能性が高い。

 際立つのは仕事もできないダミー業者の受注高だ。実際の工事は町長の側近企業などが行ったとみられるが、工事費が無駄に上乗せされたのは確実。他の自治体では絶対にあり得ない異常事態と言わざるを得ない。

 業者別の実績をみてみると、ダミー業者の中では全日本同和会の地元組織代表でもある町長の親族・永原太氏が代表を務める「信栄建設」が計3億8,469万7,600円の工事を受注し断トツのトップ。同氏については、談合の指示役だったことが分かっている。

 側近企業の受注高トップは、代表者が町長の側近として知られる「安産業」で、計6億2,321万6,920円となっていた。(*下の表参照)

■不正の原資は「税金」

 施工能力のないダミー業者を使った公共工事では、何者もの業者を潤すために予算の上乗せが必要となる。つまり、本来なら必要のない公金が、永原町長周辺の業者らのために食い物にされているということだ。ごみ処理施設の整備費も、付帯工事の予算も、すべて原資は税金。被害を受けているのは、何も知らない納税者=町民ということになる。

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