裏金事件で責任を問われて派閥を解散し、3月に政界引退を発表した二階俊博元幹事長の後継問題に大きな動きがあった。
23日、和歌山県町村会は和歌山市内のホテルで臨時理事会を開催。「二階伸康氏への出馬要請について」という議案が出され、10増10減に伴い3から2へと衆院選挙区が減らさせることを受けて、伸康氏に「新・和歌山2区」に出馬するよう「要望書」を渡すことを決めた。要望書は、4月24日午前10時に印南町役場で渡すとしている。二階氏の後継者が、三男の伸康氏になることが極めて有力になった。二階氏は政界引退表明の記者会見で、後継者については「地元で決めてもらう。(自民党和歌山)県連の幹事長にも連絡している」とだけ語っていた。
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これまで長男の俊樹氏か三男の伸康氏かで注目されていた二階氏の後継争い。地元では、二階氏の政治団体である二階俊博新風会の幹部が、4月中旬から「長男の俊樹氏をぜひ後継者にしてほしい」とあちこちで支持を訴えていたが、町村会の決定はこれに反する形となった。
新・和歌山2区の選挙区には21の町と村がある。その連合体である和歌山県町村会の「要請」は極めて重いという。
2022年11月、和歌山県知事選で国民民主党の衆議院議員だった岸本周平知事が当選した。当初、二階氏の牙城を崩そうと世耕弘成参議院議員が官僚の擁立を提案。そこへ二階氏が割って入り、「人口は少ないが、数では優勢な町村会が岸本氏に推薦状を出すように二階先生が仕掛けた。威勢のよかった世耕氏も21ある町村を敵にはできないと引き下がるしかなかった」と、ある和歌山県の自民党県議が振り返る。その詳細は、ハンターでも報じていた(既報)。
今回も、県知事選と同様の動きがあったとされ、前出の和歌山県議がこう解説する。
「二階先生が、三男の伸康さんを推すように、和歌山県町村会に裏で仕掛けないとこんな要請はしません。ただ、長男の俊樹さんもやる気満々です。二階先生の筆頭秘書で、俊樹氏が地元の頼みごとを一手に引き受けてきました。とりわけ、今の二階先生の地盤である和歌山3区の中心、御坊市や周辺の市町村は俊樹さんに世話になっているとの思いが強い。俊樹さんと伸康さんは仲が悪いことで有名。俊樹さんは町村会の決定に激怒していると聞いていますが、とても執念深い性格です。無所属でも出馬するのではないかと言う人もいます」
そしてもう一人、注目される人物がいる。裏金事件で自民党から離党勧告を受け、無所属になった世耕弘成参議院議員だ。来年夏の参院選挙が改選期だが、その前に衆議院の解散総選挙があれば“くら替え”で新・和歌山2区から出馬するのではないとの観測も出ている。
「世耕さんは無所属で、党にしばられません。そうなれば、自民党が公認した伸康さん、世耕さん、さらに俊樹さんの三つ巴で新・和歌山2区の椅子を争うことになりかねない。とんでもない闘争になりそうで頭が痛い」(前出・自民党の和歌山県議)