日本維新の会に懸念される「粗製乱造」|参院選公認予定者の気になる経歴

昨年10月の衆議院選挙で議席を大幅に増やし、大躍進となった日本維新の会。今年7月に予定される参議院選挙でも多数の候補者を擁立する見込みだ。

同会の藤田文武幹事長は「維新の選択肢を全国に広げたい」と記者会見でも説明。連日のように、公認候補者の発表を続けている。

そうした中「本当に大丈夫なのか」と党の内外から疑問視されているのが、同党公認で比例代表から出馬予定の岸口実氏である。

◇   ◇   ◇

岸口氏は、石井一元民主党衆議院議員や弟の石井一二元参院議員の秘書から、神戸市議選に2度出馬するも落選。その後、兵庫県明石市で旧民主党から県議に立候補して初当選を果たし、4期目の現在は「兵庫維新の会」所属となっている。

岸口氏のホームページに記載されたプロフィールをみると、何故か出身地が書かれていない。岸口氏の知人は、「これは元々明石市とは縁がない。石井一さんの御威光があって出馬したので、格好悪くて出身地を明かしたくないのかもしれない」と言う。

プロフィールには、もう一つ気になる点がある。社会福祉法人理事長や芦屋大学客員教授などの肩書は記されているのが、そこに欠けているものがあるのだ。神戸市に本社を置く株式会社エースの取締役と大阪市の人材派遣会社S社の代表取締役社長であったという経歴である。

法人登記簿によれば、エースの業務内容は、広告宣伝、制作業、印刷業から運送業、投資顧問業、不動産業、通販業、リサイクル業、信用調査業務、貿易事務代行業など多岐に及ぶ。確認できる限り、岸口氏は2013年4月から2019年7月まで、同社の取締役を務めていた。

岸口氏は2015年の県議選で落選し、浪人暮らしを余儀なくされた時期があり、エース社の取締役としての報酬が必要だったのかもしれない。問題は、同社の報酬の原資だ。

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昨年2月、神戸地検はエースの代表取締役である嶋雅明被告を詐欺容疑で逮捕した。国の持続化給付金を400万円、休業支援金を330万円、それぞれだまし取った容疑で、その後、嶋被告のさらなる容疑も発覚した。雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金なども騙し取っていたことが判明し、被害金額は4,223万円あまりに膨れ上がった。昨年7月14日の兵庫県労働局の発表からも、同額の不正受給があったことが確認可能だ。

この種の事件は大半を警察が立件するのが通例。それを検察が独自捜査で逮捕というケースは珍しい。地元では、「バックに政治家が見えたから」という噂が流れており、その政治家こそが岸口氏なのだという。

地検に逮捕された嶋被告は、売上が落ち込んだように装い、実在しない人物や雇用していない人物の名前をでっち上げて助成金などを申請、受給していた。

嶋被告と岸口氏の双方を知る人物は、こう解説する。
「(嶋被告は)神戸地裁で実刑判決を言い渡されています。嶋さんから物心両面で援助を受けていたのが岸口氏で、嶋さんの事件では神戸地検に数回呼ばれて事情聴取されています。嶋さんの事件に絡んでいたではないかと、県議会でも話題になっていました」

ちなみに、岸口氏の『県政報告』には「新型コロナウイルス緊急対策支援のご案内」と題して、嶋被告がだまし取った持続化給付金、雇用調整助成金などの案内が詳細に記されていた。

嶋被告と岸口氏の“どっぷり”な関係は政治資金収支報告書でも明らかだ。政治団体「岸口実後援会」の政治資金収支報告書によれば、2016年、2017年に嶋雅明名義でそれぞれ10万円が寄付されていた。

また、2015年には「民主党兵庫県明石市支部」にエース社名義で12万円の政治献金が記載されている。

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エースの法人登記にある目的は前述した通りだが、その中にはバイオ燃料製造販売業務という項目がある。嶋被告は、廃油からバイオ燃料を製造する技術を開発。2011年には、環境省から「地球温暖化対策技術開発等事業」のCO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業 採択事業者に選ばれ、2億3千万円の補助金を受けていた。

しかし、その後に下された環境省の評価書には<低コスト化><長寿命化の努力><目標達成の程度が若干記されているが説得力がない>など問題点が並んでおり、10点満点で4.8という低評価だった。

「嶋さんの会社は、環境省からの補助金で一気に伸びて、兵庫県だけではなく大阪市にも別会社を設立。東京にまで支店を出した。岸口氏はエースで役員、別のS社では社長を務めていた。相撲関係者と親しく、特に元横綱のXとは昵懇で、嶋さんと一緒に飲みにいっていた。また、元三役力士のYは一時、嶋さんの関連会社の役員になっていたとも聞いている。県議の給料でXやYと豪遊なんてできません。役員報酬や政治献金は、嶋さんの怪しいカネだったということでしょうか」(前出の知人)

北方四島にビザなし訪問をして酔っ払い、返還を求めるには「戦争しないと、どうしようもなくないですか」などと暴言をはいたことで有名になった丸山穂高元衆院議員。今年3月には、現職の前川清成衆院議員が公職選挙法違反で起訴された。2019年には大阪市の不破忠幸元市議が公職選挙法違反で逮捕され有罪判決が確定――。例を挙げだせばきりがないほど、維新にはとんでもない人物にバッジをつけさせてきた『粗製乱造』の過去がある。岸口氏は本当に大丈夫なのか?

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