「日大疑惑」新展開|国税頼みとなりそうな田中理事長Xデー

日本大学付属板橋病院の建て替え工事に絡み、大学から約2億2千万円の資金を流出させたとする背任の疑いで東京地検特捜部に逮捕された元理事の井ノ口忠男容疑者と大阪市の医療法人グループ「錦秀会」前理事長の籔本雅巳容疑者が、再逮捕された。

容疑は、病院に納入される医療機器などの契約を巡り、大学に約2億円の損害を与えたとするもの。病院側が大学の関連企業「日本大学事業部」に仲介を依頼した形にした上で、井ノ口容疑者が同社の取締役としての立場を利用。MRIやCTなどの医療機器を納入する大阪本社の会社と電子カルテを納入する東京都港区の会社の間に、必要のない籔本容疑者の関連会社を介在させ、当初の見積金額に約2億円上乗せして日大に不必要な支払いさせた疑いが持たれている。

設計に絡んだ背任事件と同じ構図で、関係者が水増し分を利得としていたことが濃厚だが、特捜部の最大のターゲットとされた日大のトップ・田中英寿理事長逮捕のXデーは、なぜか「遠のいた」とする情報が広がっている。

◆  ◆  ◆

井ノ口容疑者は田中理事長の「最側近」、籔本容疑者は日大相撲部出身の人気力士・遠藤の後援会長を務めるなど理事長との関係は深い。田中逮捕のXデーが注目される展開となっていたが、ある捜査関係者は顔を曇らせる。
「2つの事件の手口は基本的に同じ。日本最大級の学校法人である日大に対し、逮捕された2人が業者を使って水増し請求したという、分かりやすい構図だ。きちんと監査が行われていれば、すぐにばれそうな話が通ったのは、田中理事長の了承があったからに相違ないという見立てだった。しかし、田中理事長と意を通じているはずの井ノ口容疑者が、肝心な共謀については否認を続けている。田中理事長も調べに共犯関係を否定している。現状では(田中を)引っ張れない」

井ノ口―籔本というラインの上に田中理事長がいるはずというのが、特捜部の見立てだった。しかし、井ノ口容疑者から田中理事長の指示や命令という供述が得られないため、共犯としての逮捕には至っていないというのだ。特捜部は2度も田中理事長の自宅など関係先を家宅捜索しており、その際、自宅にあった現金1億円を押収したというが、Xデーは遠のいたとみる法曹関係者は少なくない。

一方、籔本容疑者は、田中理事長に謝礼として6,000万円を渡したことを認めているというが、「日大の仕事を数多く受けていることへの、ビジネス上の謝礼」と言い張っており、賄賂性については否定している。

井ノ口、藪本両容疑者が逮捕された直後の日大の理事会で、「田中理事長は退任する」という情報が流れた。しかし、具体的な動きは起きていない。実情について、筆者の知る日大の教授が重たい口を開いた。
「このままいけば、国から日大への補助金が削減されるのは確実でしょう。側近の理事が逮捕されたわけですから、本来なら田中理事長が責任を取って辞めていなければならない。しかし、いまの日大にはそれを言い出せる幹部はいない。ほとんどが、田中理事長のおかげで幹部になれた人間ばかりだからです。もし『辞めろ』と言えば、すぐに飛ばされるのが分かっていますから。日大は人事異動が年に4回もあるので、名目は簡単につけられる。だから黙っている。田中理事長が立件されることを祈っている人が大半でしょうが、実際には何もできない。田中理事長がいる限り、日大の不透明な学校経営は続くでしょう。歯がゆいことですが、何もできないんです」

渦中の田中理事長は、「井ノ口らが何をやっていたのかなんて、まったく知らない」「なんで理事長を辞めなきゃいけないんだ」「検察がいくら調べても、自分はシロ」と周囲に語り、動じる素振りはないという。

井ノ口容疑者と籔本容疑者は、設計絡みの背任行為で、すでに起訴された。今後、田中理事長はどうなるのか。前出の捜査関係者は、こう予告する。
「一連の捜査で、田中理事長を巡るグレーなカネの流れが浮上してきたのは事実。今後は、税務当局が田中理事長を追及していくことになると思う」

田中理事長周辺で巨額のカネが動いていたことは、はっきりした。東京地検特捜部から逃げ切ったつもりの田中理事長に、国税が迫るという展開になりそうだ。「Xデー」が、なくなったわけではない。

この記事をSNSでシェアする

関連記事

注目したい記事

  1. 今夏の参議院議員選挙に出馬して落選した国民民主党福岡県連の大田京子代表が、違法ポスター問題で醜態を演…
  2. 鹿児島県医師会(池田琢哉会長)の男性職員(10月末で退職。以下、「男性職員」)が、新型コロナウイルス…
  3. 国会議員であれ地方議員であれ、政治家は法令を作る側の立場にある。そうした人たちが、法律や条例の規定を…
  4. 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対し宗教法人法による「質問権」を行使したことを、永岡桂子文部…
  5.  この11月に創刊80周年を迎えたブロック紙・北海道新聞(札幌市、宮口宏夫社長)で、同社労働組合が実…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。

ページ上部へ戻る