ハンターが追及を続けてきた福岡県田川市のごみ収集業者選定プロポーザルに絡み、二場公人前市長時代の2020年(令和2年)3月、業者の提出した虚偽公文書作成指名業者登録の申請書に、実際の時期より4か月近く前となる「11月20日付の受付印」が捺されていたことが分かった。
その業者が、本社を田川市に移転させたのは20年3月9日で、2019年(令和元年)は田川郡香春町が本社。しかし、申請書にはその時点では絶対にあり得ない移転後の田川市の住所が記載されていた。虚偽公文書作成が強く疑われる状況。二場市政時代の市幹部が、業者側に便宜を図ることで市内での業務拡大に力を貸していた可能性がある。
■不正の証明
問題の申請書を提出していたのは、2021年(令和3年)5月に実施された田川市のごみ収集業者選定プロポーザルで、一位になった他業者の“不可解な辞退”を受けて業務を受託した「クリーン北部九州」。同社は、現在も市内のごみ収集運搬を行っている。
ハンターは今月、結果的にプロポーザル参加につながったとみられる同社提出の「一般競争入札(指名競争)入札参加資格審査申請書【物品・役務】」及びその添付書類、同申請の前後3回に提出された他社の申請書を情報公開請求。市は、問題の申請書を含む同日受付の4件の申請書類を30日に開示した。添付書類には業者と市側が項目ごとにチェックするための文書も含まれている。
下は、クリーン北部九州の申請書(*赤い書き込みはハンター編集部。以下の画像も同じ)。田川市役所の受付は「11,20」で、受付番号は「第746号」となっている。その下の画像に示す通り、同時に開示された第743号、744号、745号の申請書はすべて令和元年の11月20日受付。開示請求の内容や開示の実施方法からも、何故か受付印に「年」が記されていないクリーン北部九州の申請が、2019年の「11月20日」に設定されたことは明白だ。ただし、同社の申請書には提出年月日が記入されていない。


上掲・クリーン北部九州の申請書にある本社の住所は「田川市大字川宮713番地6」となっている。しかし、この本社の住所で2019年(令和元年)11月に申請を出すことは不可能だ。
下は同社の法人登記簿だが、田川郡香春町から田川市大字川宮713番地6に本社を移転したのは「令和2年(2020年)3月9日」。逆立ちしても前年の11月に本社を田川市とする申請書を提出することはできない。


市による不正の証明を補完する材料はまだある。次に示すのは第743号、744号、745号の申請書に添付された法人の「印鑑証明」。いずれも令和元年(2019年)10月か11月に法務局が証明したものだ。

一方、クリーン北部九州が申請書に添付した印鑑証明は、下の画像で明らかなように「令和2年3月17日」のもの。前年の11月に翌年発行の印鑑証明書が添付できるわけがない。“令和2年3月に行われた指名業者の資格審査に必要となったので、新しいものを提出させた”という言い訳も通用しない。それなら市役所に元の提出分が残っているはず。しかし、開示された文書の中には存在していない。もともと“提出されていない”ということだ。

一連の文書が突き付けているのは、二場前市政が、クリーン北部九州の申請書に虚偽の「受付印」を捺すことで、同社の田川市内での業務拡大を可能ならしめたという動かし難い現実。申請書自体は私文書ではあるが、その記載内容が真実ではないと知りながら役所の受付印を捺した瞬間に、刑法上の虚偽公文書作成(第156条)ということになる。
受付印を捺した職員は、かなり苦しい選択を強いられたはずだ。下は申請書に添付された書類のチェック用文書。『法人の履歴事項全部=法人の登記簿謄本』を確認したことになっている。2019年11月に登記簿を本当に確認していれば、その時点の本社は前述したように香春町。田川市に本社があること証明できない以上、虚偽の申請書を受付けることはできなかった。

ちなみに、クリーン北部九州が申請書に添付した印鑑証明や納税証明などの公的書類は、20年3月に発出されたものばかり。19年提出を裏付ける文書は、当然ながら1枚もない。存在していないのだから、19年に登記簿をはじめとする挙証書類のチェックなどできるはずがない。押印は明らかな不正だ。
ではなぜ、担当職員は不正な押印を行なったのか――。30日、情報開示の際に他の二人の職員立ち合いでハンターの質問に答えた担当職員は、「この受付印を捺した時には、私一人の判断ではなく、(上級者に判断を)仰いだ」と回答。上級職員の指示があったことを、事実上認めている。これは不正の指示であり、躊躇したであろう担当職員に、不当な押印を命じた人物がいるはずだ。
実は、クリーン北部九州の申請書の受付日を2019年11月にするよう指示した人物らの狙いは、20年3月に行われた「令和2年度田川市競争入札参加有資格者名簿(物品・役務)」に、クリーン北部九州を追加登録させることにあったとみられており、詳細は次の配信記事で報じる予定だ。
(中願寺純則)















