本サイトで2月中旬に伝えた警察庁の未発表不祥事問題で(既報 )、同庁職員が懲戒処分を受けた盗撮事案の捜査の概要について、東京・警視庁が3月上旬までに「存否応答拒否」の意向をあきらかにした。筆者の情報公開請求に対する決定で、当該記録が存在するかどうかを明かさずに文書開示を拒否した。
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既報の通り、全国の警察機関を監督する中央官庁・警察庁では昨年1年間で6人の職員が懲戒処分を受けていた(減給5、戒告1)。このうち法令違反が疑われる事案が3件あり、3件とも報道発表を免がれていたが、うち1件については警察庁ならぬ地元の警察本部が事件を発表していた可能性がある。2月20日付で事務官が「減給1カ月」の処分を受けた盗撮事案がそれで、書類送検のタイミングで(処分の前年11月)地元メディアが次のように報じていた。
千葉市内のナイトプールで女性を盗撮したとして、千葉県警は29日までに、県迷惑防止条例違反の疑いで、警察庁の50代男性職員=東京都北区=を書類送検した(2024年11月29日配信、千葉日報オンライン)
この職員が懲戒処分を受けた時期は、すでに述べた通り昨年の2月20日。同じ日にはもう1件、まったく別の事案で「減給3カ月」となった不祥事があったことがわかっている。同事案の概要は、警察庁の記録にこう綴られていた。
・発生日時…令和6年10月26日
・場所…東京都豊島区内
・当該職員…警察庁■■ 技官 ■■
・関係者…氏名不詳の女性
・事案概要…当該職員は、正当な理由がないのに、前記日時場所において、ひそかに、氏名不詳の女性らの後方を追随して近付き、動画撮影機能付携帯電話機を同女らが着用していたスカート内に差し向け、同女らのショーツの臀部を覆っている部分を同携帯電話機で撮影したものである。
先の千葉市内で起きた盗撮事件は、加害者がプールで水着姿の女性を盗撮したというもの。これに対し、別の職員が「東京都豊島区」で起こした事件は、水着ならぬ「下着」を盗撮する行為だった。水着はまさにプールなどで不特定多数の眼に触れる機会があるが、下着となると話は別。ひそかに「スカート内に差し向け」る加害者の行為は、千葉の事件よりも悪質だったと言ってよい。文書中の「女性ら」「同女ら」などの言い回しにより、被害者が複数いたことも察せられる。ところがこちらは千葉の事案と異なり、地元で報道された形跡がまったく見当たらないのだ。
千葉の一件は、とりあえず事件捜査の対象となり、当事者が書類送検された。では、豊島区の事件は真っ当に捜査されて相応の刑事処分に到ったのか。
これを確認するため筆者は2月中旬、警視庁(東京都警察)に公文書の開示を請求し、当該事件の捜査に伴って作成・取得された公文書(事件受理簿、指揮簿、処理簿、チャートなど、開示可能な文書)の写しの交付を求めた。
警視庁の決定が伝わったのは、月を跨いだ3月上旬。結論は「当該公文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否します」――いわゆる存否応答拒否決定だった。理由として示されたのが、東京都情報公開条例第7条2号、同4号、及び同6号。当該条文によれば、個人情報や公安情報を保護するための対応ということらしい。
これも既報の通り、筆者はかつてこの「存否応答拒否」を別の役所から受けたことがある。鹿児島県警察だ。当時の開示請求も今回と同じ趣旨で、懲戒事案の捜査の記録を求めるものだった。この請求に県警は当初、一度の決定延長を経て存否応答拒否決定を出すことになり、今回の警視庁と同じく個人情報や公安情報をその理由としていた。ところがこれに筆者が不服を申し立て(審査請求)、決定の適正性を第三者機関が審査するよう求めたところ、1年あまりを経て請求がほぼ全面的に認められる答申に到り、求める文書が一部開示されることとなった(既報2 )。
当然の結果だったといえる。求めた文書は、ほかの警察本部では(北海道警察や福岡県警察など)なんら問題なく開示されており、それで個人情報や公安情報が侵されたなどの問題は生じていない。差し支えのある箇所を部分的に墨塗り処理した上で文書を開示することは可能だからだ。そういう対応を怠り、文書の有無すら明かさない姿勢は、情報公開の精神に大きく悖る。
鹿児島県警のケースと同じく、警視庁への開示請求でも決定後3カ月以内であれば審査請求を申し立てることが可能となっている。すでに筆者がこれを試みる考えを固めていることは、もはや述べるまでもあるまい。
(小笠原淳)
| 【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 |















