
全国の都道府県警察を監督する警察庁が2月上旬、昨年1年間に各地で記録された懲戒処分の総数を報道発表し、公式サイト上に資料を公開した(⇒こちら)。
公表資料によると、2025年に全国の警察機関で懲戒処分を受けた職員の人数は337人(免職44、停職97、減給144、戒告52)。総数が300を超えるのは2014年に300件を記録して以来11年ぶりで、過去10年間で最大の数字となった。地方別では北海道15、東北19、警視庁30、関東80、中部25、近畿90、中国18、四国8、及び九州46の結果となり、残る6件は中央官庁としての警察庁で記録された。

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警察庁関係6件の内訳は、減給5件及び戒告1件。ここまでは当局が自ら発表した資料から確認可能だが、6件がそれぞれどういう事案だったのかは情報公開請求の手続きを経ない限りわからない。筆者は先の「11年ぶり300超え」を事前に把握できていたわけではないが、懲戒処分の記録についてはたまたま年明けに警察庁へ公文書開示請求を行なっていた。
請求は1月16日付で、求めたのは「懲戒処分などの概要がわかる文書」、及び「各処分などが報道発表されたかどうかがわかる文書」。これを受けた警察庁は1月29日付で対象文書の一部開示を決め、昨年1年間に作成された『非違事案の処分実施について』という公文書の写しを筆者に交付した。

開示文書は処分各件の概要を記したもので、文書中に「広報対応」の有無を記す欄があることから、筆者が求めた「概要がわかる文書」と「報道発表の有無がわかる文書」とを兼ねているものであることがわかる。
交付された写しによると、先の懲戒6件のうち報道発表の対象となった事案は1件のみだった(被処分者は2人)。残る5件の中には当該職員の逮捕報道などで世に知られる結果となった事案もあったが、警察庁が自ら公表したのは飽くまで先の1件のみ。同件を含む全件の概要を以下に採録し、当局の対応が適切だったといえるかどうか、読者諸氏の評価を請う(処分日順、一部伏字は原文通り)。なお、処分者数6に対して文書が5件分しかないのは、2人の職員が関与していた事案が1件あるため。
(1)1月10日付「減給1カ月」=未発表
発生日時:平成30年頃及び令和4年4月
場所:■■内及び東京都内
当該職員:警察庁■■ 警部 ■■
関係者:警察共済組合■■支部及び警察共済組合警察庁支部
事案概要:当該職員は、前記日時場所において、本来は扶養の条件を満たしていなかった■■を自分が扶養しているように装い、■■名義の警察共済組合被扶養者証を不正に取得したもの。
(2)2月20日付「減給1カ月」=未発表
発生日時:令和6年7月13日
場所:千葉県千葉市内
当該職員:警察庁■■ 事務官 ■■
関係者:■■ 女性
事案概要:当該職員は、前記日時場所において、関係者に対し、動画撮影機能付きの携帯電話機で同人の水着着用の臀部等を動画撮影し、もって、公共の場所において、人を著しく羞恥させ、かつ、人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしたものである。
(3)2月20日付「減給3カ月」=未発表
発生日時:平成30年頃及び令和4年4月
場所:東京都豊島区内
当該職員:警察庁■■ 技官 ■■
関係者:氏名不詳の女性
事案概要:当該職員は、正当な理由がないのに、前記日時場所において、ひそかに、氏名不詳の女性らの後方を追随して近付き、動画撮影機能付携帯電話機を同女らが着用していたスカート内に差し向け、同女らのショーツの臀部を覆っている部分を同携帯電話機で撮影したものである。

(4)7月11日付「減給1カ月」=同日付で報道発表
発生日時:令和6年12月頃から令和7年5月頃までの間
場所:東京都千代田区内
当該職員:A 東京都警察情報通信部 ■■ 男性 B 東京都警察情報通信部 ■■ 女性
関係者:なし
事案概要:当該職員A、Bは、上記日時場所において、複数回にわたり、勤務時間中に不適切行為をし、職務を懈怠したもの。
(5)12月9日付「戒告」=未発表
発生日時:令和7年8月16日 午前10時57分ころ
場所:鹿児島県いちき串木野市■■付近道路
当該職員:■■ ■■ 非常勤職員 ■■
事案概要:当該職員は、令和7年8月16日午前10時57分ころ鹿児島県いちき串木野市■■付近道路において、呼気1リットルにつき0.50ミリグラムのアルコールを身体に保有する状態で、軽四輪乗用自動車を運転したもの。
報道発表の対象となった(4)の事案は、平たく言えば職場内の不倫。「不適切行為」とは、当時の報道によれば性交類似行為だったとされる。法令違反にあたる不祥事ではないが、組織として重く受け止めた結果の報道発表だったと察せられる。
また(2)の盗撮事案は地元・千葉のメディアなどからニュースとして発信された形跡があり、警察庁以外の機関から事件として発表された可能性がある。
残る事案のうち(1)は詐欺にあたることが疑われ、(3)は事実ならば悪質な盗撮事案、(5)は明確な酒気帯び運転にあたるが、いずれも報道発表されていない。
繰り返しになるが、警察庁のこうした対応が適切だったといえるかどうかは読者諸氏の評価に委ねる。なお同庁は今回、筆者に対して懲戒処分のみならず監督上の措置(懲戒に到らない軽微な制裁)についても各件の概要を記した文書の一部公開を決めた。開示された20枚あまりの文書を紐解いた結果、見えてきたのは皇宮警察と九州管区警察局にハラスメントがらみの不祥事が突出して多い傾向。原因不詳のその事実については、稿を改めて報告することとしたい。
(小笠原淳)
| 【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 |















