【追跡・鹿児島県警】「刑事企画課だより」改ざんの証明

 情報漏洩を行ったとして国家公務員法違反で逮捕・起訴された本田尚志元鹿児島県警生活安全部長が、北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に郵送した公益通報文書に同封されていた改変前と後の「刑事企画課だより」。これによって浮き彫りになったのは、組織にとって都合の悪い事実を、記述の改ざんまでしてごまかそうとした“闇の実態”だった。

 ◇   ◇   ◇

 本田元生安部長が直接小笠原氏に郵送した文書の中にあったのは、前出の刑事企画課だよりNo.20とその後に出されたNo.23の、それぞれの表と裏の計4ページ。前稿で述べた通り、このページ数については一度も報じておらず、本田元生安部長を逮捕した鹿児島県警も「4ページ」という事実は知らなかったはずだ。下に、“初めて存在を明かすNo.20の裏面”とNo.23の裏面を示す。

 本田元生安部長が蛍光ペンでアンダーラインを引いたのは、改変された箇所と問題になると考えられる記述部分。そのうち、ハンターが注目したのは四角で囲まれた記述の「改ざん」である(*下の画像)

(*画像クリックで拡大)

【No.20】の記述

※ 最近の再審請求等において、裁判所から警察に対する関係書類の提出命令により、送致していなかった書類等(以下「未送致書類」という。)が露呈する事例が発生しています。

この場合、「警察にとって都合の悪い書類だったので送致しなかったのではないか」と疑われかねないため、未送致書類であっても、不要な書類は適宜廃棄する必があります。

※ 再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!

 再審請求等において「未送致書類」が「露呈する事例が発生」しているとした上で、「不要な書類は適宜廃棄」というのがこの段階の県警の指示。未送致の捜査書類や写しを残すことが、再審や国賠訴訟で警察にとって不利な結果を招く、という警告。「だから捨てろ」と言っているのだ。本田元部長は、証拠隠滅と同義のこうした指示が不適切と考えたのではないか。それゆえのアンダーラインだと考えるのが普通だろう。

 そして、このNo.20を受けて小笠原氏がハンターに寄稿した2023年11月17日の記事(⇒“鹿児島県警で組織的隠蔽加速|捜査記録「速やかに廃棄」指示”)に接した県警は、同年11月21日付でNo.23を発行し、囲み部分を次のように改ざんする。

【No.23】の記述

※ 最近の再診請求等において、裁判所から警察に対する関係書類の提出命令により、送致していなかった書類等を提出する事例が発生しています。

捜査書類については、必要なものは検察庁に確実に送致するほか、その写し等については、犯罪捜査規範施行細則等に基づき、適切に保管管理し、保管管理が不要と判断したものは、関係者のプライバシー保護の観点等からも、確実に廃棄する必要があります。

※ 国賠請求や再審請求等が提起された場合には、その対応に必要なものは引き続き廃棄せずに保管管理する必要があります

 ハンターの記事で捜査情報の隠蔽を指摘され「まずい」と考えた県警は、「プライバシー保護」などと妙な理由付けをしながら、重ねて「確実に廃棄」を指示していた。

 さらに、国賠や再審における証拠隠滅を批判されないよう、No.20の「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」を削除。わざわざ「国賠請求や再審請求等が提起された場合には、その対応に必要なものは引き続き廃棄せずに保管管理する必要があります」と表現を変えていた。

 残すべき文書を「その(国賠や再審の)対応に必要なもの」としているが、必要かどうかを判断するのは県警であり、それこそが逃げ道。問題が起きれば、「不必要だと判断して破棄していた」と言い出すに決まっている。

 ◇   ◇   ◇

 警察組織が守るべきは「正義」だ。これを貫けないのであれば、権力行使の根拠が失われる。事件の隠蔽や証拠隠滅といった正義とは真反対の行為に走った鹿児島県警の姿は、定年退官を前にした本田元生安部長には耐えられないものだったろう。警察人生の最後に、闇を現出させた組織の姿をみた彼は、公益通報によって膿を出すべきと考えたのではないか。一連の告発文書によって、現職警官による盗撮や2件のストーカー事件などが白日の下に晒されたのは事実。公益通報の封筒に同封されていた刑事企画課だよりは、冤罪事件や国賠訴訟における捜査機関の無反省な姿勢を証明している。

(中願寺純則)

 

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