【2026 疑惑隠し総選挙】自民支持に翳りも

衆議院選挙が終盤戦を迎え、メディアの情勢調査が出そろった。

《自維300議席超うかがう》(朝日新聞)、《自民党は単独過半数(233議席)をうかがう勢い》(読売新聞)、《自民、単独過半数の勢い》(共同通信)――と高市早苗首相が率いる自民党が単独で過半数を得るという結果ばかりだ。

確かに、高市首相の人気ぶりには唖然とさせられるのだが、勝ち過ぎを警戒する声も上がり始めている。

◇   ◇   ◇

2月1日、高市首相が名古屋市内にあるショッピングセンターの駐車場で街頭演説を行った。午後5時からの予定だったが、午後1時ごろから人が集まり始めていたという。

午後4時には周辺の道路が大渋滞。ものものしい警備と、極寒の中、高市首相が集まると「さなえ」と大歓声がこだまする。1,000人以上は詰めかけていたようにみえたが、カウントできないほど黒山の人。ただし、演説内容は「日本列島を、強く豊かに」「責任ある積極財政」など、中身のないお決まりのパターンだった。

20分ほどの演説途中には、寒さでこごえたのか、会場の参加者が体調をくずして救急車まで出動。「演説の中身はどうでもいい。客寄せパンダかもしれないが、人が集まり票につながればいうことなし。ただ、あまりに寒い。これ以上体調不良になる人が出ないか本当に心配だ」と自民党関係者がつぶやいていた。

「高市旋風」が全国に吹き荒れる中、選挙直前に、立憲民主党と公明党で結成した新党「中道改革連合」は情勢調査でも低迷。大きく議席を減らしそうだとの報道が相次ぐ。

高市政権誕生直後、自民党と公明党は26年間に及んだ連立を解消。小選挙区で1万票とも3万票ともされる公明票がなくなりかねない状況となった。その票が、自民党から中道改革連合に上乗せされることを前提に、政権交代の可能性までささやかれていたほどだったが、現実はまったく違う方向に動いている。ある中道改革連合の前議員は浮かない顔でこう話す。

「ある小選挙区で公明票が1万とします。自民党から半分の5千票がうち(中道改革連合)に移ると仮定すると、増減含めれば中道には1万のプラス。接戦の小選挙区で勝てるという計算が成り立ちます。党で実施した世論調査も加味して、自民党を倒せると判断して新党結成に至ったはずだが、現実は高市首相にやられっぱなしだ」

選挙前、高市首相の支持率はいずれの調査結果でも60%超と高かった。一方、自民党の支持となると半分の30%台前半にとどまっていた。そこが、中道改革連合の狙いでもあったが、選挙に突入すると同時に高市氏の人気がさらに上昇、自民党への支持も上向くという展開になった。

今回の衆院選で最も注目されるのは物価高対策と消費税だ。与野党問わず「減税」がキーワードで、政策を比較しても大きな相違点が見いだせない。ある自民党幹部が次のように分析する。

「連日、高市総理の演説がトップニュースになる。街頭演説では、歯切れのいい言葉が飛び出してくる。高市総理の一番の持ち味は、陽気さ、明るさ。選挙になるとイメージが一番大切で、その戦略が見事にはまっている。私もとにかく高市総理の名前ばかり叫んでいるが、有権者がうれしそうな顔をするのは確か。石破政権時代にはあり得なかった」

対する中道改革連合は野田佳彦、斉藤鉄夫共同代表に“華”がなく、テレビやネットで映し出されるのは厳しい表情ばかり。中道関係者からも「どうしても、難しい顔をした年配のおじさんが高市さんに文句ばかり言っているというイメージにとられてしまう。世論調査で大きく引き離されているのは党のトップの差かもしれない」といった声が上がる。

中道改革連合だけではなく、一昨年の衆議院選挙で躍進した国民民主党や昨年の参議院選挙で大きく議席を伸ばした参政党も低迷気味だ。参政党の街頭演説を東京で取材したが、現場にいたスタッフは「参議院選挙では、オレンジカラーがみえるとすごい勢いで人が集まった。しかし今は、党員や支持者以外からほとんど見向きもされなくなっている。党としては大きくなって発信力も知名度もあがった。どうして支持が広がらないのか?」と困惑顔だった。

前出の自民党幹部は、「国民民主党も参政党も、その熱は一過性で長く続かなかったということ。今回は自民党にその熱が戻ってきた。それと、中道改革連合が急ごしらえで公明票がまとまっていない。高市総理がサプライズで打ち出した解散総選挙という戦略が見事だったと認めるしかない。単独過半数どころか、維新とあわせて300議席を超えれば高市長期政権は間違いなしだ」と喜びを隠さない。

しかし、毎日新聞の世論調査では“自民党が単独過半数の議席を得ることが望ましい”との回答は27%。“望ましくない”が42%と、自民党が勝ちすぎることへの警戒感も出始めた。旧統一教会問題や裏金議員の公認など、スキャンダルを多く抱えていることは事実。選挙戦終盤になって赤旗が高市首相と旧統一教会の疑惑を、文春デジタルが総理のNHK「日曜討論」ドタキャンを2日前から準備していたことなどを報じており、こうしたマイナス材料が選挙結果に影響を与える可能性もある。

疑惑に答えようとせず、一方的に勇ましい言葉を重ねるだけの高市首相と自民党。大きく勝たせると、とんでもない未来を招きかねない。

 

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