食い潰される「消防利権」― 儲かるのは永原氏の親族と側近|汚れた土着権力(10)

 田川市・郡の8市町村で構成する「福岡県田川地区消防組合」(管理者:永原譲二大任町長)が大任町内で進める消防施設整備事業。本来は“地域住民の生命財産を守るため”というのが目的のはずだが、実態はまるで永原氏が身内や側近らに「仕事」を与えるための利権。これまでに行われた土木工事の発注先は、いずれも本サイトが度々報じてきた「ダミー業者」と「側近業者」が占めている。親族への特別待遇も相変わらずだ。

■談合が横行する町

 大任町内にある建設業者の大半は、永原氏が主導する談合組織「田川政策研究会」に加入している。

 その中で、町発注工事の6割近くを受注しているのが、永原氏の側近とされる人物が代表を務める業者と、実際の施工を行わず他社に丸投げするしかない、いわゆる「ペーパー業者」である。下の表は、これまで何度も示してきた平成29年度から令和6年度までの「側近業者」と「ぺーパー業者」の受注実績だ。

 本稿に登場するのは、側近業者の中の「安産業」とその子会社である「サクラ開発」、ペーパー業者の中の「武蔵場建設」「信栄建設」、そして上掲の表には出てこないが、やはり永原氏に近いとされる「杉原組」(平成29年度~令和6年度で36件6億210万円の受注)である。

■永原氏の親族と側近が工事を独占

 永原氏が管理者を務める田川地区消防組合が、香春町にある「田川消防署香春分遣所」を廃止し、わざわざ5分以上離れた大任町内に「大任分署」を整備することの問題点は報じてきた通り。

 まず、香春町や下田川地区に配備される「救急車」が1台だけという状態になること。次に、永原氏が規模の小さい「分遣所」を倍の消防職員が必要になる「分署」にすることを勝手に決めているため、消防行政の地域バランスが大きく崩れる可能性が高いこと。これは住民の生命財産が、永原氏の歪んだ行政運営によって危険に晒されることを意味している。

 問題はまだある。400億円を超えるごみ処理施設整備事業が示すように、巨額の過疎債を利用して実現させた「大任町一強」「永原一強」の独裁体制によって町民や業者をコントロールしてきた永原氏だが、田川市・郡の消防行政まで利権化し、前述の「側近業者」や「ペーパー業者」に仕事を供給しているのだ。

 「大任分署」の建設用地は約5,000㎡。大任町がわざわざ民間の土地を買い上げ、造成工事まで行って消防組合に提供することになっている。

 ハンターが大任町に情報公開請求して入手した、町発注に係る造成工事関連の業務名と受注業者、契約金額は次の通りだ。

 1工区を落札した安産業の代表者は永原氏の一番の側近とも言われる人物。2工区のサクラ開発は安産業のグループ会社で、実質的オーナーは安産業の代表者である。そしてダミー業者・信栄建設の代表者は永原氏の親族。わかりやすい構図といえよう。

 3件の工事とも、入札からたったの2カ月で契約変更となっており、工期延長によって安産業は1,735,000円、同じ理由でサクラ開発は3,428,700円の増額となっていた。信栄建設の工区は減額なのだが、289,300円に過ぎない。設計が甘かったという見立ても成り立つ。

 測量・設計を担当している「呉調査設計」(田川市)は、大任町から数多くの業務を受注している会社。同社が請負った設計の段階から3件の土木工事が発注されるまでが、大任町の裏事情を如実に物語る過程であることを付記しておく。詳細は、今後の特集記事で報じていく予定だ。

 いずれにせよ、永原氏と近い業者ばかりが利益を得ている状況。その仕組みは、一部事務組合である消防組合にも持ち込まれている。

 大任町が造成工事を行った土地は、現在再び土木工事が進行中。今度は消防組合が工事を発注している。工事名と受注業者、落札金額は以下の通りである。

・田川地区消防署大任庁舎造成工事(1工区)・・・武蔵場建設:1,880万円

・田川地区消防署大任庁舎造成工事(2工区)・・・杉原組:1,940万円

・田川地区消防署大任庁舎造成工事(3工区)・・・信栄建設:1,900万円

 1工区の武蔵場建設は大任町のダミー業者、2工区の杉原組は、前述した通り永原氏に近い存在だという。3工区は、大任町発注の土木工事で29万円ほど減額となっていた永原氏の親族が経営するダミー業者「信栄建設」が落札していた。消防関係者からは「やり過ぎだ。まるで永原町長のための大任庁舎じゃないか」、「消防を利権にしている。許せない」といった声が上がる。

 永原氏の親族と側近だけが消防関連の仕事を独占するという異常な状態。大任町以外の1市5町1村の首長や議員たちは、いつまでこうした暴走を許しておくつもりなのか?事業費の原資が税金であることを忘れてはなるまい。

(中願寺純則)

 

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