権藤英樹うきは市長、選挙運動費用に後援会活動の支出

国会議員のデタラメな政治資金処理が大きな社会問題となっているが、政治家としての「イロハのイ」が分かっていない首長も少なくない。

昨年6月に行われた福岡県うきは市の市長選挙で初当選した権藤英樹氏が市選管に提出した選挙運運動費用収支報告書に、複数の後援会活動の支出が記載されていることが分かった。公職選挙法や政治資金規正法が定めた「帳簿」が適正に作成されていなかった証左ともとれ、権藤氏側の杜撰な資金処理が浮き彫りになった格好だ。

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下は、昨年6月に行われたうきは市長選挙の際、初当選した権藤市長側が市選管に提出した選挙資金収支報告書。支出の項目に「リーフレット印刷費」「室内用ポスター印刷費」とある。

選挙中に使用が許される印刷物は、選挙用ポスター、選挙はがき、選管の証紙を貼ったビラのみ。その他の印刷物を利用して選挙運動を行うことはできない。「リーフレット」も「室内用ポスター」も、選挙運動費用としては認められない後援団体などの政治活動に使用されたとみられる印刷物。従って、選挙運動費用収支報告書に記載するのは間違いだ。

下は告示前、選挙区内で権藤陣営が頒布した印刷物。これが前述の「リーフレット」だという。「討議資料」と入れているが、団体名や住所の記載はなく、何の討議に使う文書なのか判然としない。後援会長の挨拶文が掲載されているものの発行元が不明のため、権藤氏個人の売名用文書とみられてもおかしくない体裁だ。違反文書の疑いさえある。

ちなみに、権藤氏の収支報告書には「リーフレット」や「室内用ポスター」以外にも政治活動とみられる事務所費支出の記載があり、報告内容全体に疑義が持たれる状況だ。

公職選挙法は、それぞれの陣営の出納責任者に会計帳簿を備え付け、選挙運動に関する収入・支出のすべてを記載するよう求めている。政治資金規正法も会計帳簿の作成と備え付けについて定めているが、こちらに記載されるのは政治活動に関する収入と支出。会計帳簿の内容を報告書に転記するのは同じだが、選挙運動費用収支報告書は当該選挙を所管する選挙管理委員会に、政治資金収支報告書は都道府県選管か、全国団体なら総務省に提出する義務がある。

一連の過程と意味が理解できていれば、政治活動と選挙運動を混同するはずがない。間違いが起きたのは、政治家本人の認識が欠如していた証と言えるだろう。うきは市選管に事実確認を求めたところ、「指摘されている支出が政治活動のものであれば、修正を求めることも検討する」と話している。

自身の資金処理さえ満足にできない首長に、自治体の事業や予算をチェックすることができるとは思えない。案の定、権藤氏が市長になって行われた業者選定に、重大な疑惑が浮上している。

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