北海道警察が昨年の10月から12月までの3カ月間に行なった懲戒処分7件のうち、4件について報道発表が控えられていた可能性があることがわかった。未発表疑い事案の中には売春防止法違反や窃盗などの悪質な不祥事も含まれているが、いずれも「減給」や「戒告」などの軽い処分で済まされていた。筆者の情報公開請求で開示された公文書から各件の概要が確認できた。
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筆者は1月6日、北海道警で昨年10月~12月に処分・措置があった不祥事の記録を開示請求、これを受理した道警は同20日付で一部開示決定を出し、23日に『懲戒処分一覧』などの対象文書計90枚の写しを交付した。
開示された文書によると、同時期の懲戒処分は7件。監督上の措置(懲戒に到らない軽いペナルティ)は10月に7件、11月に8件、12月に19件の計34件に上った。
監督上の措置はそもそも報道発表の対象とならず、情報公開請求を経ない限り概要を確認できないが、警察ではほかの行政職員と異なり懲戒処分についても全件公表を免がれる特権があり、同時期の懲戒事案でも半数以上が報道発表されていなかった疑いがある。具体的には、7件中3件が地元報道などへ周知されていた一方、残る4件は報道された形跡がなかった。
処分や事件送致などのタイミングで報道発表された3件は、以下の通り。
・業務上横領等事案(方面本部巡査長)…11月5日付「停職」
・不同意性交等事案(警察本部警部補)…11月20日付「免職」
・不同意わいせつ事案(警察学校警部補)…12月3日付「停職」
一方、次の4件は発表を見送られていた可能性が高い。
・不正アクセス禁止法違反等事案(警察本部巡査部長)…10月15日付「減給」
・売春防止法違反等事案(警察署巡査)…10月15日付「減給」
・交通違反事案(警察署巡査)…10月15日付「戒告」
・窃盗事案(警察署巡査)…12月3日付「減給」
4件はいずれも法令違反が疑われるケースで、とりわけ売春や窃盗などは事実ならば完全に故意犯。不正アクセス事案も、職場の端末で50回近くも不正照会を行なったという悪質な事案だった。
最も衝撃的といえる現職警察官の売春事件は、当事者に交付された『処分説明書』にこう記されている。
《第1 令和7年5月9日、出会い系サイトの電子掲示板に、不特定多数の者が閲覧可能な状態で、売春の相手方を募集する文言を掲載し、もって、人を売春の相手方になるよう誘引した》
《第2 令和6年4月から令和7年6月までの間、複数回にわたる売春行為の対価として、報酬を得た》

短くとも1年以上にわたって「複数回」売春を行ない、対価を得た――。事実とすれば立派な犯罪で、常習性も強く疑われるところだが、本人への制裁は「減給10分の1×1カ月」に留まった。『懲戒処分申立書』によれば発覚の端緒は「売春相手からの申告」があったためで、つまりはその告発がない限り事実が露見しなかったともいえる。
筆者は現在、各件の報道発表の有無を道警に照会中。1月26日午前の時点で回答は届いていないが、地元報道の配信記事などを確認する限りいずれも報じられた形跡がみあたらず、すべて未発表だった可能性が高い。
(小笠原淳)
| 【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 |















