【2026 疑惑隠し総選挙】未決勾留の被疑者や少年なども投票へ|各地の刑事施設で衆院選準備進む

2月8日に投開票を控える衆議院議員選挙では、拘置所や少年院で過ごす人たちも投票の機会を得ることになる。身柄を拘束されつつも刑が確定していない被疑者・被告人や少年院の在院者などは、公民権を失っていないため塀の外の有権者と同様に「一票」が与えられるのだ。各地の施設では不在者投票の準備が始まっており、現場の職員らが対応に追われている。

◇   ◇   ◇

筆者が拠点とする北海道・札幌で1月下旬、地元の札幌刑務所が記者会見を開いて施設内を報道公開する出来事があった。拘禁刑導入後初の内部公開となる貴重な機会だったが、参加した記者は筆者を含めて僅か2人。各社の記者たちは担当分野を問わず短期決戦の選挙取材に駆り出されていると思われた。刑務所の会見ではまさにその状況も話題に上り、選挙がらみの雑談めいたやり取りが続く中で急遽「施設内での投票」について担当職員が概要を説明する場が設けられた。

説明によると、各地の刑事施設に収容されている人たちのうち、今回の衆院選で投票の機会を与えられるのは刑が確定していない18歳以上の人たち。札幌では刑務所(定員2515人)で刑務作業ならぬ「労役」に就いている10人前後の人たち、及び刑務所に隣接する札幌拘置支所(定員322人)で過ごす150人ほどの未決勾留者の多くが、それにあたる。投票は「不在者投票」の形で行なわれ、日程が決まり次第、告知放送で対象者に周知される。投票を希望する人には投票用紙や選挙公報などが提供されることになるが、それぞれ「選挙区」が異なるため、施設では各地の選挙管理委員会へ個別に投票用紙などを請求しなくてはならない。不在者投票の日は“塀の外”と同じように施設内に投票所が設けられ、投じられた票は郵便で各地の選管へ送られる。

直近の公表資料によれば、全国の矯正施設に「未決」で収容されている人たちは昨年12月末日時点で6649人(男性6044、女性605)。その多くが施設内で投票日を迎えるとみられ、各施設が希望者ごとに上記のような対応をとっていくことになるわけだ。これは「非行」で少年院送致が決まった少年たちも同様で、彼らは成人の受刑者と異なり送致後も公民権を失っていないため、開票日時点で18歳以上になる人であれば施設内で投票できる。地元施設の統廃合を経て北海道内唯一の少年院となった北海少年院(定員114人)へ問い合わせたところ、今回は在院者約50人のうち30人前後が対象になるとみられ、2月上旬の実施をめどに準備を進めているところだという。なお刑事処分が決まる前の段階で少年鑑別所に収容されている少年たちにも同じ権利行使が認められており、こちらも希望者が鑑別所の中で不在者投票に臨むことになる。

成人では警察の留置施設にいる人たちも投票可能で、その場合は警察署長などが投票管理者となり、対象者の捜査に関わっていない職員が立会人を務めて不在者投票を実施する。

言うまでもなく、一票の重さはいずれも同じだ。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

 

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