ハンターの勝訴によって、永原譲二大任町長が公開を拒んでいた2017年度~2021年6月までの入札結果表が開示され、4年2か月の間に同町が発注した工事の発注件数が372件で、総額68億8,617万2,000円だったことが判明した。前稿で示した通り、そのうちの約4割近くを、業務実態のない「ペーパー業者」が受注していた。
残り6割の発注工事の約3割を受注していたのは、永原町長の近親者とみられる人物たちが代表を務める「側近業者」である。
■側近業者、たった4社で約3割を受注
下に2017年4月から2021年6月までの4年2か月で、永原氏の側近業者が落札した工事の受注金額をまとめた。
たった4社の側近業者が372件のうち80件を落札しており、その累計金額は18億2,518万6,000円。町発注工事の約3割を占めるという異常な状況だった。
もちろん、4社の儲けはそれだけに止まらない。前稿で指摘した通り、側近業者は仕事をしないペーパー業者の下請けとして建設工事を施工するケースが多く、実際にはこの何倍もの大任町発注工事に携わり、利益を得ていた。下がその構図だ。
側近業者が請負う工事は他にもまだある。その一例が、220億円もの公費を投じて整備が進む「ごみ処理施設」。同工事の施工体系図(*下の画像参照。赤い囲みはハンター編集部)には、永原氏の側近ナンバー1といわれる人物が代表を務める「安産業」の記載がある。大任町が直接発注する工事以外でも、側近業者は下請けに入ることで大きな利益を得ているということだ。
本稿で問題にしているのは、隠されていた2017年度~2021年6月までの入札結果表によるペーパー業者と側近業者の受注実態だが、2021年7月以降も状況は変わっていなかったとみられている。福岡県田川地区の8市町村が大任町に事務委託して整備を進めてきたのは、ごみ処理施設の他、既に稼働している「汚泥再生処理(*し尿処理)センター」(契約金額89億8,560円)と工事中の「最終処分場」(契約金額36億円)の3か所。2017年度~2021年6月までの入札結果とダブるものもあるが、下の表の通り、ごみ処理3施設の本体工事とは別に同町が発注する「付帯工事」でも、ペーパー業者と側近業者が荒稼ぎしている実態が明らかとなっている。
前稿から述べてきたように、ペーパー業者は仕事をせず、側近業者などに丸投げしているというのが実情。側近業者4社は、ペーパー業者が受注した仕事の分も利益を得ていることになる。町発注工事の原資はすべて税金。永原独裁体制が食い物にしているのは、町民なのである。