【怒れ!大任町民】永原町政、血税私物化の実態(上)|2017~21年、ペーパー建設業者に受注集中

昨年、福岡県大任町はハンターとの裁判に負け、それまで隠していた2017年度から2021年6月までの公共工事入札結果を開示した。4年2か月間の発注件数は372件。総額は68億8,617万2,000円に上る。開示された入札結果表を精査した結果、総額の6割以上の工事を実態のないペーパー業者側近業者が占めるという、異常な建設行政の実態が浮かび上がってきた。大任町民のみならず、国民全体の血税が永原暴力町政の資金源になっている。

■談合組織「田川政経研究会」の仕組み

永原町長がハンターの情報公開に応じなかった理由は一つ。血税を使った権力維持の実態が暴かれるのを恐れたからだ。

大任町はこれまで、町発注工事の入札結果や契約書、積算書、施工体系図など他の自治体ではあたりまえに開示される情報を「非開示」にしてきた。ほとんどの場合、非開示理由は「公にすると、人の生命、健康、生活、財産または社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施期間が認めることにつき相当の理由がある」(大任町情報公開条例 第7条第1項第3号)というもの。しかし、具体的な事例が示されているわけではなく、法律で公開を義務付けられた入札結果や施工体系図まで非開示にする理由としては妥当性に乏しい対応だった。つまり「相当の理由」など存在しなかったということだ。

町発注工事の実態のうち、露骨な隠蔽の対象となっていたのは業者の落札状況。大任町は、法律で公開を義務付けられている「入札結果表」を、ハンターが永原町政を追及し始めた2017年6月から「非開示」にしていた《参照記事⇒福岡県大任町が違法行為|驚きの「入札結果非公開」》。

その後の展開は周知の通りで、まず国が入札結果非開示を「違法」と断定。昨年5月、ハンターは福岡地方裁判所に非開示決定処分の取り消しを求める訴訟を提起して事実上の勝訴となり、ようやく開示された2017年度から2021年6月までの入札結果の精査を続けていた。

結論から述べるが、入札結果が示しているのは、永原町長による血税収奪の驚くべき実態。実際の工事に携わることのなかった「ペーパー業者」と永原氏に極めて近い人物らが代表を務める「側近業者」による町発注工事の独占だった。それ以外の業者も、大半は永原氏が事実上の主宰者という年会費4万8千円の談合組織「田川政策研究会」の会員だとみられている。下が、ペーパー業者を使った工事独占の構図だ。

まず、建設資材どころかスコップの1本さえ保有していない八つのペーパー業者が、永原氏側の指示に従って町の発注工事を受注。現場の工事は一切せず、永原氏の側近企業に実務を任せる形で仕事をさばいていた。現在、ペーパー業者のうち半分前後は廃業している模様だ。

受注した以上、ペーパー業者にも工事費の中から一定額が渡る仕組みで、複数の関係者の証言から、その分が建設工事費に上乗せされていたことが分かっている。ペーパー業者の取り分に加え、実際の工事を引き受けた二次・三次下請けの儲けが加算されているのも確か。膨らんだ工事費のツケは、すべて町民の税金で尻拭いしてきた格好だ。

■ペーパー業者、全体の約36%を受注

下に問題の8つの「ペーパー業者」の年度ごとの受注実績をまとめた。

2017年4月から2021年6月のまでの、たったの4年と2か月で、307件中107件、総額24億7,080万7,000円、年度ごとでは全体の3割から4割もの工事をペーパー業者が受注するという、異常な状態だった。

では、側近業者はどれだけの仕事を受注していたのか――。次稿で、さらに詳しく永原支配の実態をみていく。

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