永原譲二大任町長「し尿処理行政」私物化の実態(1)|田川地域であがる怨嗟の声

 今年3月の中旬頃から、田川市・郡の“し尿処理”に関する取材依頼や情報提供が次々に寄せられるようになった。すべて、し尿処理場の管理・運営を行うため田川市郡の1市7町村で構成されている一部事務組合「田川地区広域環境衛生施設組合」の不当行為を訴えるもの。組合長は、日常的な「強要」や「強弁」といった暴力的な姿勢で田川市郡の支配者として君臨してきた永原譲二大任町長である。同氏に対し、次々に上がる怨嗟の声。取材してみると、し尿処理場の管理・監督権を持つ永原氏が、業者の許可権まで含む強大な権力を握って好き勝手をするという「し尿処理行政の私物化」が疑われる現状が浮かび上がってきた。

■住民や業者関係者からあがる悲鳴

 ハンターに寄せられた市民の声は、ほとんどが、長年付き合ってきたし尿処理業者の唐突な撤退、変更に関する内容。さらには、し尿処理行政を巡る「不正」にまで言及する訴えまであった。原因を作っているのが、田川地域で暴力支配を続けてきた永原氏であることは言うまでもない。主な「悲鳴」を拾ってみると――。

・「これまで何十年もお付き合いのあった業者さんから、突然『もう来れなくなりました』と言われました。悲しそうでした。何が起きているのでしょうか?」

・「私が頼んでもいないのに、汲み取り業者が変わるそうです。知らない業者が来ることになるそうですが、決めたのは永原大任町長だと聞いています?横暴です。契約は個人の自由ではないのでしょうか?永原になぜこんな権限があるのか、ぜひ調べてください」

・「田川市郡のし尿処理を巡り、大変なことが起きています。私たち住民に何の断りもなく、勝手に汲み取り業者を変えているのです。メチャクチャなことやっているのは永原町長ですが、ヤクザと関係の深い永原が怖くて誰も何も言えません。助けてください。」

・「永原が田川市の衛生業者を締め出しはじめた」(注:永原=永原譲二大任町長)

・「永原組合長から会社に対し、給与台帳、売上台帳、顧客台帳従業員、さらには個々の源泉徴収票まで提出するよう求められた。し尿処理の許可業務に必要とは思えない。別の会社に私らの個人情報が流出した可能性がある。法的な問題はないのか?」

・「田川地区クリーンセンターの機械類が新品ではなく、古いものだという話が以前からある。不正が行われているのではないか」(注・クリーンセンター=し尿処理場)

・「永原町長が許可権を盾に、『平準化』と称して自分と距離のある業者の受け持ち件数を減らす一方で、言うことを聞く業者に広大な受け持ち区域を割り当てるなど好き勝手なことをしている。平準化はウソだ

■「平準化」と称して処理業者の区割りを勝手に変更

 確認してみると、すべてが事実、もしくは事実だと判断せざるを得ない話ばかり。し尿処理の関連文書を田川市に開示請求するとともに、現地取材を重ねた。明らかになったのは、し尿処理行政を巡る次のような経緯と驚くべき実態だった。

・今年1月頃、永原氏が『平準化』を唱え、し尿処理業者の受け持ち区域変更に着手。

・今年3月までに、永原組合長自身が汚泥再生処理センター(田川地区クリーンセンター)に業者を呼びつけ、『平準化』を理由に、個々の受け持ち区域変更を宣告。

・同月、田川地区広域環境衛生施設組合が組合長権限で、複数の業者の一般廃棄物収集運搬業や浄化槽清掃の許可を取り消し。

・同月、田川市郡の1市7町村の首長、議会、住民らに何ら理由が伝えられないまま、組合が、唐突にし尿処理業者の受け持ち区域を変更。

・同月後半から、し尿処理業者が変わることになった田川市・郡の各家庭に、文書もしくは口頭で業者変更の話が伝わり始め、事情が分からない住民から各自治体や報道機関などに問い合わせが殺到。

・組合が業者に提示しているのは、その業者の受け持ち区域だけで、全体の区分け状況は非開示。他の業者の受け持ち区域を知っているのは、永原氏と組合の幹部職員のみの状態。

・同月、永原氏が「ない」と明言していた田川地区クリーンセンター建設工事の積算書が存在していたことが判明。

 長年続いてきたし尿処理業者と各家庭とのつながりを無視し、永原氏の独断で地区割が変更されたということだ。『平準化』を区割り変更の理由に挙げているというが、調べた限りそれは真っ赤なウソ。詳細は今後の配信記事で明らかにするが、永原氏に従う業者は手厚く遇され、邪魔になりそうな業者は容赦なく排除する形になっているのは間違いない。

 では、なぜ業者側は黙って永原氏の横暴を受け入れてしまったのか――。関係者に話を聞くと、用意周到に「私物化」が進められてきたことが分かる。まずターゲットになったのは、これまで田川市・郡のし尿処理業者18社で組織していた「田川地区環境整備事業協同組合」(以下、「協同組合」)。永原氏は今年3月、協同組合に加盟していた2社の事業許可をほとんど前触れなしに取り消したが、正式な抗弁の機会さえ与えていなかった。

 ある業界関係者は怒りを隠そうともせず、こう話す。

 「みせしめですよ。長くこの業界をリードしてきたのは、許可取消しになった2社の元代表。まずそこを狙って、恐怖心を植え付けた。『許可取り消すぞ。許可はいらんのか?』ということですよ。誰も逆らえない。それを許している各自治体の町村長や議員たちも同罪でしょう。住民のために動いてくれているのは一部の政治家だけ。中には、永原の“平準化”に協力しているクソ議員もいる。そいつは本業がし尿処理ですけどね」

 特定業者の排除と同時進行で行われていたのが協同組合の切り崩し。4月を待たずに、協同組合の残り16社のうち10社が、永原氏周辺が設立する予定の新組織に移ることを決め、脱退していた。残り6社も、許可権を持つ永原氏の威光を恐れて文句が言えない状況だという。まさに暴力支配。では何故、永原氏の好き勝手が許されているのか――?次稿でその背景について詳述する。

(つづく)

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